雇用保険被保険者証とは|退職時にもらってない場合は再発行できる?
雇用保険被保険者証は ハローワークで再発行可能!
雇用保険被保険者証とは雇用保険の被保険者であることを証明する書類。転職する際に必要です。この記事では、退職時にもらってない場合の対処法やハローワークでの再発行手続きを解説します。
- 目次
- 雇用保険被保険者証とは
- 雇用保険被保険者証とは雇用保険に加入していることを証明する書類
- 記載されている内容は主に被保険者番号と個人情報
- 一般的には退職時にもらえるケースが多い
- 雇用保険被保険者証をもらっていないかも!?考えられる原因は?
- 前職もしくは現職における労働時間・雇用期間が加入条件を満たしていない
- そのほかの理由で雇用保険の適用除外に該当する人である
- 勤務先が手続を怠っている
- 雇用保険被保険者証の再発行はどこでできる?
- 平日ならハローワークで即日再発行可能
- 平日にハローワークへ行けない場合は代理・電子・郵送申請が可能
- 雇用保険被保険者証が必要なのはどんなとき?
- 転職するとき
- 失業保険を受けたいとき
- 特別支給の老齢厚生年金の請求をするとき
- 古い雇用保険被保険者証はどうすればいい?
- 有効期限の過ぎた雇用保険被保険者証は処分しても問題ない
- 直近の雇用保険被保険者証以外は処分しても問題ない
- 雇用保険被保険者離職票・健康保険被保険者証との違いとは?
- 雇用保険被保険者離職票とは退職したことを証明する書類
- 健康保険被保険者証とは健康保険に加入していることを証明する書類
- まとめ・雇用保険被保険者証は手元で保管を
雇用保険被保険者証とは
まずは、雇用保険被保険者証がどのような書類なのか、記載されている内容やもらえるタイミングを確認しておきましょう。
雇用保険被保険者証とは雇用保険に加入していることを証明する書類
雇用保険被保険者証とは、雇用保険に加入していることを証明する書類です。
雇用保険とは、失業中の経済的リスクをカバーしてくれたり教育訓練給付金を支給してくれたりする制度。働く意欲のある人が安心して転職活動を行えるようにサポートしてくれる公的保険です。
雇用保険に加入すると、1人1人に被保険者番号が割り振られます。有効期限内であれば、転職する際も同じ被保険者番号が引き継がれ、加入手続きは勤務先の企業が行います。
記載されている内容は主に被保険者番号と個人情報
雇用保険被保険者証に記載されている内容は、主に被保険者番号と個人情報です。
※出典:「厚生労働省|雇用保険のしおり」https://jsite.mhlw.go.jp/yamanashi-roudoukyoku/content/contents/000324916.pdf
なお、前職の情報が記載されている「雇用保険被保険者資格取得等確認通知書」は切り離し可能。転職時に前職の情報を知られたくない場合は、雇用保険被保険者証のみ提出しても問題ありません。
被保険者番号
11桁の被保険者番号は必ず記載されています。1人1人異なる番号が割り振られるため、他人と同じ番号になることはありません。
被保険者の氏名と生年月日
被保険者の氏名と生年月日も必ず記載されています。氏名はカタカナのフルネーム、生年月日は和暦が番号で記載されています。
確認通知年月日・資格取得年月日・事業所名略称
雇用保険被保険者資格取得等確認通知書には、以下の内容が記載されています。
※出典:「厚生労働省|雇用保険のしおり」https://jsite.mhlw.go.jp/yamanashi-roudoukyoku/content/contents/000324916.pdf
記載されている内容
- 確認通知年月日
- 資格取得年月日
- 取得時被保険者種類
- 事業所名略称 など
一般的には退職時にもらえるケースが多い
本来、雇用保険被保険者証は発行され次第、被保険者に渡すことになっています。しかし、実際には手続きを行った勤務先の企業が保管し、被保険者の退職後に郵送でもらえるケースが多いです。
とはいえ、被保険者が保管する権利はあるため、自分で保管したい場合は勤務先に依頼しましょう。
雇用保険番号とは|転職しても変わらない?被保険者番号の調べ方も
雇用保険被保険者証をもらっていないかも!?考えられる原因は?
