自動車整備士関連の用語
自動車整備士国家資格
自動車の安全確保や公害防止のために、自動車の点検・整備・修理を行う上で必要な知識と技能を有することを国が認定する国家資格です。一級、二級、三級の等級があり、さらに扱う自動車の種類(ガソリン、ジーゼル、シャシ、二輪)によって細分化されています。自動車整備工場などで専門的な整備業務を行う上で必須または極めて有利となる資格であり、キャリアアップの指標ともなります。
スキャンツール(故障診断機)
現代の自動車に多数搭載されている電子制御ユニット(ECU)と通信し、システムに記録された故障コード(DTC)の読み取りや消去、各種センサーの出力データやアクチュエーターの作動状態のリアルタイム表示、アクチュエーターの強制駆動テスト、ECUのプログラミングやコーディング、作業サポート機能(エーミング作業時の調整補助やメンテナンスリセットなど)を実行するための専用診断機器です。「外部故障診断機」とも呼ばれます。複雑化・高度化する自動車の故障診断や整備において不可欠なツールとなっています。
整備工場
自動車の点検、整備、修理、部品交換などを総合的に行う施設です。独立して運営される工場や、特定の自動車メーカーの系列ではない工場(専業整備工場)、自社で車両を保有する運送会社やバス会社の整備部門など、様々な形態があります。地域に密着したサービスを提供し、多種多様なメーカーや車種の整備に対応できる幅広い技術力と経験が求められるため、シニア層の豊富な実務経験や熟練した技術が特に活かせる職場も多いです。また、認証工場や指定工場といった法的区分があり、行える業務範囲が異なります。
整備主任者
認証工場または指定工場において、道路運送車両法に基づき、その工場で行われる自動車の整備作業全般を技術的に統括し、特に分解整備が完了した自動車について、その自動車が保安基準に適合しているかどうかの最終的な点検・確認を行う役割を担う責任者です。また、整備記録簿の作成・管理や、工場内の他の整備士への指導・監督も行います。選任されるには、原則として二級以上の自動車整備士資格を有し、一定期間の実務経験と、地方運輸局長(またはその委託機関)が実施する整備主任者選任前研修を修了している必要があります。
タイヤ交換
摩耗が進んだタイヤや、パンク・サイドウォールの損傷などで使用できなくなったタイヤを新しいものに交換する作業、または季節の変わり目に夏用タイヤ(サマータイヤ)と冬用タイヤ(スタッドレスタイヤ)を履き替える作業です。安全な走行に直結する非常に重要な作業であり、タイヤの溝の深さ(スリップサインの露出状態)、ひび割れ、偏摩耗、空気圧などを日常的に点検し、適切なタイミングで交換する必要があります。作業時にはホイールバランスの調整も併せて行うことが一般的です。
定期点検
自動車の故障を未然に防ぎ、常に安全かつ良好な状態で使用できるようにするために、道路運送車両法で義務付けられている点検整備です。自家用乗用車の場合、12ヶ月ごとに行う「1年点検(法定12ヶ月定期点検)」と、車検と同時に行うことが多い「2年点検(法定24ヶ月定期点検)」が代表的です。エンジン、ブレーキ、サスペンション、ステアリング、動力伝達装置、灯火装置など、法律で定められた項目について詳細な点検を行い、必要に応じて部品交換や調整といった整備を行います。
ディーラー
特定の自動車メーカーと特約店契約を結び、そのメーカーの新車および認定中古車の販売、純正部品の供給、そしてメーカー基準に基づいた質の高い点検、整備、修理サービスを総合的に行う正規販売店です。最新の技術情報、専用の故障診断機(スキャンツール)、特殊工具などが利用可能で、メーカー独自の研修制度も充実している場合が多いです。新型車や特定メーカーの車種に関する深い専門知識・技術を習得・維持したい整備士に適しています。
電気自動車整備(EV整備)
バッテリーに蓄えられた電力のみを動力源として電気モーターで走行する電気自動車(EV)の点検、整備、修理を行うことです。高電圧大容量バッテリーシステム、駆動用モーター、インバーター、車載充電器、DC-DCコンバーター、バッテリー冷却システム、回生ブレーキシステムなど、ガソリン車やハイブリッド車とは異なる独自の構造やシステムに関する専門知識、そして高電圧システムを安全に取り扱うための専門技術と、感電防止のための特別な安全教育(低圧電気取扱業務特別教育など)の修了が必須となります。
