人生の幕引きを美しく!シニア終活のすすめ
シニア世代になると、残される家族のために何をするべきか、亡くなったり倒れたりする前に何をしておけば心残りはないかを考える必要があります。今回は終活で決めておきたいことを紹介します。
- 目次
財産・所有物の整理1:持ち物の要・不要を判断する
元気なうちに、所有物をすべてチェックして、要るものと要らないものに分別します。「不要だ」「これはもう使わない」というものは早めに処分しましょう。
どうするか判断に困ったときは「保留」と名付けた箱などに保管しておくことをおすすめします。その時の勢いで簡単に処分すると、後悔することにもなりかねませんので、慎重に「保留」にしましょう。少し期間をあけて、再度「自分に必要かどうか」のジャッジを行ってください。
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財産・所有物の整理2:金銭・不動産の整理
お金や不動産などの財産もしっかり整理します。預貯金、株、不動産だけでなく、タンスに入っているお金など、すべての財産をリストアップします。
最近はネット証券やネット銀行を利用する人も増えており、その場合、通帳や証書などがないケースが多いため、亡くなったあとに遺族が見つけにくいという弊害があります。
ネットバンキングなどを利用している人は、アカウント名やログインパスワードを家族にわかりやすいようにまとめておきましょう。
なお、生前整理については、下記の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。
生前整理の「やることリスト」
財産・所有物の整理3:銀行の貸金庫を活用
預貯金口座がある銀行では、財産を「貸金庫」で預かってくれることがあります。利用料はかかりますが、通帳や有価証券、権利証、保険証、骨董品、貴金属、そして思い出のアルバムなども預かってくれますので便利です。
貸金庫は、全自動、半自動、手動型に分かれており、暗証番号や専用の鍵を使って開閉することが可能です。
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葬儀とお墓1:葬儀の形式や招待する人を決めておく
お葬式やお墓など、最期はどのように送られたいのかを考えておくことも重要です。
宗派にもよりますが、僧侶を呼んでセレモニーモールなどの会場で行う規模のものにするか、家族や親友など内々だけで行う家族葬にするのかを決めておきましょう。
喪主を誰にするのか、誰を呼ぶか、葬儀の時に流してほしい好きな曲などを、家族に前もって伝えておきます。
参列者の人数を決めれば、おのずと予算も決まってきます。どのくらいの予算にするのか、家族と話し合って決定しておくとスムーズです。
葬儀とお墓2:生前墓を検討
お墓は守ってくれる人がいないと維持できません。
先祖代々のお墓が遠方にあって、家族がなかなかお墓参りに行けないとなれば、お墓の引っ越しも視野に入れるべきでしょう。
また、相続人などがいない場合は、残念ではありますが、お墓じまいも検討しなければなりません。
近年では「生前墓」への関心が高まっており、生きているうちに自分のお墓を家族と相談して購入する人も増えています。生前墓を購入しておけば、相続税対策にもつながりますし、家族の負担も軽減できます。お墓を持っていない人は「生前墓」を購入することも考えておくといいでしょう。
こちらの記事もぜひ参考にしてください。
遺言書・エンディングノート1:エンディングノートとは
エンディングノートとは、自分の思いや家族への感謝の気持ち、人生史などを書いておくノートのことです。なお、葬儀の希望や個人情報(スマホ番号、パスポート番号、運転免許証の番号、パソコンのログインデータ、ネット銀行や各種アカウントのID、パスワード等)も書き留めておくと便利です。
「ノート」という名前ではありますが、パソコンやスマホで保存しておく方法もあります。
認知症などで判断力が低下したり、病気が重篤になって意識不明になったりしたときのことを考え、持病やアレルギー、常用薬のことも書いておきましょう。自身の介護の希望や延命治療に関しても、してほしいかどうかを記入しておけば、家族に辛い判断をゆだねる必要もありません。
エンディングノートの詳しい作り方や書き方については、下記の記事を参考にしてください。
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遺言書・エンディングノート2:遺言書を残そう
遺言書は、死後に財産をどうするか、指定するものです。遺言書があると、相続手続き時に省略できる書類があります。遺族の負担を軽減できますので、ぜひ準備しておきましょう。
遺言書には、被相続人が自筆する「自筆証書遺言」と、公証人が代筆する「公正証書遺言」があります。
自力で作成できる「自筆証書遺言」は手軽な方法ですが、作成にあたっては民法に沿って執筆しなくてはならず、「遺言者の直筆であること」「日付が記入されていること」「家庭裁判所の検認が必要」などの条件も多数あります。有効な遺言を残すには、公証人による証書遺言が確実です。
なお、自筆証書遺言の場合は、家庭裁判所の検認が要らない、法務局における自筆証書遺言保管制度の活用もおすすめです。
遺書の内容を誰にもわからないようにする「秘密証書遺言」という種類のものもありますが、あまり積極的に使用はされていません。
