60歳以上でも希望年収どおりの転職に成功した医療事務の方にインタビューしました
60歳以上でも希望年収どおりの転職に成功した医療事務の三本杉さんと、採用側である千葉白井病院の医事課課長小川さんにインタビューしました。
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60歳を過ぎてからの転職は、誰しも不安なもの。これまでに転職経験がある方でも、60歳以上ではどのような変化があるかわからず、躊躇しがちです。
しかし、千葉県在住の三本杉伊都子さん(取材当時61歳)は、不安や戸惑いを感じながらもチャレンジし、通勤距離や給料などの希望条件を叶えながら60歳以上での転職を成功されました。
現在は新しい職場である、医療法人社団白翔会 千葉白井病院で医療事務として活躍されている三本杉さん。そんな三本杉さんと、上司であり、採用・面接もご担当された医事課課長の小川浩治さんにお話を伺いました。
三本杉さんは、どのような経緯で60歳以上での転職を決意し、新しい職場を決めたのか? 今後、どのように何歳まで働きたいと考えているのか? そして、採用する側の千葉白井病院と小川さんは、三本杉さんのどこを評価したのか? ご覧ください。
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お話を聞いた方1・三本杉伊都子さん
取材当時61歳。医療法人社団白翔会 千葉白井病院に勤める医療事務の方。クリニックや単科の病院などで事務方を歴任していらっしゃいましたが、60歳を過ぎ、通勤距離短縮のため転職。働けるまで働きたいと語り、わからないこともご自身で積極的に学んで身につけるポジティブな方です。
お話を聞いた方2・小川浩治さん
医療法人社団白翔会 千葉白井病院 医事課 課長。医療事務の採用基準に年齢は関係なく「経験年数がすべて」と言い切っていらっしゃいました。千葉白井病院は千葉県白井市にあり、救急指定病院、介護付き有料老人ホーム、介護老人保健施設が隣接した、3施設一体型の体制で、急性期からリハビリ、介護、在宅に至るまで包括的なサービスを提供しています。
60歳以上で希望年収が叶うのか不安だった
これまで、様々なクリニックなどで医療事務として活躍してきた三本杉伊都子さんは、60歳を過ぎてもなお、現役の第一線で活躍され続けていました。けれども1時間半近い通勤時間から、「長く続けるにはもっと近くの職場でなくては」と思い、転職を考え始めたそうです。
そのため、希望条件の最優先は「自宅から遠くないところ」。加えて、給与額も大幅な現象を避けたいため、通勤距離と年収、2つの項目が「譲れない希望条件」となりました。
しかし、希望条件が明確なだけに生まれる不安や迷いもありました。60歳を過ぎての転職は、当然未経験。これまでとどんな変化があるのかわかりません。「60代の転職でも、この希望条件を呑んでもらえるのだろうか?」そんな思いを抱きながらも、三本杉さんは求人サイトなどで情報収集を始めました。
シニア専門の人材紹介会社シニアジョブに巡り合ったきっかけを、たぶんインターネットで「シニア 求人」と検索したと思う、と振り返る三本杉さん。年齢が転職のネックになるのでは?と考えていたため、職種名などではなく、「シニア 求人」と検索したそうです。
そんな三本杉さんの予想に反して、シニアジョブの対応が殊のほか速く、矢継ぎ早にメールや電話が届き、かえって「変な会社に登録してしまったのでは?」と不安になってしまった三本杉さんですが、相談を重ねるうちに信頼感が高まったそうで、次のように語っています。
「本当に担当の方にはたくさん相談に乗ってもらってお世話になりました。希望年収も高めに伝えましたが、大丈夫ですよ、って言って進めてくれて。それからすぐに面接のお話をいただけました。勤めながらの転職だったので、面接の日時も私の都合に合わせて調整してもらえて、助かりました」
「シニアと呼ばれる歳になってからの転職は若い人に比べて不利なんじゃないかと不安でしたが、シニア専門の人材紹介サービスは、最初から年齢の問題がクリアになっているので、そこが安心できますね」
採用で年齢は気にしません、経験年数が最重要
一方で、選考・採用する側だった千葉白井病院の小川さんは、三本杉さんの年齢をまったく気にしておらず、また、シニアジョブからのシニア人材の提案にも違和感を感じることはなかったそうです。
