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50代女性の仕事探しのコツは「シニア歓迎」と「長く続けられるか」を重視

片桐吉晶 【キャリアアドバイザー】

50代の女性が歓迎される仕事探しのコツや、定年がなく長く続けられる仕事、資格がない人にもおすすめの仕事を、シニア専門人材コーディネーターが解説。

目次

子育てや介護などの関係で主婦生活が長く、職歴にブランクがある50代の女性は多いことでしょう。
今回は、そんな50代女性のための仕事探しのコツを、多くのシニアを再就職に導いた人材コーディネーターが、統計データなどをひも解きながら解説します。
 

50代女性が歓迎される・活躍できる仕事の探し方

 まずは、ご自身が現役で働いていたときの経験や、過去に取得した資格を、履歴書や職務経歴書にひととおり書き出し、職務経験を一覧できるように整理してください。
これまでの経験と資格を踏まえ、これからどのような職種に就き、どのように自身の実力を発揮したいか、今後の方針を考えていくのです。
 
そして、自分がやりたい仕事を見つけるために求人サイトを覗いてみたときに、人材の募集要項に「体力に自信がある方を歓迎します!」「シフトにたくさん入れる方歓迎」などのキャッチコピーが書かれている仕事を見つけたとします。
この場合、「若者歓迎」とはっきり書かれてはいませんが、若い体力のある労働者を積極的に募っていることが透けて見えてくるはずです。このような、若者向けの仕事は応募の候補から外しましょう。
 
50代女性の求職者は、「年齢不問」「経験者歓迎」「主婦やシニアが大勢活躍しています」などの文言に注目してみてください。このような仕事の案内文であれば、50代の女性を歓迎している職種である可能性が大きいはずです。
 
また、50代の女性が歓迎される仕事を、シニア専門人材エージェントが見つけてくれる「シニア専門人材サイト」に会員登録しておくのもいいでしょう。
仕事探しにあまり時間が取れない忙しい主婦なら、エージェントが探してくれるサイトへ登録しておけば、職探しの手間が省けて便利です。
 
それでは、50代女性の仕事探しのコツをまとめます。
 
<50代女性の仕事探しのコツまとめ>

  • これまでの職務経験と取得資格をひととおり書き出し、それを元にこれから何の職務に就きたいかを考える
  • 求人サイトのキャッチコピーや案内文に注目し、50代女性が歓迎されている職種を見つける
  • シニア専門人材サイトに登録する

 
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30〜40代女性よりも50代女性を積極採用したい企業が多いのはなぜ?

オフィスワークで活躍する50代の女性
30代や40代の女性よりも、50代女性の労働力に魅力を感じる企業は多いものです。
 
子育て世代ともいえる30代から40代くらいの女性ですと、子供を預けている園や学童保育所へのお迎えや、子供の世話の関係で、時短勤務になるケースもあります。子供がまだ小さいと、発熱や急病も多く、それにともなう急な休みが発生しやすいため、労働時間の確保が難しくなります。
その点50代になると、子供がいても、子育てが一段落している可能性が高いため、若い世代の女性よりもフルタイムの勤務が容易になるのです。
 
また、50代より上の世代になると、通院、療養、治療、介護などに時間が取られる可能性が高くなり、またしても労働時間の確保が難しくなります。
そのような事情から、元気な50代女性を積極的に採用する企業が多いのです。
 
40代から50代の中高年女性の仕事探しに関しては、下記の記事を参考にしてください。
中高年女性の仕事探し!求人の種類・有望な職種・平均年収を解説
 

定年がない弁護士・税理士・社労士などの士業資格は一生の宝になる

弁護士や税理士、社労士(社会保険労務士)、司法書士、行政書士などの士業には、定年という概念がほとんどありません。人材コーディネーターとして仕事をしていると、50代や60代の方はもちろんのこと、80代の元気な士業の方々を多く見かけます。
 
税理士に関連した記事→税理士の年収と給料を徹底分解!シニア税理士でも給料UPの転職方法
 
士業の職務をまっとうするには、長年蓄積した確かな知識とともに、多くの経験が必要とされます。過去に携わった案件や事例の数が多いほうが、新しい案件にもスムーズに対応し、いち早く処理ができるからです。
士業の資格を持っていれば、たとえブランクがあって年齢を重ねていても、再就職の活動を有利に進めることができます。
 
また、シニアの方々が定年退職後にチャレンジしやすい資格として人気なのが、行政書士やFP技能士、司法書士などです。2021年度に実施された行政書士試験の最年長合格者は82歳の男性で、最年長申込者は97歳の男性だったことがわかっています(行政書士試験研究センター「令和 3 年度行政書士試験実施結果の概要」より)。
 
