会計事務所関連の用語
公認会計士事務所
公認会計士が設立し、運営の主体となっている会計事務所を指します。監査業務に加え、高度な会計コンサルティング、M&A支援、IPO支援など、専門性の高いサービスを提供している場合があります。監査法人とは異なり、個人または少数の公認会計士によって運営されることが一般的です。税理士業務も併せて提供している事務所も多く、クライアントの規模やニーズに応じて、監査、税務、アドバイザリーサービスを総合的に提供します。特に中小企業や成長企業に対して、よりパーソナルなコンサルティングを行う傾向があります。
顧問契約
企業や個人事業主が、会計事務所や税理士と継続的なアドバイスや業務委託を目的として締結する契約です。月次での訪問や相談、記帳指導、税務相談、経営助言などが一般的なサービス内容に含まれます。契約内容によって料金や提供サービスは異なります。契約内容により、記帳代行、給与計算、月次決算報告、決算申告業務、年末調整、税務調査立会いなどが含まれます。料金は、事業規模、取引量、訪問頻度、提供サービスの範囲などによって異なり、月額数万円から数十万円程度が一般的ですが、より高度なコンサルティングを含む場合は高額になることもあります。
財務諸表
企業の財政状態や経営成績を利害関係者(株主、債権者、投資家など)に報告するために作成される書類の総称です。主に、貸借対照表(B/S)、損益計算書(P/L)、キャッシュフロー計算書(C/F)から構成され、これらは「財務三表」とも呼ばれます。これら財務三表に加え、上場企業などでは株主資本等変動計算書、附属明細書も作成が求められます。会社法や金融商品取引法などの法律により作成が義務付けられており、企業の透明性を確保し、投資家や債権者などの意思決定に資する情報を提供することを目的とします。連結グループを形成している場合は、連結財務諸表の作成も必要となります。
資金繰り
会社経営における現金の収入と支出を管理し、資金不足に陥らないように調整することです。資金繰り表を作成し、将来の資金収支を予測・管理することが重要です。会計事務所は、資金繰り表の作成支援や改善アドバイス、融資相談などを行うことがあります。資金繰り表は、一定期間の現金の収入と支出を予測・実績管理するもので、資金ショート(支払不能)を回避するために不可欠です。会計事務所は、資金繰り表の作成支援、資金繰り改善のアドバイス、金融機関からの融資支援(事業計画策定、交渉支援など)、補助金・助成金活用支援などを通じて、企業の資金繰りをサポートします。
資産税
個人や法人が所有している土地、家屋、株式などの「資産」に対して課される税金の総称です。代表的なものには、毎年課税される固定資産税や都市計画税、資産の移転時に課税される相続税や贈与税などがあります。対象となる資産の種類や評価方法、税率はそれぞれ異なり、専門的な知識が求められます。会計事務所の税理士などがこれらの税務相談や申告業務を扱います。固定資産税と都市計画税は、毎年1月1日現在の土地、家屋、償却資産の所有者に対して課税されます(固定資産税の標準税率は1.4%、都市計画税の制限税率は0.3%)。相続税は、亡くなった方から財産を相続した際に課され、基礎控除額(例:3000万円 + 600万円 × 法定相続人の数)を超える場合に申告・納税が必要です。贈与税は、個人から財産をもらった際に課されます。これらの税金は評価方法や控除制度が複雑なため、専門的な知識が求められます。
消費税
商品の販売やサービスの提供などの取引に対して課される間接税です。事業者は消費者から預かった消費税を国に納付する義務があります。課税事業者と免税事業者の区分があり、仕入れにかかった消費税を控除する仕入税額控除の制度があります。2023年10月1日からインボイス制度(適格請求書等保存方式)が開始され、買手は原則として適格請求書(インボイス)の保存がなければ仕入税額控除を受けられなくなりました。インボイスを発行できるのは、税務署に登録した適格請求書発行事業者(主に課税事業者)に限られます。これにより、免税事業者との取引や経理実務に大きな影響が生じています。
所得税
