社労士事務所関連の用語
斡旋
個別労働関係紛争(解雇、賃金未払いなど)を、裁判によらずに解決するための話し合いの手続きです。労働局などに置かれる紛争調整委員会が、中立な第三者として労使の間に入り、双方の主張を聞いて円満な解決を目指します。手続きは非公開・迅速・低廉で、特定社会保険労務士は当事者の代理人としてこの手続きに参加できます。
安全配慮義務
労働契約法に定められた、使用者が労働者の生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をする義務のことです。作業環境の整備や健康診断の実施といった物理的な安全確保だけでなく、長時間労働の抑制やハラスメント防止など、労働者の心身の健康を守るための配慮も含まれます。
育児・介護休業法
労働者が育児や家族の介護を理由に離職することなく、仕事と家庭を両立できるよう支援するための法律です。この法律により、労働者には育児休業や介護休業を取得する権利が保障されています。また、企業には子の看護休暇や短時間勤務制度の導入、休業等を理由とする不利益取扱いの禁止などが義務付けられています。少子高齢化に対応するため法改正が頻繁に行われており、常に最新の規定に沿った社内制度の整備が不可欠です。
遺族年金
国民年金または厚生年金保険の被保険者(または被保険者であった者)が亡くなったときに、その方によって生計を維持されていた遺族に支給される年金です。亡くなった方の年金加入状況に応じて「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」があります。受給には、亡くなった方の保険料納付要件や、遺族の続柄・年齢・収入などの要件を満たす必要があります。請求権には5年の時効があるため、速やかな手続きが求められます。
1号業務・2号業務・3号業務
社会保険労務士法第2条に定められた社労士の業務区分です。「1号業務」は労働・社会保険に関する申請書等の作成と提出代行、「2号業務」は労働者名簿や賃金台帳といった法定帳簿の作成を指し、これらは社労士の独占業務です。無資格者が報酬を得て行うことはできません。「3号業務」は労務管理や社会保険に関する相談・指導、いわゆるコンサルティング業務を指し、これは独占業務ではありませんが、労働法の専門知識に基づいた高度な助言が求められます。
解雇予告
労働基準法に基づき、使用者が労働者を解雇する場合に、少なくとも30日前に本人に通知しなければならないとする制度です。予告をしない場合は、30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払う必要があります。この制度は解雇の「手続き上」のルールであり、解雇予告手当を支払ったからといって解雇そのものが法的に有効になるわけではありません。解雇の有効性は、客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性があるかという「実体上」の要件によって判断されます。
基本手当
一般に「失業手当」として知られる、雇用保険の主要な給付です。雇用保険の被保険者が離職し、働く意思と能力があるにもかかわらず就職できない「失業状態」にある場合に、再就職までの生活を支えるために支給されます。支給される日数(所定給付日数)や支給開始時期は、離職理由(自己都合か会社都合か)、年齢、被保険者であった期間によって大きく異なります。
健康保険
労働者やその家族が、業務外の病気やけが、出産、死亡した場合に、医療給付や手当金を支給する公的な医療保険制度です。日本の社会保険制度の中核をなし、保険料は事業主と被保険者(労働者)が折半して負担します。全国健康保険協会(協会けんぽ)または各企業の健康保険組合が保険者となります。
月額変更届
昇給や降給などにより、固定的賃金に変動があり、その後の3か月間の報酬月額平均が現在の標準報酬月額と2等級以上差が生じた場合に、年の途中でも標準報酬月額を改定(随時改定)するために提出する書類です。報酬の実態と保険料負担が大きく乖離することを防ぐための手続きであり、提出要件に該当した場合は速やかに届け出る義務があります。
厚生年金保険
日本の公的年金制度の2階部分を構成し、主に会社員や公務員などが加入する被用者年金制度です。国民年金に上乗せして支給され、保険料は給与や賞与の額に応じた報酬比例制であり、事業主と被保険者が折半して負担します。厚生年金に加入する者は、同時に国民年金の第2号被保険者にもなります。
国民年金
日本の公的年金制度の1階部分を構成し、「基礎年金」とも呼ばれます。日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入を義務付けられています。自営業者や学生(第1号被保険者)、会社員・公務員(第2号被保険者)、そして第2号被保険者に扶養される配偶者(第3号被保険者)の3つの種別に分かれており、種別によって保険料の納付方法が異なります。
