シニアジョブエージェントの職種別用語集

弁護士関連の用語

委任契約 依頼者が弁護士に法律事務の処理を依頼し、弁護士がこれを承諾することで成立する契約です。弁護士が代理人として相手方との交渉や訴訟活動を行うための根拠となります。弁護士職務基本規程により、受任する事件の範囲、弁護士報酬の内容などを明記した委任契約書を作成することが原則として義務付けられています。これは、医療におけるインフォームド・コンセントと同様に、依頼者が業務内容と費用を十分に理解し、納得した上で依頼するための重要な手続きです。 M&A 「Mergers(合併)and Acquisitions(買収)」の略称で、企業の合併や買収の総称です。企業の成長戦略、事業再編、事業承継など様々な目的で行われます。代表的な手法として、会社の経営権そのものを売買する「株式譲渡」、事業の一部または全部を売買する「事業譲渡」、複数の会社を一つの法人格に統合する「合併」、事業を別会社に承継させる「会社分割」などがあり、それぞれ会社法上の手続きや税務上の取り扱いが異なります。 株式譲渡 会社の株主が保有する株式を買い手に売却することで、会社の経営権を移転させるM&Aの手法です。会社そのものは存続し、株主が変わるだけなので、契約関係や許認可なども原則としてそのまま引き継がれ、他の手法に比べて手続きが比較的簡便であるため、特に中小企業のM&Aで最も多く用いられます。ただし、会社を丸ごと引き継ぐため、帳簿に現れない債務(簿外債務)なども引き継ぐリスクがあります。 株主総会 株式会社の株主によって構成される、会社の最高意思決定機関です。取締役の選任・解任、定款の変更、合併や事業譲渡といった会社の組織や事業に関する重要事項、役員報酬の決定など、会社の根幹に関わる事項を決議する権限を持ちます。日々の業務執行は取締役会に委ねられますが、その取締役会を監督する立場にあり、株式会社の所有者である株主の意思を経営に反映させるための最も重要な機関です。 強制執行 確定判決や和解調書などで認められた権利(債権)の内容を、相手方(債務者)が任意に履行しない場合に、国家権力によって強制的に実現する手続きです。金銭債権の回収のためには、債務者の給与や預金などの「債権執行」、不動産を差し押さえて競売にかける「不動産執行」、家財などを差し押さえる「動産執行」といった種類があります。 刑事手続 犯罪の捜査から、被疑者の起訴、裁判(公判)、そして刑の執行に至るまでの一連の流れを定めた手続きです。個人の人権を大きく制約する可能性があるため、刑事訴訟法によって厳格なルールが定められています。捜査機関による「逮捕」「勾留」といった身柄拘束、検察官による起訴・不起訴の判断、そして裁判所における公判手続を経て、有罪か無罪か、有罪であればどのような刑罰を科すかが決定されます。 控訴・上告 裁判所の判決に対する不服申立制度です。「控訴」は、第一審(主に地方裁判所)の判決に不服がある場合に、高等裁判所に再度の審理を求める手続きです。「上告」は、控訴審(高等裁判所)の判決に不服がある場合に、最高裁判所に判断を求める手続きです。ただし、上告が認められるのは、憲法違反や重大な法律解釈の誤りがある場合などに限定されており、事実認定の当否は原則として審理されません。 顧問弁護士 企業や個人と継続的な委任契約を結び、日常的に発生する法的問題について助言を行う弁護士です。その役割は、紛争が発生した際の対応(対症療法)だけでなく、契約書のレビューやコンプライアンス体制の構築を通じて法務リスクを未然に防ぐ「予防法務」に重点が置かれます。医療における「かかりつけ医」のように、事業内容や内情を深く理解しているため、有事の際にも迅速かつ的確な対応が可能です。契約形態は月額の顧問料が基本ですが、具体的な案件対応には別途費用が発生することが一般的です。 財産分与 離婚する際に、夫婦が婚姻期間中に協力して築き上げた共有財産を、それぞれの貢献度に応じて公平に分配することです。貢献度は原則として2分の1ずつとされ、預貯金、不動産、自動車、保険、有価証券などが対象となります。どちらか一方の名義になっている財産でも、婚姻中に得たものであれば共有財産とみなされます。慰謝料とは別の制度ですが、慰謝料的な要素を含めて財産分与の割合を調整することもあります。 守秘義務 弁護士が職務上知り得た依頼者の秘密を、正当な理由なく第三者に漏らしてはならないという、弁護士法および刑法で定められた極めて重要な義務です。この義務は弁護士を辞めた後も生涯続きます。依頼者が自らにとって不利益な事実も含めて安心して弁護士に開示できるのは、この厳格な守秘義務によって信頼関係が担保されているためです。依頼者の同意がある場合や、弁護士自身の権利を守るためなど、ごく例外的な場合にのみ開示が許されます。 親権 未成年の子を監護・養育し(身上監護権)、その財産を管理し、子を代理して法律行為を行う、親の権利と義務の総称です。 