看護師関連の用語
ICU(集中治療室)
生命の危機的状況にある重篤な患者に対し、24時間体制で集中的な治療と看護を提供する専門病棟です。「Intensive Care Unit」の略称です。ICU看護師の主な役割は、人工呼吸器や心電図モニター、輸液ポンプなど多数の生命維持管理装置を駆使し、患者のバイタルサインや検査データを継続的に監視・分析する全身管理です。患者の状態のわずかな変化が生命に直結するため、高度なアセスメント能力と迅速な判断力、そして急変時に的確に対応できる臨床技術が求められます。患者対看護師の比率が原則2対1と手厚く配置されており、患者が意識不明瞭であったり、鎮静下にある場合も多いため、家族への精神的支援や意思決定支援も重要な職務となります。
アセスメント
看護過程の第一段階であり、患者の状態を評価・分析する極めて重要なプロセスです。単なる情報収集ではなく、患者からの訴えなどの「主観的情報(S情報)」と、バイタルサインや検査データ、観察所見といった「客観的情報(O情報)」を体系的に収集し、それらを統合・解釈して患者が抱える健康上の問題点や潜在的なリスクを明確にすることを指します。このアセスメントの質が、その後の看護過程全体の方向性と妥当性を決定づけます。
医療DX
デジタル技術を活用して、医療サービスの質向上と業務効率化を目指す変革のことです。「Medical Digital Transformation」の略です。看護分野では、記録業務の自動化やAIによる見守り支援などにより、看護師が記録作業などに費やす時間を減らし、患者と向き合う直接的なケアの時間を増やすことが期待されています。
インシデントレポート
医療現場において、結果的に患者に被害は及ばなかったものの、医療ミスにつながる可能性があった出来事(インシデント、ヒヤリ・ハット)について、その詳細を記録・報告する文書です。その最大の目的は、個人の責任追及ではなく、インシデントの情報を組織全体で共有・分析し、同様の事象の再発を防止することで、重大な医療事故(アクシデント)を未然に防ぐことにあります。
SBAR
医療現場、特に緊急時において、患者に関する重要な情報を多職種(主に医師)へ報告する際に用いられる、構造化されたコミュニケーションツールです。報告内容を標準化することで、情報の伝達漏れや誤解を防ぎ、迅速かつ的確な意思決定を支援し、医療安全を向上させることを目的としています。以下の4つの要素の頭文字から構成されます。「S (Situation; 状況)」「B (Background; 背景)」「A (Assessment; 評価)」「R (Recommendation; 提案・要請)」。
オペ室(手術室)
外科的な手術が行われる専門区画であり、そこで勤務する看護師は「オペ室看護師」または「オペナース」と呼ばれます。主な役割は、執刀医に器械を手渡す「器械出し看護師」と、手術全体の進行を管理する「外回り看護師」に分かれ、高度な専門知識と技術、極度の緊張下で冷静に判断する精神力、そして緻密なチームワークが不可欠です。
カテーテルアブレーション
不整脈の原因となる心筋の異常な電気興奮部位を、カテーテルを用いて高周波電流で焼灼(しょうしゃく)する治療法です。看護師は、治療前から治療後まで一貫して患者に関わり、精神的支援、治療中のバイタルサイン監視、治療後の合併症の早期発見と管理など、専門的な観察力とケアが求められます。
看護過程
個々の患者に対して最適かつ個別的な看護を提供するための、組織的・系統的な問題解決プロセスです。看護師が専門的判断に基づき看護を実践するための思考の枠組みであり、「アセスメント」「看護診断」「計画立案」「実施」「評価」の5つの構成要素から成ります。
看護記録
看護師が実施した一連の看護実践の過程と結果を記録した公式文書で、「診療録」の一部を構成します。その目的は、看護実践の証明、継続看護の担保、質の評価と向上、法的証拠など多岐にわたります。看護記録の保存期間は、医療法施行規則では2年間と規定されていますが、実務上は診療録と一体で管理されるため、事実上5年間の保存が推奨されています。
