介護関連の用語
IADL
「手段的日常生活動作(Instrumental Activities of Daily Living)」の略称。人が地域社会の中で自立した生活を営む上で必要となる、より高度で複雑な活動を指します。具体的には、電話の使用、買い物、食事の準備、家事、洗濯、交通機関の利用、服薬管理、金銭管理などが含まれます。これらの活動は、基本的な身体動作だけでなく、計画性、判断力、記憶力といった複雑な認知能力を必要とします。ADLより先に衰える傾向があり、地域社会での自立生活を継続できるかを判断する上で重要な指標となります。
ADL
「日常生活動作(Activities of Daily Living)」の略称。食事、更衣、移動、排泄、整容、入浴といった、人が生命を維持する上で不可欠な、日々繰り返される基本的な身体活動群を指します。利用者の自立度を客観的に評価するための重要な指標として、要介護認定の調査やケアプラン作成の場面で活用されます。
介護福祉士
「社会福祉士及び介護福祉士法」に基づく介護分野における唯一の国家資格を持つ専門職です。専門的な知識と技術をもって、身体介護や生活援助を実践するだけでなく、介護計画の立案や、他の介護職員への指導・育成も担う現場のリーダー的存在です。
介護老人保健施設
通称「老健(ろうけん)」。病状が安定した方が在宅復帰を目指すために、リハビリテーションを中心としたケアを受ける施設です。医師の管理のもと、看護・介護、専門職によるリハビリが提供される「病院と自宅の中間施設」と位置づけられ、終身利用は前提としていません。
看護助手
病院などの医療機関で、看護師の指示のもと、そのサポート業務や患者の身の回りの世話を行う職種です。食事介助や入浴介助、ベッドメイキング、医療器具の準備・洗浄などを担当します。医療行為は行えず、看護師が専門業務に集中できるよう支援する、看護チームの重要な一員です。
QOL
「生活の質(Quality of Life)」の略。身体的な健康だけでなく、精神的な満足感や生きがいなどを含めた総合的な「生活の質」を指します。介護の最終目標は、利用者の「その人らしい生活」を支え、このQOLを向上させることにあり、介護の成功を測る最も本質的な尺度と言えます。
グループホーム
認知症の高齢者が、5~9人の少人数で共同生活を送る専門的なケア施設(認知症対応型共同生活介護)です。家庭的な雰囲気の中、スタッフの支援を受けながら食事の準備や掃除などを分担し、「役割」を持って生活します。環境の変化に弱い認知症の方が、なじみの関係の中で穏やかに過ごせるよう支援することを目的としています。
ケアプラン
要介護認定を受けた方が、どのような目標で、どのサービスを、どれくらい利用するかを具体的に定めた「介護サービス計画書」です。この計画書がなければ、原則として介護保険の給付は受けられません。利用者や家族の希望に基づき、ケアマネジャーが作成するのが一般的ですが、利用者自身が作成すること(セルフプラン)も制度上認められています。介護の羅針盤となる重要な文書です。
ケアマネジャー(介護支援専門員)
介護を必要とする人と介護サービスをつなぐ、制度の「水先案内人」とも言える専門職です。利用者や家族の相談に応じ、最適なケアプランを作成したり、サービス事業者や医療機関との連絡・調整を行ったりします。要介護認定の申請代行など、介護保険利用に関する幅広い支援を担います。
言語聴覚士
通称「ST」。リハビリの専門職で、「話す・聞く・食べる(嚥下)」というコミュニケーションと生命維持に不可欠な機能の障害を支援します。脳卒中後の失語症の訓練や、安全に食事をとるための嚥下訓練など、子どもから高齢者まで幅広い年代を対象とします。
口腔ケア
口の中を清潔に保ち、その機能を維持・向上させるケア全般を指します。単なる歯磨きだけでなく、舌の清掃や口腔体操なども含み、器質的ケアと機能的ケアに大別されます。誤嚥性肺炎の予防に極めて重要であるほか、食事をおいしく味わい、会話を楽しむといったQOLの向上にも直結します。
拘縮
長期間関節を動かさないことで、筋肉や皮膚などが硬くなり、関節が動かしにくくなる状態です。着替えや入浴などの介助が困難になるだけでなく、本人の苦痛も伴います。予防には、関節を動かす訓練(関節可動域訓練)や、安楽な姿勢を保つポジショニングが重要です。
誤嚥・誤嚥性肺炎
食べ物や唾液が誤って気管に入ってしまうことを「誤嚥」といいます。この誤嚥によって、口腔内の細菌が肺に入り込み炎症を起こすのが「誤嚥性肺炎」です。高齢者の肺炎の主な原因であり、生命に関わることもあるため、口腔ケアや食事形態の工夫による予防が極めて重要です。
作業療法士
通称「OT」。食事や着替え、家事といった、より応用的でその人らしい生活を送る上で必要な「作業」を通じて、心と身体の回復を支援するリハビリの専門職です。理学療法士が基本的動作を扱うのに対し、作業療法士は身体機能だけでなく、精神的な側面にもアプローチするのが特徴です。
サービス付き高齢者向け住宅
通称「サ高住」。高齢者向けのバリアフリー賃貸住宅で、「安否確認」と「生活相談」サービスの提供が義務付けられています。あくまで「住宅」としての位置づけであり、介護が必要な場合は、訪問介護など外部のサービスを個別に契約して利用するのが基本です。
社会福祉士
福祉全般に関する相談援助を行う国家資格を持つ専門職(ソーシャルワーカー)です。高齢者や障害者だけでなく、子どもや生活困窮者など支援対象が非常に幅広いのが特徴です。利用できる制度やサービスにつなぎ、行政や医療機関など様々な関係者との「橋渡し役」として活躍します。
障害者施設
主に「障害者総合支援法」に基づき、年齢にかかわらず障害のある人々を支援する施設・事業所の総称です。高齢者を対象とする介護保険施設とは根拠法が異なります。就労支援、生活介護、共同生活援助(グループホーム)など、障害の特性やニーズに応じた多様なサービスを提供しています。
小規模多機能
「通い(デイサービス)」を中心に、利用者の状態や希望に応じて「泊まり(ショートステイ)」と「訪問(訪問介護)」を柔軟に組み合わせて利用できる地域密着型サービスです。なじみのスタッフから一貫したケアを受けられるため、特に環境の変化に敏感な認知症の方にとって安心感が高いのが特徴です。
ショートステイ(短期入所生活介護)
介護施設に短期間(最長連続30日)宿泊し、日常生活の支援や機能訓練を受けられるサービスです。介護者の病気や冠婚葬祭、あるいは介護疲れの解消(レスパイトケア)が主な利用目的です。将来の施設入所を考えた際の「お試し利用」としても活用されます。
身体拘束
利用者の行動の自由を制限する行為のことで、「切迫性」「非代替性」「一時性」の3つの要件をすべて満たす緊急やむを得ない場合を除き、原則として禁止されています。ひもで縛るなどの物理的な拘束だけでなく、薬物による「ドラッグロック」や、言葉で行動を制止する「スピーチロック」も含まれます。利用者の尊厳を損ない、心身に深刻な弊害をもたらすため、廃止に向けた取り組みが求められます。
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