士業の資格があれば、50代だけでなく、60代や70代になっても、労働意欲と体力がある限り仕事を続けられる可能性が高いでしょう。
 
定年のない仕事については、下記のリンク先の記事も参考にしてみてください。
「定年のない仕事」には何がある?働き方や職種について徹底解説
 

過去に取得した資格や実務経験が役に立つ仕事

税理士や弁護士、社労士などの資格のほかにも、下記のような保有資格や実務経験があると、再就職の活動は進めやすいでしょう。
 

平均年齢は48.8歳の「介護職」

介護職として医療福祉の現場で活躍する女性
介護福祉士やケアマネジャー(介護支援専門員)、介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)などの資格を持っていてブランクがある人には、介護職への復帰がおすすめです。
 
超少子高齢化の社会では、介護現場における労働力も広い世代に頼らざるを得ません。
2019(令和元)年に公益財団法人介護労働安定センターが公開した「介護労働の現状について」という調査報告(PDF13ページ目)によれば、介護労働者全体の約半数となる45.4%を50歳以上の労働者が占めており、平均年齢も48.8歳でした。
 
介護労働者の年齢割合グラフ(50歳以上の割合は全体の45.4%)
 
平均年齢に近い50代女性の介護職復帰は、どの介護現場でも歓迎されるでしょう。

<介護に関連する記事>

 

需要が急増している「看護師」

厚生労働省医政局看護課が実施した2012(平成24)年の「看護職員の現状と推移」という調査報告(PDF2ページ目)によると、看護師の人数は毎年増加傾向にあります。
しかしその一方で、看護師の人手不足にあえいでいる医療や福祉の現場は少なくありません。超高齢化による患者数の増加や、コロナ禍などの影響から、看護の需要が急増していて、供給が追いついていないからです。
 
高齢の看護師率が少なくない診療所や介護老人保健施設などの現場ですと、50代でも若手と見なされることがありますので、50代女性の看護師が活躍できる場所は多いはずです。
 

対人スキルも重視される「医療事務」

総務や経理、営業などの事務職の場合、「若年層の長期キャリア形成のため」という名目で、年齢制限を設けているケースが多々あります。
 
一方、医療事務の求人は、ほかの事務職とは若干様子が異なります。医療事務の現場では、受付業務などを兼任することが多いため、事務のスキルだけでなく、患者さん対応などの対人スキルも重視されます。人生経験が豊富で、対人スキルやストレス耐性がある高齢の人のほうが、医療事務の求人では歓迎されやすいのです。
 
実際にシニアジョブエージェントを活用して、希望の年収どおりに医療事務として転職した方のインタビュー記事がありますので、ぜひ参考にしてみてください。
 
60歳以上でも希望年収どおりの転職に成功した医療事務の方にインタビューしました
 
医療事務の関連記事→医療事務の自己PRはこれで間違いなし!書類通過率が上がる履歴書の例文を紹介

経験者優遇の「税理士補助・税務アシスタント」

経理や会計業務の経験があれば、税理士補助(税務アシスタント)の仕事に就くことも可能です。税理士補助は、クライアント企業の経理事務が行う仕分けや伝票入力、書類管理などを代行するほか、帳簿の確認、給与計算、年末調整、経営者や経理担当者からの税務相談に付随した事務処理などを行います。
なお、経理経験だけでなく、税理士補助の業務経験があると、さらに採用されやすくなります。
 

高度なビジネススキルが要求される「法人営業」

企業などが営業先となる法人(BtoB)営業は、一般消費者が相手(BtoC)の営業職よりも、高度なビジネスマナーや交渉能力、プレゼン能力、マーケティング能力などが要求されます。そのため法人営業職は、まだ経験が浅い、若い年代の営業パーソンには敬遠されがちです。
以前筆者がお話を伺った、とある法人営業サービス提供企業の営業本部長の談話によると、法人営業職への応募者の大半は30代後半から50代の人なのだそうです。
 
ですので、たとえブランクがあっても法人営業の経験者であれば、営業職の採用率は高いはずです。
 

シニア求人が多い「調理師」

調理師としてレストランや医療施設などの厨房で活躍する50代女性
シニア求人の間口が広い職種としては、調理師の募集件数の多さが目立ちます。
そのほかにも資格を活かせるシニア向けの職種はたくさんありますので、シニアジョブエージェントの求人検索をぜひご活用ください。
 