個人の所得に対して課される国税です。利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、譲渡所得など、様々な種類の所得が課税対象となります。累進課税方式が採用されており、所得が多いほど税率が高くなります。所得は10種類に分類され、それぞれ計算方法が異なります。日本の所得税は、所得が多いほど段階的に高い税率が適用される超過累進税率方式を採用しています。各種所得控除(基礎控除、配偶者控除、社会保険料控除など)や税額控除(住宅ローン控除など)の制度があり、これらを適用することで納税額が軽減されます。
仕訳
企業の日々の取引を、簿記のルール(借方・貸方)に従って勘定科目に分類し、帳簿に記録するための基礎的な作業です。全ての会計処理の出発点であり、正確な仕訳が正確な財務諸表作成に繋がります。取引を原因と結果に分解し、資産・負債・純資産・収益・費用のいずれの増減に該当するかを判断し、適切な勘定科目を用いて借方(左側)と貸方(右側)に同額を記録します。例えば、商品を現金100円で仕入れた場合、借方に「仕入 100円」(費用の発生)、貸方に「現金 100円」(資産の減少)と記録します。正確な仕訳は、総勘定元帳への転記を経て、試算表、そして最終的に財務諸表の作成へと繋がるため、会計処理の出発点として極めて重要です。
事業承継税制
中小企業の円滑な事業承継を支援するため、後継者が非上場株式等を先代経営者から贈与または相続により取得した際に、一定の要件のもとで贈与税や相続税の納税を猶予または免除する制度です。法人版と個人版があり、特に特例措置では納税猶予の対象となる株式の範囲や後継者の要件が緩和されています。適用には認定支援機関(会計事務所など)の関与が求められる場合があります。
節税
法律の範囲内で、税負担を合法的に軽減するための対策や工夫のことです。所得控除の活用、税額控除の適用、経費計上の最適化など、様々な方法があります。会計事務所や税理士は、クライアントの状況に応じた適切な節税アドバイスを行います。脱税とは異なり、税法が認める制度や選択肢を有利に活用する行為です。例えば、法人においては役員報酬の適切な設定(定期同額給与、事前確定届出給与の活用)、生命保険料の損金算入、中小企業向けの税制優遇(投資促進税制など)の活用などがあります。個人においては、iDeCoやNISAといった非課税制度の利用、ふるさと納税による寄付金控除の活用なども節税策の一環です。適切な節税のためには、最新の税法知識と個別の状況判断が不可欠です。
税務会計
企業や個人の税金計算および申告に関連する会計処理全般を指します。法人税、所得税、消費税などの各種税法に基づき、適正な納税額を算出し、税務署への申告書類を作成する一連の業務です。会計事務所の主要業務の一つです。税務会計の主な目的は、法人税、所得税、消費税などの税金を正確に計算し、税務署へ申告・納税することです。財務会計が企業の財政状態や経営成績を外部利害関係者に報告することを目的とするのに対し、税務会計は課税の公平性を重視し、税法に基づいて所得(益金から損金を控除したもの)を計算します。そのため、財務会計上の利益と税務会計上の所得は必ずしも一致せず、その差を調整する税務調整(申告調整)が必要となります。
税務調査
税務署が、納税者の申告内容が適正であるかを確認するために行う調査のことです。帳簿書類や関連資料の確認、関係者への質問などが行われます。調査の結果、申告漏れや誤りが指摘された場合には、修正申告や追徴課税が行われることがあります。会計事務所は税務調査の立会いや事前準備をサポートします。税務調査には、事前に納税者(または税務代理人である税理士)に通知がある任意調査と、重大な脱税が疑われる場合に裁判所の令状を得て行われる強制調査(査察調査)があります。任意調査の場合でも、調査官には質問検査権があり、帳簿書類の提示・提出を求めることができます。調査期間は通常数日間で、調査対象期間は過去3~5事業年度分となることが多いです。税理士は、事前準備のサポート、調査当日の立会い、調査後の税務署との折衝などを行います。
税理士
税務に関する専門家であり、納税者の代理として税務署への申告・申請、税務書類の作成、税務相談などを行う国家資格です。個人事業主から大企業まで、幅広いクライアントの税務をサポートします。会計事務所や税理士法人に所属、または独立開業して活動します。税理士の独占業務は、①税務代理(申告、申請、不服申立て、税務調査立会いなど)、②税務書類の作成(確定申告書、届出書など)、③税務相談(税額計算、節税対策など)です。これらの業務は、有償・無償を問わず税理士資格がなければ行うことができません。記帳代行や経営コンサルティングも行いますが、これらは独占業務ではありません。公認会計士は、所定の手続きを経ることで税理士登録が可能です。
