弁護士関連の用語
パラリーガル
法律事務所において、弁護士の指示・監督のもとで専門的な法律事務を補助する職員です。「法律事務職員」とも呼ばれます。主な業務は、判例や法令のリサーチ、契約書や裁判所提出書類のドラフト作成、案件管理など多岐にわたります。パラリーガルのサポートにより、弁護士は法的判断や戦略立案といったコア業務に集中でき、事務所全体のサービス品質と効率が向上します。弁護士と同様に、職務上知り得た情報に対する守秘義務を負います。
被疑者・被告人
刑事手続において、犯罪の嫌疑を受けている者の呼び名です。「被疑者」は、犯罪の疑いをかけられ捜査の対象となっているが、まだ起訴されていない段階の人物を指します。検察官によって起訴されると、その呼び名は「被告人」に変わります。被告人になっても、有罪判決が確定するまでは無罪と推定されますが、保釈を請求できる権利が生じるなど、法的な地位に変化が生じます。
弁護士事務所
弁護士が法務サービスを提供するための事業体です。弁護士法により「法律事務所」と称することが義務付けられており、弁護士は原則として複数の事務所を設置できません。2002年の法改正で設立可能となった「弁護士法人」と、個人または複数の弁護士が共同で運営する個人事業形態があります。法人化により支店の設置が可能となり、大規模化・専門化が進む事務所が増えています。事務所内では、共同経営者である「パートナー」、雇用されている「アソシエイト」、弁護士を補助する「パラリーガル」といった階層構造が見られます。
法テラス
「日本司法支援センター」の愛称で、総合法律支援法に基づき設立された公的な法人です。経済的に余裕のない人が法的トラブルにあった際に、無料で法律相談を行ったり、弁護士や司法書士の費用を無利息で立て替える「民事法律扶助」などの業務を行っています。利用には収入や資産に関する一定の要件を満たす必要がありますが、誰もが経済的な理由で司法アクセスを断念することのないよう、セーフティネットとしての役割を担っています。
保釈
起訴された後、勾留されている被告人が、保証金を納付することを条件に、判決までの間、一時的に身柄の拘束を解かれる制度です。被告人には原則として保釈を請求する権利(権利保釈)が認められていますが、過去に重罪の前科がある場合や、証拠隠滅のおそれがある場合など、一定の除外事由に該当すると認められません。その場合でも、裁判所の裁量によって保釈が許可される(裁量保釈)ことがあります。
民事訴訟
個人や法人の間で生じた、貸したお金の返還、不動産の明け渡し、損害賠償の請求といった私的な権利や法律関係に関する紛争を、裁判所が法に基づいて解決するための手続きです。原告が「訴状」を提出することで開始され、被告が「答弁書」で反論し、その後は「準備書面」で主張を重ね、最終的に裁判所が「判決」を下すのが基本的な流れです。判決に至る前に、話し合いによる「和解」で解決することも多くあります。
無罪推定の原則
刑事裁判において、被告人は有罪判決が確定するまでは無罪として扱われなければならないという、近代刑事司法の基本原則です。この原則から、犯罪事実の証明責任はすべて検察官が負い、被告人側が無罪を証明する必要はないこと、そして証拠によって有罪であると確信できない場合は無罪としなければならない(疑わしきは被告人の利益に)というルールが導かれます。
黙秘権
被疑者・被告人が、自己に不利益な供述を強要されない権利です。憲法および刑事訴訟法で保障されており、取調べや公判において、質問に対して終始沈黙を守ったり、個々の質問への回答を拒否したりすることができます。黙秘権を行使したことを理由に、不利益な扱いを受けることはありません。これは、供述を強要することによって冤罪が生じることを防ぐための重要な人権です。
遺言
人が自らの死後の財産や身分に関する事項について、最終的な意思を表示する法律行為です。遺言がある場合、原則として法定相続よりも遺言の内容が優先されます。ただし、相続人全員が合意すれば、遺言と異なる内容で遺産分割協議を行うことも可能です。遺言には、自筆で作成する「自筆証書遺言」や、公証役場で作成する「公正証書遺言」などの方式があり、それぞれ法律で厳格な要件が定められています。
利益相反
弁護士が、ある依頼者に対する忠実義務が、他の依頼者への義務や自己の利益と衝突する状況を指します。弁護士法および弁護士職務基本規程により、利益相反にあたる事件の受任は厳しく禁止されています。例えば、ある事件で受任している依頼者の相手方から、別の事件の依頼を受けることなどが典型例です。これは、弁護士の職務の公正さを保ち、依頼者の利益を完全に保護するための重要な倫理規定です。
離婚
有効に成立した婚姻関係を、夫婦が生存中に解消することです。当事者間の話し合いと役所への届出で成立する「協議離婚」が最も多いですが、合意できない場合は、家庭裁判所での「調停離婚」、それでも不成立の場合は「裁判離婚」へと進みます。離婚に際しては、未成年の子がいる場合の「親権」や養育費、婚姻中に夫婦で築いた財産を分ける「財産分与」、離婚原因を作った側が支払う「慰謝料」などを取り決める必要があります。
リーガルテック
法律(Legal)と技術(Technology)を組み合わせた造語で、AIやクラウドなどのIT技術を活用して、法務関連業務を効率化・高度化するサービスやその動きを指します。具体例としては、AIによる契約書レビュー支援、電子契約サービス、クラウド型の事件・契約管理システム、判例や法令の高度な検索サービスなどがあります。これにより、弁護士や法務担当者は定型的な作業から解放され、より戦略的な業務に集中することが可能となります。
労働審判
解雇や賃金未払いなど、個々の労働者と事業主との間の労働関係に関する紛争を、迅速、適正かつ実効的に解決することを目的とした裁判所の手続きです。裁判官1名と労働関係の専門家である労働審判員2名で構成される労働審判委員会が、原則として3回以内の期日で審理を終えます。まずは調停(話し合い)による解決を目指し、まとまらない場合に事案の実情に応じた審判が下されます。
和解
民事訴訟の係属中に、当事者双方が互いに譲歩し、話し合いによって紛争を自主的に解決することです。裁判所で行われた和解が成立すると、その内容が「和解調書」に記載され、この調書は確定判決と同一の効力を持ちます。これにより、相手方が和解内容を履行しない場合には、和解調書に基づいて強制執行を申し立てることが可能となります。
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