資格なしの50代女性にもおすすめな「初心者・シニア歓迎」の仕事

「資格がないから、いい仕事がなかなか見つからない」とお悩みの50代女性は多いものですが、筆者はコーディネーターとして、資格を保有していない方にも、多くの職種を紹介してきました。続いては、50代の女性が歓迎される職種について、解説していきます。
 

「コールセンター・テレオペ」は初心者歓迎

求人需要が多いことで知られる「コールセンター」の業務には、さまざまなものがあります。
商品受注や、資料受付、ユーザーサポートなど、電話を受ける業務はインバウンド、テレアポ、インサイドセールス、アンケート調査など、電話をかける業務はアウトバウンドと言います。
 
実はコールセンターで働くほとんどの人は、未経験者として採用された人ばかりです。
コールセンターサービス事業者であるKDDIエボルバの調査によると、コールセンターで働く人のうち、70%はコールセンター未経験者で、そのうち55%の人の前職は接客や販売職だったそうです(コールセンターバイトの仕事内容とは?経験者が選ぶ他にはない魅力3選より)。
 
実際にコールセンター求人の募集要項を見てみると、「初心者歓迎」と書いてあるものがほとんどであることに気づくでしょう。さらに「週2〜3日でもOK」「シフト制で時間の融通がききます」などとされていることがほとんどです。ですので、コールセンターでは、アルバイトや副業として働くことも可能なのです。
 
コールセンターは、自分の都合で働く時間を調整しやすいので、体力的にフルタイムで働くのが心配な人や、自分のペースでブランクを埋めながら現役復帰をしていきたい人、家事の合間を縫って数時間だけ働きたい人、本業の空き時間を使ったWワークがしたい人などにもおすすめです。
 
もちろんアルバイトやパートタイムだけでなく、正社員登用があるコールセンター求人もありますので、しっかりフルタイムで働きたい50代女性にもぴったりです。
 

50代女性のパートタイム・アルバイトに関する記事

 

人気が高い「事務・アシスタント」

医療事務の項目でお伝えしたように、総務や経理、営業サポートなどの事務職の求人だと、「若年層の長期キャリア形成のため」という名目で年齢制限をかけている場合が多々あります。
とはいえ、年齢不問で採用を実施している求人も多いものです。
 
ショールーム受付などの顧客対応を兼務した事務職などは、対人スキルに自信がある人にはおすすめです。
ただし、未経験者歓迎の事務職やアシスタント職は、敷居が低い分、ライバルが多いのが難点です。
 

年齢不問求人が多い「店舗接客・カウンター接客」

カウンター接客で活躍する女性
デパートやスーパーマーケット、ショップ、飲食店などに立ってお客様と接する店舗接客は、年齢不問で求人募集されていることがほとんどです。仕事を覚える意欲があり、立ち仕事が苦ではなく、人と接するのが好きで、陽気な人に向いています。
 
体力的に不安な人は、受付やショールームの案内など、立ちっぱなしではないカウンター接客などの職種を選ぶといいでしょう。
 

資格がなくても採用率は高い「ハウスクリーニング・清掃・家事代行・ベビーシッター」

ハウスクリーニングや清掃業、家事代行、ベビーシッターなどは、資格がないとお悩みの50代女性におすすめの仕事です。業務として経験がなくても、実生活の経験があれば経験者とみなしてくれることが多いからです。
 
ハウスクリーニングをするのには体力がある程度必要とされますが、体が十分に動く50代の人であれば問題はありませんし、家事代行やベビーシッターなら、力仕事が少ないので無難です。
 
なお、ベビーシッターの国家資格はありませんが、民間のベビーシッター資格には、下記のようなものがあります。
 

  • 認定ベビーシッター(公益社団法人全国保育サービス協会の認定)
  • ベビーシッター資格(一般財団法人日本能力開発推進協会の認定)
  • ベビーシッター技能認定(一般財団法人日本医療教育財団の認定)

 
時間の余裕があるときに、このような資格を取ってみるのもいいかもしれません。
 
なお、上記の公益社団法人全国保育サービス協会が2017(平成29)年に調査した資料「ベビーシッター事業の現状と課題」(PDF8ページ目)によると、ベビーシッター(家庭訪問保育者)の年齢構成は、50歳以上が約65%を占めており、多くの50代女性が活躍していることがわかりました。
 
ベビーシッターの年齢割合グラフ(50歳以上の割合は全体の65%)
 