税理士事務所
税理士が主体となって運営する事務所で、主に税務に関する専門サービスを提供します。個人事業主から法人まで、税務申告、税務相談、記帳代行などを主な業務としています。税理士法に基づき、税理士が業務を行うために設ける事務所の正式名称です。個人経営の事務所が多く、地域密着型のサービスを提供する傾向があります。税理士法人(2名以上の税理士による法人組織)とは組織形態が異なります。「会計事務所」という名称で運営されていることも多いです。
総勘定元帳
全ての取引について、勘定科目ごとに日付順に記録・集計した主要な会計帳簿の一つです。各勘定科目の残高や増減を把握することができ、財務諸表作成の基礎資料となります。日々の取引はまず仕訳帳に記録され、その後、仕訳帳の各仕訳が勘定科目ごとに総勘定元帳の該当口座に転記されます。これにより、特定の勘定科目(例:現金、売掛金、売上など)の期中の動きと期末残高を一覧で確認することができます。電子帳簿保存法の対象帳簿の一つです。
相続税
亡くなった方(被相続人)から財産を相続した際に、その財産価額に対して課される税金です。財産の評価や遺産分割、各種控除の適用など専門的な知識が必要となるため、多くの会計事務所や税理士が相談や申告業務を扱っています。相続税の申告・納税は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内に行う必要があります。相続財産の総額が基礎控除額「3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)」を超える場合に申告義務が生じます。小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減などの特例を適用して納税額がゼロになる場合でも、申告は必要です。生前贈与の一部も相続財産に加算される場合があります(相続開始前一定期間内の贈与など)。
電子帳簿保存法
国税関係帳簿書類(仕訳帳、総勘定元帳、請求書、領収書など)を、紙媒体ではなく電子データで保存することを認める法律です。保存方法には「電子帳簿等保存」「スキャナ保存」「電子取引データ保存」の3つの区分があり、特に2024年1月からは電子取引で授受したデータ(メール添付の請求書PDFなど)の電子保存が原則として義務化されました。保存にあたっては、真実性の確保(改ざん防止措置など)と可視性の確保(検索要件など)が求められます。
内部統制
企業の事業活動が適正かつ効率的に行われるように、組織内部でルールや仕組みを整備し、運用することです。主な目的として、①業務の有効性・効率性、②財務報告の信頼性、③事業活動に関わる法令等の遵守、④資産の保全が挙げられます。金融商品取引法(J-SOX法)では上場企業等に財務報告に係る内部統制報告書の提出と監査が義務付けられており、会社法でも大会社等に内部統制システムの整備が求められています。
年末調整
給与所得者が毎月の給与から源泉徴収された所得税額と、年間の総所得に対する正規の所得税額との差額を精算する手続きです。通常、勤務先の会社が12月に行います。会計事務所は、企業の年末調整業務の代行や指導を行うことがあります。年末調整の対象となるのは、原則として「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している従業員で、年間の給与総額が2,000万円以下の人などです。生命保険料控除、地震保険料控除、配偶者控除、扶養控除などが年末調整で処理されます。医療費控除や初年度の住宅ローン控除などは年末調整ではできず、確定申告が必要です。
法人会計
株式会社などの法人が行う会計処理全般を指します。日々の取引の記帳から、月次試算表の作成、年次決算書の作成、法人税等の申告まで、企業活動に伴う金銭の流れを記録・管理し、財務状況を明らかにします。法人会計は、会社法や金融商品取引法、各種税法などの規制を受けます。株主や債権者などの外部利害関係者への情報提供(財務会計)と、法人税等の計算・申告(税務会計)、経営管理のための内部情報作成(管理会計)の側面を持ちます。会計基準としては、日本の会計基準のほか、上場企業などではIFRS(国際財務報告基準)を選択することも可能です。
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