看護計画
看護過程の第3段階であり、アセスメントと看護診断によって明確化された患者の健康上の問題に対し、その解決や軽減を目指すための具体的な行動計画書です。看護目標、具体的な観察項目(O-P)、ケア項目(T-P)、教育・指導項目(E-P)などが含まれ、チーム全体の看護師がケアの方向性を共有するための「羅針盤」となります。
看護師長
一つの看護単位(病棟や外来、手術室など)における看護業務および看護スタッフを統括する管理職です。部署の看護ケアの質の維持・向上に責任を持つと同時に、スタッフの労務管理、資源管理、他部署との連携・調整など多岐にわたる業務を担います。高度なマネジメントスキルが求められるポジションです。
緩和ケア
生命を脅かす疾患に直面している患者とその家族に対し、痛みなどの身体的苦痛や、不安などの精神的苦痛を、診断された早期から治療と並行して和らげるアプローチです。終末期に限らず行われる点でターミナルケアとは区別され、患者がその人らしく過ごせるよう支援する中心的な役割を看護師が担います。
救急外来(ER)
病気や怪我の種類、重症度にかかわらず、すべての救急患者を初期診療する部門です。「Emergency Room」の略称です。救急外来の看護師は、来院した患者の緊急度や重症度を判断して治療の優先順位を決定する「トリアージ」を迅速に行うことが求められ、幅広い知識と高度な技術、精神的な強靭さが必要不可欠です。
クリニカルパス
特定の疾患や手術などに対して、入院から退院までに行われる標準的な治療・検査・ケアのスケジュールを時系列で示した診療計画書です。医療の質を標準化・向上させ、チーム医療の効率化を図ることを目的とします。患者自身が入院生活の見通しを把握し、治療に主体的に参加することを促すツールとしても活用されます。
三交代制
24時間の看護業務を「日勤」「準夜勤」「深夜勤」の3つの勤務帯に分け、スタッフが交代で勤務する体制です。1回の勤務時間が約8時間と二交代制に比べて短いため、勤務中の身体的・精神的負担は比較的軽いとされますが、勤務間隔が短くなりやすく、生活リズムが不規則になりやすい側面もあります。
主任看護師
看護師長を補佐し、病棟など看護単位における看護実践のリーダー的役割を担う中間管理職です。現場の看護師への指導・教育、日々の業務調整、困難事例への対応、看護ケアの質の向上に向けた取り組みの推進などを行います。豊富な臨床経験と高い実践能力に加え、リーダーシップが求められます。
心電図モニター
心臓の電気的な活動を継続的に波形として記録・表示し、心拍数や不整脈の有無などをリアルタイムで監視する医療機器です。看護師は、モニター心電図の波形を正しく判読し、危険な不整脈の出現をいち早く察知して迅速に対応することが、患者の急変を救う上で極めて重要な役割となります。
准看護師
保健師助産師看護師法に基づき、都道府県知事の免許を受けて、医師、歯科医師または看護師の指示を受けながら療養上の世話または診療の補助を行うことを業とする者です。看護師が国家資格であるのに対し、准看護師は都道府県知事免許であり、業務の自律性や看護計画の立案可否において法的な違いがあります。
褥瘡管理
「床ずれ」とも呼ばれる褥瘡の発生を予防し、発生した褥瘡を治療・ケアする一連の活動です。リスク評価、体圧分散ケア(体位変換など)、スキンケア、栄養管理、創傷管理などが含まれ、看護ケアの質を評価する重要な指標の一つです。多職種チームでの連携が不可欠となります。
せん妄
主に高齢の入院患者に見られる一過性の精神機能障害で、注意力や思考力が低下し、意識レベルが変動する状態です。幻覚や興奮、見当識障害などが急激に出現します。看護師は、睡眠環境の調整や安心できる環境整備といった予防的介入と、発症時の安全確保、穏やかなコミュニケーションが重要となります。
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