「退職したけれど、雇用保険被保険者証をもらってない!?」そんなときは、勤務先が保管しているほかにもいくつかの原因が考えられます。
まずは以下のことを確認し、どれにも該当しない場合は再発行の手続きを行いましょう。
前職もしくは現職における労働時間・雇用期間が加入条件を満たしていない
考えられる原因1つ目は、前職もしくは現職で雇用保険の加入条件を満たしていないことです。
当然ですが、加入条件を満たさない状態で勤務していた場合、雇用保険の適用除外とされるため被保険者証は発行されません。
雇用保険の原則的な加入条件(全てを満たす)
- 1週間の所定労働時間が20時間以上である
- 継続した31日以上の雇用が見込まれる
1週間の所定労働時間とは実際に働いた時間のこと。休憩時間は含まれません。
例えば、「週3日・9:00〜17:00・休憩1時間」の勤務の場合、1週間の労働時間は「7時間×3日」=21時間のため、雇用保険の加入条件を満たします。
また、労働契約書などに「雇用期間が31日未満」と明記のない限りは、雇用保険の加入条件は満たされます。
つまり、労働時間が1週間に20時間未満のパート勤務の人や、雇用期間が31日未満の短期アルバイトなどには雇用保険被保険者証は発行されません。
パートの社会保険加入条件を徹底解説!月68,000円はいつから!?
そのほかの理由で雇用保険の適用除外に該当する人である
考えられる原因2つ目は、労働時間や雇用期間にかかわらず雇用保険の適用除外に該当する人であることです。
雇用保険適用除外の人
- 日雇労働者(一定の条件を満たす人を除く)
- 4カ月以内の期間を定めて雇用契約を締結している季節労働者
- 1週間の所定労働時間が30時間未満である季節労働者
- 官公庁に正規に雇用される一部の人
- 企業の役員で従業員としての身分を有しない人
- 事業主と同居の親族
- 家事使用人
- 昼間学生 など
※4:厚生労働省|【被保険者の詳細、被保険者となる具体例について】
勤務先が手続を怠っている
考えられる原因3つ目は、勤務先が手続きを怠っていることです。
雇用保険の加入条件を満たしているにも関わらず、雇用保険の保険料が給与から控除されていない場合は、勤務先が手続きを怠っている可能性があります。控除されているかどうかは、給与明細で確認可能です。
万一、加入条件を満たしているにも関わらず雇用保険の保険料が控除されていなかった場合は、早めに勤務先に問い合わせを行いましょう。勤務先に聞きづらい場合は、ハローワークでの照会も可能です。
雇用保険被保険者証の再発行はどこでできる?
万一、雇用保険被保険者証を紛失してしまった場合は、ハローワークで再発行の手続きを行いましょう。ただし、退職後7年以上経過している場合は再発行できないため、注意してください。
平日ならハローワークで即日再発行可能
平日の開庁時間内にハローワークに行ける場合は、即日再発行が可能です。転職時など再発行を急いでいる場合は、申請者本人が平日にハローワークに出向きましょう。
必要書類
雇用保険被保険者証の再発行には以下の書類が必要です。
必要書類
- 本人確認書類(マイナンバーカード・運転免許証など)
- 前職の会社の正式名称・本社の住所・電話番号などの情報
顔写真の入った本人確認書類がない場合は、「健康保険証+住民票の写し」など書類が2点必要になります。
平日にハローワークへ行けない場合は代理・電子・郵送申請が可能
平日にハローワークへ行けない場合は、代理申請・電子申請・郵送申請が可能です。
代理申請の場合は、上記の必要書類に加えて、委任状や代理人の本人確認書類が必要になります。郵送申請の場合は、雇用保険被保険者証が届くまである程度の時間がかかるため注意しましょう。
電子申請は、「e-Gov」から24時間手続き可能です。
雇用保険被保険者証が必要なのはどんなとき?
