【2024年】昇給率や昇給額の平均はどれくらい?業種別や年代別のデータも!
【2024年】平均昇給率・昇給額は? 昇給額を上げるポイントも!
働くうえでの重要なモチベーションになる昇給。「今後どれぐらい昇給するのか?」「年間の昇給額はいくらくらいなのか?」など、昇給について気になることは多いでしょう。 この記事では、大企業や中小企業などの企業規模別・年代別・年度別の年間平均昇給額や昇給率をご紹介します。 昇給額を上げるためのポイントもご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
- 目次
昇給・昇給率とは?
まずは、昇給の種類や実施状況、ベースアップとの違いを確認しておきましょう。
昇給とは基本給が上がること
昇給とは基本給が上がること。企業が行う昇給には主に以下の種類があります。
■昇給の種類
名称 | 特徴 |
---|---|
定期昇給 |
|
臨時昇給 |
|
特別昇給 |
|
自動昇給 |
|
考課昇給 |
|
日本では定期昇給が主流で、年に1〜2回実施する企業が多いです。勤務態度や業績により昇給を実施するか否か決める企業も多く、企業により昇給の基準は異なります。
ベースアップとは全社員を対象とした基本給の引き上げ
昇給と似た言葉に「ベースアップ」があります。
ベースアップとは、企業の業績が上がったときや経済状況が良好になったときに基本給が上がること。勤続年数や個人の業績は関係なく、全従業員が対象になります。
春闘と呼ばれる「春季生活闘争」内の労働組合との交渉で決定されることが多いです。
昇給率とは昇給後の給与が昇給前と比べてどれくらい上がったのかを表したもの
昇給率とは、昇給後の給与が昇給前と比べてどれくらい上がったのかをパーセンテージで表した数値のこと。昇給率がわかれば、今後どのように給与が上がるのかを予想することが可能です。
昇給率の計算方法
- 昇給額÷昇給前の給与×100
たとえば、基本給25万円の人が5,000円昇給した場合、「5,000÷250,000×100」=2%が昇給率になります。
昇給の実施状況
では、昇給を実施している企業はどのくらいあるのでしょうか?
厚生労働省の「令和6年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況」によると、2024年中に賃金の引き上げを行った、もしくは、行う予定の企業は91.2%。実施しない企業は2.3%、未定の企業は6.4%という結果でした。
9割以上と大半の企業で昇給を実施していることがわかります。
※1:厚生労働省|令和6年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況
【2024年】年間平均昇給額と昇給率
平均昇給額や昇給率は、企業規模や職種、年代や年度により異なります。ここでは、状況別の昇給額と昇給率をご紹介します。
【大企業・中小企業】企業規模別の年間平均昇給額・昇給率
企業規模別の昇給額・昇給率は以下の通りです。
■企業規模別の平均昇給額・昇給率
大企業 | 中小企業 | |||
---|---|---|---|---|
2024年 | 2023年 | 2024年 | 2023年 | |
昇給率 | 5.58% | 3.88% | 3.92% | 2.94% |
昇給額 | 19,480円 | 13,122円 | 10,420円 | 7,864円 |
※2:日本社団法人日本経済団体連合会|2024年春季労使交渉・大手企業業種別回答状況を基に作成
中小企業より大企業の方が昇給率が大きいことがわかります。また、2023年から2024年にかけては大企業も中小企業も1%以上と、大きな上昇率であることがわかります。
職業・業種別の年間平均昇給額・昇給率
では、職業・業種別の昇給額・昇給率はどうでしょうか?