「採用や選考にあたって年齢は気にしていません。見ているポイントは経験年数です。シニアジョブさんからは突然お電話で提案をもらったのですが、経験年数が豊富なベテラン人材ということがわかったので、特に不安はなく、会ってみたいと思いました」
このようにインタビューに答えた小川さん。医療事務の仕事は会計業務だけでなく、受付対応など接客も行うため、経験年数の他に「人となり」も重視しているそうですが、それは面接時に確認できるため、最優先はやはり業務の経験年数で、経験豊富な人材は年齢に関係なく、会ってみたい、働いてもらいたいと思うとのこと。小川さんは、「今は人材が充足していますが、人材不足の時には、経験年数が長いシニアの方が間違いなく選択肢の一つとなります」と断言しました。
小川さんはシニア人材の年齢をマイナスと考えないだけでなく、シニア人材のメリットも見出しています。今の60代の方は「とても若くて元気」で「シニアと呼ばないほうがよいかもしれない」と述べた上で、「即戦力になる」と評価します。シニア人材が持つ十分な経験年数と、それによって培われたスキルは、仕事に慣れるための細かい説明を不要にし、すぐに力を発揮してくれる、と小川さんは考えています。
親身な相談で不安解消、新たな知識も積極吸収
このようにシニアの年齢を気にせず、むしろ経験年数を強く評価する小川さんの面接を受けた三本杉さんは、「小川さんがとても感じの良い方で、この方の下であれば、いろいろ教わりながら頑張れそう」と感じたそうです。小川さんも次に挙げる懸念を感じつつも、面接で三本杉さんの「人となり」と具体的な経験内容を確認し、「是非働いてほしい」ということで当日中に採用を決定。
とてもスムーズに進んだ三本杉さんの選考でしたが、三本杉さんの心には迷いと不安がありました。それは、上記でも触れた小川さんの懸念とも、実は同じものでした。三本杉さんは長い経験年数を持つベテランの医療事務でしたが、これまで経験した環境はいずれもクリニックなど単科の病院のみ。千葉白井病院のようにいくつもの診療科のある総合病院の経験がなく、そこに三本杉さんは迷いと不安を感じ、小川さんも若干の懸念を感じていたのです。
小川さんは三本杉さんの人物を見て「大丈夫」と判断したので、総合病院の勤務経験がなくとも採用を決めました。しかし、三本杉さんは悩みます。そんな時に相談相手となったのがシニアジョブのキャリアアドバイザーでした。担当のキャリアアドバイザーは三本杉さんの不安をヒアリングし、その他の希望条件も踏まえながら一緒に内定を受けるかを考えたそうです。
三本杉さんはこう振り返ります。「担当の方が本当に親身に相談に乗ってくれて。希望条件を叶えながら今後長く働くならば、安定した大きい病院に勤めるのも良いんじゃないでしょうかって。それで気持ちを決めることができました」
こうして千葉白井病院に転職を決めた三本杉さんは、クリニックと総合病院の違いや新しく覚えることはたくさんあるものの、参考書を読んで勉強したり、周囲に教えてもらったりしながら、持ち前の積極性で活躍しているそう。
医療事務というお仕事ですが、細かい仕事内容は、受付、会計、レジ、労災など多岐に渡り、中でも病院内で担当できる人員が限られる会計のお仕事では、貴重な戦力として活躍されています。
働ける限り働きたい、背伸びをせず一歩一歩
不安や迷いを抱えながらも、60歳以上での転職に成功された三本杉さんに、何歳まで働き続けたいかを聞いてみました。
「働ける限りは働きたいです。それはこの医療事務という仕事に限るのではなく、医療事務で働ける限界が来ても、他の仕事ができる限りは働いていたいですね。私の周りのシニア世代の方でも、やはり働いている方はよりしっかりされているように思うので」
三本杉さんを採用した小川さんもこう語ります。
「やはり今の60代の方は若くて元気なので、シニアと呼ばないほうがいいと思います。経験年数が長く、スキルを持った元気な60代の方は即戦力となるので、採用側はシニアという言葉に惑わされることなく、積極的に活用するべきかもしれませんね」
最後に、これから転職や再就職を考えるシニアの方へのメッセージを三本杉さんにお願いすると、こんな謙虚な言葉が返ってきました。
「私でも転職できたのですから、不安になったり内定が得られなかったりしても、負けずに頑張ると大丈夫だと思います。また、もうあまり背伸びをするタイミングではないです。あまり背伸びをせず、できることを一歩ずつ進めていくことで、良い結果につながると思います」
この記事の監修者
シニアタイムズ編集部 【編集部メンバー】
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