婚姻中は父母が共同で親権を行使しますが、2024年の民法改正(2026年までに施行予定)により、離婚後の親権制度が大きく変わりました。改正後は、父母の協議によって、どちらか一方を親権者とする「単独親権」か、父母双方を親権者とする「共同親権」かを選択できるようになります。 協議が整わない場合は、家庭裁判所が「子の利益」を最優先に考慮して、単独親権か共同親権かを定めます。ただし、父母の一方によるDVや子への虐待のおそれがあるなど、共同で親権を行うことが子の利益を害すると認められる場合には、裁判所は必ず単独親権としなければなりません。 共同親権となった場合でも、日常的な監護や教育に関する事項は一方の親が単独で決定できますが、子の転居や進学先の決定、重要な医療行為など、子の人生に大きな影響を与える重要事項については父母双方の合意が必要です。親権者とならない親にも、子と面会交流する権利が認められます。 事業譲渡 会社が営む事業の一部または全部を、他の会社に譲渡するM&Aの手法です。株式譲渡と異なり、譲渡する資産や負債、契約などを個別に選別できるため、買い手は不要な事業や簿外債務を引き継ぐリスクを回避できます。一方で、個々の資産や契約ごとに移転手続きが必要となり、取引先の同意や従業員の再雇用、許認可の再取得など、手続きが煩雑になる側面があります。 準備書面 民事訴訟において、当事者が口頭弁論期日に先立って、自らの主張や相手方の主張への反論を記載して裁判所に提出する書面です。訴状と答弁書以降の主張のやり取りは、主にこの準備書面の交換によって行われます。期日前に準備書面を提出することで、争点を整理し、審理を効率的に進めることを目的としています。 成年後見制度 認知症、知的障害、精神障害などによって判断能力が不十分な人の財産管理や身上監護(生活や医療・介護に関する契約など)を、法的に支援し、本人の権利を保護するための制度です。本人の判断能力が低下した後に家庭裁判所が後見人等を選任する「法定後見」と、判断能力があるうちに将来に備えて自ら後見人を選んでおく「任意後見」の2種類があります。 接見交通権 逮捕・勾留によって身柄を拘束されている被疑者・被告人が、弁護人と立会人なしで面会し、書類や物の授受をすることができる権利です。刑事訴訟法で保障されており、外部との連絡を絶たれた被疑者・被告人が防御の準備を行うための生命線ともいえる重要な権利です。捜査機関は、捜査に顕著な支障が生じる場合に限り、接見の日時等を指定できますが、接見そのものを禁止することはできません。 訴状 民事訴訟を開始するために、原告が裁判所に提出する最初の書面です。誰が(原告)、誰に対して(被告)、どのような判決を求めるのか(請求の趣旨)、そしてその判決を求める根拠となる事実関係や法的主張(請求の原因)が記載されています。訴状が裁判所に受理され、被告に送達されることで、正式に訴訟が係属します。医療でいえば、患者の症状と求める治療を記した「診療申込書」にあたります。 逮捕・勾留 いずれも被疑者の身柄を拘束する刑事手続ですが、期間と要件が異なります。「逮捕」は、捜査の初期段階で行われる比較的短期間の身柄拘束で、警察段階で最大48時間、検察段階で最大24時間の合計72時間が上限です。「勾留」は、逮捕に引き続き、検察官が裁判官に請求して認められる、より長期間の身柄拘束です。原則10日間、延長が認められるとさらに最大10日間、合計で最大20日間に及びます。 着手金・成功報酬 弁護士に事件を依頼する際の代表的な報酬体系です。「着手金」は、事件の結果にかかわらず、依頼時に支払う費用で、弁護士が業務に着手するための対価です。「成功報酬(報酬金)」は、事件が成功裏に終了した際に、その成功の程度に応じて支払う費用です。例えば、訴訟で勝訴したり、交渉で有利な和解が成立したりした場合に発生します。これらの金額は、紛争の経済的利益の額を基準に算定されることが多く、委任契約書で明確に定められます。 答弁書 訴状を受け取った被告が、原告の請求や主張に対して、最初に自らの言い分を記載して裁判所に提出する書面です。訴状に書かれた「請求の趣旨」に対する答弁(請求を認めるか棄却を求めるか)と、「請求の原因」に記載された事実関係を認めるか否認するかを明らかにします。被告がこれに反論を記載して提出することで、訴訟における争点が明確になります。 内容証明郵便 「いつ、どのような内容の文書を、誰から誰宛に差し出したか」を日本郵便が証明してくれるサービスです。文書の内容自体に法的な拘束力を与えるものではありませんが、契約解除の通知や債権の督促など、後日「言った、言わない」の争いを防ぐための証拠として極めて有効です。また、消滅時効の完成を一時的に猶予させる「催告」の証拠としても利用されます。

34の求人があります (1~20件を表示中)