■職業・業種別の平均昇給額・昇給率
業種 | 平均昇給率(%) | 平均昇給額(円) |
---|---|---|
鉱業・採石業・砂利採取業 | 5.9 | 14,616 |
建設業 | 4.3 | 15,283 |
製造業 | 4.4 | 13,262 |
電気・ガス | 4.3 | 14,619 |
情報通信業 | 4.3 | 14,989 |
運輸業・郵便業 | 3.2 | 9,030 |
卸売業・小売業 | 4.3 | 11,922 |
金融業・保険業 | 4.6 | 15,465 |
不動産業・物品賃貸業 | 4 | 12,554 |
学術研究 | 4.4 | 14,772 |
宿泊業・飲食サービス業 | 3.7 | 9,654 |
生活関連サービス業 | 3.2 | 8,543 |
教育・学習支援業 | 2.7 | 7,176 |
医療・福祉 | 2.5 | 6,876 |
サービス業 | 3.2 | 7,353 |
労働組合あり | 4.5 | 13,668 |
労働組合なし | 3.6 | 10,170 |
※1:厚生労働省|令和6年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況を基に作成
もっとも昇給率が高いのは「鉱業・採石業・砂利採取業」の5.9%。次に「金融業・保険業」の4.6%、「製造業」「学術研究・専門技術サービス業」の4.4%が続きます。
一方で、「医療・福祉」の2.5%、「教育・学習支援業」の2.7%とは2〜3%の差があり、業種や業界によって大きな差が生じていることがわかります。
年度別の年間平均昇給額・昇給率
年度による違いも見てみましょう。
■年度別の平均昇給額・昇給率
※1:厚生労働省|令和6年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況を基に作成
過去10年間を見てみると、2015年から2022年まではほぼ横ばいの状態が続いていますが、2023年、2024年ともに約1%程度昇給率が上昇していることがわかります。
昇給率が3%を超えるのは1994年の3.0%以来29年ぶりです。物価上昇が続く昨今、賃上げ対策を行う企業が増えているということでしょう。
【20代・30代・40代】年代別の年間平均昇給額・昇給率
最後に、年代別の昇給状況を確認してみましょう。
以下は、年代別の平均月額賃金を表したものです。
■年代別の平均賃金
※3:厚生労働省|令和5賃金構造基本統計調査の概況を基に作成
昇給は50代後半にピークを迎え、60代以降は徐々に下がっていくことがわかります。日本では勤続年数が増えると昇給額も上がる定期昇給制度を導入している企業が多いことが大きな要因でしょう。
60代以降は定年を迎える人が増えるため、月額賃金も下がることがわかります。
昇給額・昇給率を上げるためのポイント
昇給は働くうえでの大きなモチベーションになります。では、昇給額や昇給率を上げるためにはどのようなことを意識すればいいのでしょうか?
ここでは、昇給額・昇給率を上げるためのポイントをご紹介します。
業務に関連のある資格やスキルを身につける
1つ目は、業務に関連のある資格やスキルを身につけることです。
資格を取得することで資格手当が給与に上乗せされる企業もあります。資格手当がなくても、知識やスキルを身につけることで昇給につながるチャンスが広がるでしょう。
昇格を目指す
2つ目は、昇格を目指すことです。
昇格することで役職手当がつく企業は多いです。東京都産業労働局の「中小企業の賃金・退職金事情(2023年/令和5年版)」によると、「同一役職で賃金が異なる企業」の役職手当は以下の金額になります。
役職手当の相場
- 係長:23,816円
- 課長:56,848円
- 部長:101,933円
一般的には役職が上になるほど役職手当も上がるため、今の会社で昇格を目指すのもいいでしょう。
※4:東京都産業労働局|中小企業の賃金・退職金事情 令和5年版
業績を挙げて昇給の交渉を行う
3つ目は、業績を挙げて昇給の交渉を行うことです。
実力主義の会社の場合、業績を上げて昇給の交渉を行うのも1つの方法です。誰の目から見ても明らかな業績を挙げた場合は、交渉してみる価値はあるでしょう。
また、同業他社と比べて明らかに給与が少ない場合は、同世代の同業他社の給与のデータを提示して、昇給の交渉を行うこともおすすめです。
ただし交渉するのは、客観的に見て、給与と自分の働きが明らかに見合ってない場合に行いましょう。勤務態度が悪く業績を挙げていない状態で昇給の交渉をすると、逆にマイナスイメージを与えることになってしまうため、注意が必要です。
転職する
4つ目は、転職することです。
昇給制度の事例がない会社や交渉しても昇給の可能性がない場合は、思い切って転職することも1つの方法です。
同業種・同職種への転職であればスキルを活かして収入アップを目指すことも可能です。
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まとめ・資格やスキルを身につけて昇給を目指そう
2024年の大企業の平均昇給率は5.58%・昇給額は19,480円、中小企業の平均昇給率は3.92%・昇給額は10,420円です。
昇給率や昇給額は職業や業種によっても異なり、2024年のデータでは「鉱業・採石業・砂利採取業」「金融業・保険業」「製造業」「学術研究・専門技術サービス業」が昇給率の高い業界になります。
昇給を実現させるためには、資格やスキルを身につけることや業績を挙げて昇格を目指す方法などが有効的。まずは、今自分自身にできることを考え実行し、昇給を目指してみましょう。
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参考資料
厚生労働省|令和6年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況
日本社団法人日本経済団体連合会|2024年春季労使交渉・大手企業業種別回答状況
厚生労働省|令和5賃金構造基本統計調査の概況
東京都産業労働局|中小企業の賃金・退職金事情 令和5年版
この記事の監修者
岡地 綾子 【ファイナンシャル・プランナー】
2級ファイナンシャル・プランニング技能士。 年金制度や税金制度など、誰もが抱える身近な問題の相談業務を行う。 得意分野は、生命保険・老後の生活設計・教育資金の準備・家計の見直し・相続など。