特殊整備士
自動車整備士国家資格の中で、自動車の特定の装置や分野に関するより専門的な知識と技能を認定する資格です。「自動車車体整備士」(車体の板金・塗装、フレーム修正など)、「自動車電気装置整備士」(バッテリー、スターター、オルタネーター、エアコン、各種センサーなどの電気系統)、「自動車タイヤ整備士」(タイヤの点検、組換え、バランス調整、修理など)の3種類があります。それぞれの分野で深い専門性を追求したい整備士が取得を目指す資格です。
トランスミッション修理・交換
エンジンの動力を走行状況に応じて適切な回転数とトルク(回転力)に変換し、駆動輪に伝える重要な役割を担う変速機(トランスミッション)に発生した不具合を修理したり、アッセンブリー(部品一式)または個別の構成部品を交換したりする専門的な整備作業です。オートマチックトランスミッション(AT)、マニュアルトランスミッション(MT)、無段変速機(CVT)、デュアルクラッチトランスミッション(DCT)など、トランスミッションの種類に応じて構造や制御方式が大きく異なるため、それぞれの専門知識と高度な技術、専用工具が必要です。異音の発生、変速時のショックや滑り、オイル漏れなどの症状から原因を特定し、精密な分解・部品交換・調整、あるいはユニットごとの交換を行います。
2級自動車整備士
自動車整備士国家資格の一つで、自動車整備の現場における中核的な資格と位置付けられています。「2級ガソリン自動車整備士」「2級ジーゼル自動車整備士」「2級二輪自動車整備士」「2級自動車シャシ整備士」の4種類があり、取得した種類の自動車に関して、エンジンやブレーキなどの分解整備を含むほとんどの整備作業を単独で行うことができます。多くの整備工場で主力として活躍しており、整備主任者や自動車検査員を目指す上での基礎資格となります。
二輪車・バイク整備
オートバイやスクーター、原動機付自転車といった二輪車の点検、整備、修理、部品交換、カスタマイズ、車検(250ccを超える場合)などを行う専門的な業務です。エンジン、トランスミッション、ブレーキシステム、サスペンションといった機械的な部分に加え、電気系統(点火系、灯火類など)の専門知識も必要とされます。四輪車とは異なる専門知識や技術が求められ、二輪専門の販売店(ディーラー含む)、整備工場、大手バイク用品チェーンのピットサービスなどが主な職場となります。趣味性の高い乗り物であるため、顧客の要望を的確に汲み取り、安全性を考慮した上で適切なアドバイスやカスタム提案をするコミュニケーション能力も重要視されます。
認証工場
道路運送車両法に基づき、地方運輸局長から自動車の「分解整備」を行うことを認証された整備工場です。分解整備とは、エンジンやトランスミッション、ブレーキ、ステアリングといった自動車の安全確保や公害防止上、重要な装置を取り外して行う整備または改造のことを指します。認証工場ではこれらの重要な整備を行うことができますが、指定工場とは異なり、自社で車検の最終的な検査(完成検査)を行うことはできません。そのため、車検の際には整備した車両を運輸支局や指定工場に持ち込んで検査を受ける必要があります。
ハイブリッド車整備
ガソリンエンジンと高出力の電気モーターという2つ以上の動力源を搭載し、効率的に使い分けることで低燃費と高性能を両立するハイブリッド自動車(HV)の点検、整備、修理を行うことです。高電圧バッテリーシステム(ニッケル水素またはリチウムイオン)、インバーター(直流を高電圧交流に変換)、駆動用モーター、ジェネレーター(発電機)、回生ブレーキシステムなど、従来のガソリン車とは異なる特有の電気システムに関する深い専門知識に加え、高電圧部品を取り扱うための厳格な安全知識と専用の保護具(絶縁工具、絶縁手袋、絶縁靴など)、低圧電気取扱業務に係る特別教育の修了などが不可欠となります。
販売店