また、ベビーシッターが保有する資格としてもっとも多かったのは「保育士」で、全体の27.2%を占め、認定ベビーシッターが24.4%、幼稚園、小学校教諭免許が9.4%を占めていたそうです。保育士や幼稚園・小学校の教諭免許を持つ人が、拘束時間が長い保育園や幼稚園、小学校の教諭を辞め、自分のペースやプライベートを確保しながら働けるベビーシッターに転身するケースも増えているということがわかりました。
 
保育士や教員免許を持っている人はベビーシッターに向いていると言えますが、資格を持たずに働いている先輩方も大勢いますので、意欲を持ってベビーシッターに取り組める自信がある人は、ぜひ応募してみてください。
 
保育士の関連記事→定年後のシニアのキャリアとして保育士は魅力的
 

長く続けられる仕事の3つの条件

 50代から始めた仕事をこの先もずっと続けたいのであれば、下記の条件を頭に置いて、シニア向けの求人を探してみてください。
 

  1. 士業などの資格が重視されるもの
  2. 経験が重視されるもの
  3. 体力や身体能力が落ちても無理がなく続けられるもの

 
それでは詳しく解説していきます。
 

1.士業などの資格が重視されるもの

弁護士として法律事務所で活躍する50代女性
士業に関する説明の段落で、「多くの士業には定年という概念がない」とお伝えしました。やはり士業系に関わる仕事は長く続けられるでしょう。
なお、士業資格がないと悩んでいる人でも、今から資格取得のための勉強を始めても遅くはありません。
行政書士、FP技能士、司法書士は、定年後から勉強を始めた人も多くいる人気の資格ですし、行政書士やFP、司法書士などが手がける仕事は、今後AI(人工知能)が発達してもなくなる可能性は薄いはずです。
 

2.経験が重視されるもの

「初心者・未経験者歓迎」という求人は少なくありませんが、敷居が低い分、ライバルも多いものです。それよりも、「シニア・経験者歓迎」を掲げている職種を選んだほうが無難です。過去の経験を活かせる職種のほうが、再就職活動は有利に進められます。
 

3.体力や身体能力が落ちても無理がなく続けられるもの

体力重視の肉体労働や、視力を酷使するパソコンの入力業務などは、高齢になってくると対応が厳しいかもしれません。
座り仕事が中心の仕事や、パソコン作業が最低限で済む電話中心の仕事、通勤による体力を使わなくてもいい在宅ワークなどを検討してみましょう。
 
在宅ワークに関連した記事→高齢者にもおすすめな在宅ワーク・テレワークをシニア専門人材コーディネーターが解説
 

正社員ではなくパート・アルバイト・業務委託で仕事をするメリットとデメリット

業務委託として在宅・リモートワークする中年女性
50代で1日8時間、週5日のフルタイム勤務をするのは厳しいと感じている人には、正社員ではなく、パートタイムやアルバイト、業務委託契約という働き方がおすすめです。
パートタイムやアルバイトならば、体力の消耗を防ぐことができます。
 
また、企業に所属せずに業務委託契約という形を取れば、パートやアルバイトよりも時間の使い方を自由に設定できますので、気楽に仕事ができるでしょう。
 
ただし、業務委託の場合ですと、社会保険には入れませんので、自分で国民健康保険や国民年金に加入しなければならず、年末調整や確定申告も各自で行う必要があります。
なお、パートタイムやアルバイトの場合、一定の条件を満たせば、健康保険(全国健康保険協会、健康保険組合など)や厚生年金保険などに加入できることもあります。詳しいことは、入社した企業の総務や人事採用担当者に聞いてみてください。
 
個人事業主に関連した記事→業務委託・外注の年末調整と確定申告の方法は?定年退職後のシニア業務委託のお悩み解決!
 

50代女性歓迎の仕事が探しやすいシニア専門の求人サイトの利用がおすすめ

50代女性歓迎の仕事を探すのなら、シニア専門の求人サイト「シニアジョブエージェント」のご利用がおすすめです。
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60代以上の仕事探しに関しては、下記の記事を参考にしてください。
60歳からの働き方 シニアに人気の職種・仕事内容・業界をコーディネーターが解説 

50代女性のライフスタイル記事

この記事の監修者

片桐吉晶 【キャリアアドバイザー】

キャリアアドバイザーとして、転職相談5,000名以上、紹介企業数10,000社以上に対応。年間800名の履歴書、職務経歴書を作成。建設業界や自動車業界、医療・介護業界の人材市場を熟知。「シニア人材の適切な採用・育成方法」などのテーマで、企業セミナーに講師として登壇中。

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