36協定
労働基準法第36条に基づく「時間外労働・休日労働に関する協定」の通称です。使用者が労働者に法定労働時間(原則1日8時間・週40時間)を超えて労働させ、または法定休日に労働させる場合に、必ず事前に労働者の過半数代表者等との間で締結し、所轄の労働基準監督署に届け出なければならない協定です。働き方改革により、本協定を締結しても罰則付きの厳格な時間外労働の上限が定められており、企業の労働時間管理における最重要書類の一つです。
算定基礎届
社会保険(健康保険・厚生年金保険)の保険料の基準となる「標準報酬月額」を、年に一度見直すために、事業主が毎年7月10日までに日本年金機構へ提出する書類です。4月、5月、6月に支払った報酬の平均額を基に、その年の9月から翌年8月までの新しい標準報酬月額が決定されます。この手続きを「定時決定」と呼び、被保険者の報酬実態と保険料負担の間に大きな乖離が生じないようにするための重要な年次業務です。
社会保険労務士
労働関連法令および社会保険諸法令に基づく書類作成・提出代行、帳簿作成、労務管理や年金に関する相談・指導を専門業務とする国家資格者です。社会保険労務士法に基づき、全国社会保険労務士会連合会に登録することで、その名称を用いて業務を行うことができます。企業経営における「人」に関する専門家として、従業員の採用から退職までの人事労務管理全般を支援します。その本質的な役割は、単なる手続き代行に留まらず、就業規則の整備や適正な労働時間管理を通じて、労使紛争を未然に防ぐ「予防法務」にあります。健全な職場環境の構築を通じて企業の持続的成長を支える、経営の戦略的パートナーです。
社労士補助
社会保険労務士の指導監督のもと、専門的な業務を補助する職員です。資格は必須ではありません。主な業務は、社会保険・労働保険の手続きに関する書類のドラフト作成、給与計算のデータ入力、官公庁への書類提出、クライアントとの連絡調整など多岐にわたります。定型的・手続的な業務を正確に遂行することで、有資格者である社労士がコンサルティングなどのより高度な判断を要する業務に集中できる体制を支えます。また、実務を通じて労働・社会保険諸法令の知識を深めることができるため、社労士を目指す者にとって重要な実務訓練の場ともなっています。
就業規則
その事業場における労働時間、賃金、服務規律などの労働条件を統一的に定めた規則集です。労働基準法により、常時10人以上の労働者を使用する事業場では、作成と労働基準監督署への届出が義務付けられています。また、作成・変更した就業規則は、労働者に周知しなければ効力を生じません。個別の労働契約が就業規則の基準を下回る場合、その部分は無効となり就業規則の基準が適用されるため、企業の労働条件における最低基準を定める重要な役割を果たします。
障害年金
病気やけがによって法令で定められた障害の状態になった場合に支給される公的年金です。障害の原因となった病気やけがで初めて医師の診療を受けた「初診日」に公的年金に加入していること、一定以上の保険料を納付していることなどが受給の要件となります。請求手続きは非常に複雑で、特に初診日の証明が困難なケースが多く、カルテ以外の間接的な証拠を収集・整理して立証する必要があるなど、社労士の高度な専門性が求められる業務分野です。
時間外労働
労働基準法で定められた法定労働時間(原則として1日8時間、1週40時間)を超えて行われる労働のことです。時間外労働を行わせるには、36協定の締結・届出が必須であり、法律で定められた上限時間を超えることはできません。また、時間外労働に対しては、通常の賃金の2割5分以上の割増賃金を支払う義務があります。
助成金申請
主に厚生労働省が管轄する、雇用の安定や職場環境の改善などを目的とした、返済不要の資金(助成金)の申請手続きです。有期雇用労働者の正規雇用転換や、育児・介護との両立支援制度の導入など、特定の取り組みを行った企業に対して支給されます。この助成金の申請代行は社労士の独占業務であり、企業の経営に直接的な金銭的メリットをもたらすため、労務コンサルティングのきっかけとなることも多い重要な業務です。
人事評価制度
従業員の業務成績、能力、勤務態度などを一定の基準に基づいて評価し、処遇(昇給、昇格、賞与など)や人材育成に反映させるための仕組みです。公平性・透明性の高い制度を設計・運用することは、従業員のモチベーション向上と組織の活性化に繋がります。社労士は、企業の経営方針や実情に合わせた人事評価制度の構築を支援するコンサルティング(3号業務)を行います。
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