新車、中古車、またはその両方を取り扱う店舗で、多くの場合、購入後のアフターサービスとして整備部門を併設しています。自社で販売した車両の定期点検、車検、一般整備、故障修理に加え、中古車販売店では仕入れた車両を商品化するための納車前点検整備も重要な業務です。顧客と直接対話し、整備内容の説明やカーライフに関するアドバイスを行う機会も多く、技術力だけでなくコミュニケーション能力も重視されます。
板金・塗装
事故による損傷や経年劣化によって変形したり傷ついたりした自動車の車体(ボディパネルやフレームなど)を修復し、元の美しい状態に復元する専門技術です。「板金(鈑金)」は、凹んだり歪んだりした金属部分を専用の工具を用いて叩いたり、引き出したり、加熱したり、損傷の激しい場合はパネル部品を交換したりして、車体の骨格や外板を元の形状に精密に修復する作業を指します。「塗装」は、板金作業で修復された部分や、傷、錆、色あせなどが生じた部分に、下地処理(パテ盛り、研磨、サフェーサー塗布など)を施し、塗料をメーカー指定の配合に基づき調色し、スプレーガンなどで複数回に分けて均一に吹き付け、最終的に元の色合いと光沢、塗膜の強度を復元する作業です。どちらも高い技術力、経験、そして美的センスが要求される職人技です。
フレーム修正
交通事故などによって大きな衝撃を受け、歪んだり曲がったり、あるいは断裂したりといった損傷を受けた自動車の骨格部分であるフレーム(主にトラックなどの梯子型フレーム構造の車両の場合)またはモノコックボディ(現代の乗用車の多くで採用されている、ボディ全体で強度を保つ構造)を、専用の高度な三次元計測装置と油圧装置を備えた修正機(フレーム修正機、ボディ修正機、ジグ式修正機など)を用いて、メーカー発行の修理書に記載された基準寸法に基づき、ミリ単位の精度で元の正しい寸法や形状に精密に復元する専門的な板金作業です。自動車の基本的な走行性能、操縦安定性、衝突安全性、さらには外板パネルや部品の取り付け精度にも直結するため、熟練した技術と経験、そして車体構造に関する深い知識が求められます。主に専門の板金塗装工場で行われます。
ブレーキオーバーホール
自動車の安全にとって最も重要な制動装置(ブレーキシステム)を構成する主要な油圧部品(ディスクブレーキの場合はブレーキキャリパー、ドラムブレーキの場合はホイールシリンダー、そしてブレーキマスターシリンダーなど)を車両から取り外して分解し、内部のピストンやシールキット(ゴム部品)などの摩耗・劣化した部品を新品に交換し、清掃、点検、再組立てを行う作業です。ブレーキフルード(ブレーキオイル)の交換も同時に行うことが一般的です。ブレーキの利きが悪くなったり、ブレーキペダルの踏みしろが深くなったり、異音が発生したりする前に、定期的な点検と必要に応じたオーバーホールを実施することで、ブレーキ性能を最適な状態に維持し、安全性を確保します。
分解整備
道路運送車両法で定められた、自動車の安全性や公害防止に関わる重要な装置(原動機(エンジン本体)、動力伝達装置(トランスミッション、プロペラシャフト、ドライブシャフト、デファレンシャルなど)、走行装置(フロントアクスル、リアアクスル、サスペンションアームなど)、操縦装置(ステアリングギアボックス、タイロッドなど)、制動装置(ブレーキマスターシリンダー、ブレーキキャリパー、ブレーキドラムなど)、緩衝装置(ショックアブソーバー、スプリングなど)、連結装置(トレーラーヒッチなど))を取り外して行う整備または改造のことです。この分解整備を行うためには、工場設備、作業面積、従業員の資格・人数など一定の基準を満たし、地方運輸局長の「認証」を受けた整備工場(認証工場)である必要があります。
リコール対応
自動車メーカーが、設計または製造過程に起因する不具合により、特定の型式の自動車が道路運送車両の保安基準に適合しなくなるおそれがある、または既に適合していないと判断した場合に、その旨を国土交通大臣に届け出て、対象となる自動車の使用者に対して通知し、無料で点検・修理を行う制度(リコール)に関連する業務全般です。主にディーラーやメーカーから指定された整備工場が窓口となり、対象車両の確認、部品の手配、予約受付、部品交換や点検・修理作業の実施、作業記録の作成・メーカーへの報告などを行います。
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