遺言書の詳しい内容については、下記の記事を参考にしてください。
遺言書とは?3つの種類と特徴・違い・書き方を解説
また、遺言書のほかに、判断能力が低下したときに備えて、民事信託(家族信託)や成年後見制度を活用するのもいいでしょう。
民事信託(家族信託)と成年後見制度については、下記記事の「民事信託(家族信託)や成年後見制度を利用する」という段落で解説していますので、確認してみてください。
独身の老後資金はいくら必要?おひとりさまの住まいの選び方も解説
なお、成年後見制度の法定後見、任意後見については、下記の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。
成年後見制度とは?法定後見と任意後見の違いについて解説
医療・介護1:家族とよく話して意思を伝えておく
不慮の事故や思いがけない病気で、「もしものとき」は急にやってくる可能性もあります。
その時の状態によっては、自分の意思や気持ちを話すこともできないかもしれません。
心身ともにゆとりがある時に、じっくりと自分の行く末を考えて、人生最後の時に、医療ケアや介護はどうするかを、前もって話しておきましょう。
家族に伝えておけば、家族は「あなただったらこうするだろう」と気持ちを思い測りながら行動する必要もなくなります。
医療・介護2:在宅医療希望なら担当医を見つけよう
「できるだけ入院はしたくない」「自宅で過ごしたい」と思う人は、訪問診療をしてくれるかかりつけの医師を早めに見つけておくことをおすすめします。
気安くなんでも相談ができる医師や看護師を近所で探しておけば、いざという時にも、臨機応変に対応してもらいやすくなるでしょう。
終活旅行がブーム
最近では「終活旅行」がブームとなっています。
旅行というものは、家族や友人との思い出作りにもなりますが、日常から離れてゆったりとくつろぐため、自分の最期の迎え方について考えるいい機会かもしれません。
ご自身が計画した夫婦水入らずの旅や一人旅でもいいですし、終活がテーマとなったツアーに参加する方法もあります。
これまで旅行した中で特に印象深かった場所や、若い頃に住んでいた場所、生まれた土地に行ってこれまでの人生を振り返るのも楽しそうです。ずっと行ってみたかったのに、なかなか行けなかった場所に思い切って訪ねてみるのもいいでしょう。
新婚旅行の地に夫婦で再度出向くのも、結婚当初のことを思い出して、甘酸っぱい気持ちになるかもしれません。お互いを見つめ合う機会にもなるでしょう。
好きな歴史上の人物のお墓参り・神社仏閣巡り
好きな歴史上の人物や著名人のお墓を巡る旅もおすすめです。生前墓を検討している人であれば、自分のお墓をどのような形にするのかのヒントにもなり、イメージが湧いてくるのではないでしょうか。
時間に余裕があるシニアには、全国の神社仏閣巡りもおすすめです。若い頃には時間がなくてできなかった「御朱印集め」や「お遍路」などに挑戦してみてはどうでしょうか。
今まで挑戦しなかった趣味や仕事にチャレンジ
時間にゆとりが出てきたシニアは、新しい趣味にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
子どものころ絵を描くのが好きだった人は、再び絵を描いてみたり、音楽が好きな人は楽器の演奏をしてみたり、元々好きだったものを時間をかけて極めていくのです。
体を動かすのが好きな人は、ゴルフやテニスを始めるのもいいですし、社交ダンスを習い始めると気分が若返る人もいるでしょう。
他にも書道、茶道、家庭菜園、英会話、ツーリング、登山、ボルダリング、ハイキング、ウォーキングなど、「一度やってみたかった」ものにトライしてみるのです。
趣味の友達もできて、心身ともにまるで青春時代に戻ったかのような新鮮な気分が味わえることでしょう。
発表会や試合に臨めば、気持ちに張り合いができ、「生きている喜び」を噛みしめられるに違いありません。
シニアもOKなアルバイトをしてみる
今はシニア世代とはいえ、体も心も若々しく元気な人が多いため、シニア世代でもできるアルバイト求人が増えています。
定年退職後に暇な時間を持て余している人は、アルバイトを始めれば、やりがいを感じた生活を送れるでしょう。
シニア歓迎のアルバイトとしては、警備員、清掃員、コンビニエンスストアなどの接客係などがあります。現役時代に取得した資格やキャリアを活かした仕事もたくさんありますので、シニア専門のエージェント会社などに登録してみてください。
まとめ:残りの人生を悔いなく過ごそう!
人生100年時代と言われる現代ですから、まだまだ時間はたくさんあります。これからの人生は自分の好きなことをして、明るく健康的に過ごしましょう。
身辺整理をきちんとしておけば気が楽ですし、先のことを心配せずに身軽に日々を堪能できます。ご自身と家族の幸せのためにも、「終活」に励んでみてください。
なお、終活だけでなく、婚活や離活、再婚活を進めたいと考えている人は、下記の記事を参考にしてください。
この記事の監修者
高橋正美 【ファイナンシャルプランナー(CFP®認定者)】
日本FP協会所属。日本FP協会2019年「くらしとお金の相談室」相談員。某保険会社のお客様窓口で、保全業務のほか、資産活用、相続対策の相談などを16年間行い独立。相続開始後の手続き支援なども行う。 健康管理士として、お客様のお金に関する相談以外に、健康に関するアドバイスも実施。