では、雇用保険被保険者証が必要なのはどんなときなのでしょうか?今回は、労働者が雇用保険被保険者証を必要とするケースをご紹介します。
転職するとき
1つ目は、転職するときです。
雇用保険に加入する条件で転職する場合、転職先の企業に雇用保険被保険者証を提出する必要があります。
ただし、手続き上は被保険者番号がわかれば問題ありません。手元にコピーしかない場合は、被保険者番号だけ伝えれば問題ないかどうか、転職先に確認してみましょう。
失業保険を受けたいとき
2つ目は、労働者が失業した場合に必要な給付を受けたいときです。
失業保険には主に以下の給付が含まれます。
求職者給付 |
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就業促進給付 |
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教育訓練給付 |
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これらの費用を申請する場合、雇用保険被保険者証の元本が必要になります。
失業保険のもらい方を徹底解説!自己都合と会社都合の違いや期間も
自己都合退職の失業保険はいつからもらえる?すぐもらう方法も!
再就職手当の受給条件!パートやハローワーク以外で見つけた場合は?
定年退職後でも失業保険はもらえる!金額・待機期間・もらい方を解説
特別支給の老齢厚生年金の請求をするとき
3つ目は、特別支給の老齢厚生年金の請求をするときです。
特別支給の老齢厚生年金とは、一定の条件を満たした厚生年金の被保険期間を有する者が60〜64歳の間に受け取れる年金のこと。以下に該当する人が受け取れます。
特別支給の老齢厚生年金の受給要件
- 男性は1961年4月1日以前生まれ・女性は1966年4月1日以前生まれである
- 老齢基礎年金の受給資格期間(10年)がある
- 1年以上の厚生年金等の被保険者期間を有する
- 生年月日に応じた受給開始年齢に達している
請求手続きを行う際には、請求書や戸籍謄本の他に雇用保険被保険者証も必要になります。
詳しくは、以下の記事を参考にしてください。
年金の経過的加算とは?計算方法やもらえない人など疑問を徹底解説!
※6:日本年金機構|特別支給の老齢厚生年金を受給するときの手続き
古い雇用保険被保険者証はどうすればいい?
雇用保険被保険者証は有効期限内であれば、最初に取得した被保険者番号が引き継がれます。しかし、同じ被保険者番号でも会社ごとに加入手続きを行うため、複数回転職した人は、雇用保険被保険者証も複数枚手元にあるはずです。
では、古い雇用保険被保険者証はどのように扱えばいいのでしょうか?ここでは、古い雇用保険被保険者証の扱い方をご紹介します。
有効期限の過ぎた雇用保険被保険者証は処分しても問題ない
有効期限が過ぎた雇用保険被保険者証は、処分しても問題ありません。雇用保険被保険者証の有効期限は、前職を退職してから7年です。
7年経過した後に雇用保険に加入した場合は、以前の情報が抹消され新しい被保険者番号が割り振られるため、古い雇用保険被保険者証は処分しても問題ありません。
直近の雇用保険被保険者証以外は処分しても問題ない
有効期限内であっても、前職の雇用保険被保険者証があれば、前前職やそれ以前の雇用保険被保険者証は処分しても問題ありません。
被保険者番号が同じであれば、どの雇用保険被保険者証を保管していても問題ありませんが、わかりやすいように直近の雇用保険被保険者証を保管しておくことをおすすめします。
雇用保険被保険者離職票・健康保険被保険者証との違いとは?
雇用保険被保険者証と似た言葉に「雇用保険被保険者離職票」と「健康保険被保険者証」があります。
3者は言葉の響きは似ていますが、全く異なる書類です。混同しないため、それぞれの違いを把握しておきましょう。
雇用保険 | 雇用保険被保険者 | 健康保険 | |
---|---|---|---|
利用目的 |
| 失業保険 | 医療機関の受診 |
渡される | 退職時が多い | 退職後 | 加入後すぐ |
雇用保険被保険者離職票とは退職したことを証明する書類
※出典:「ハローワーク雇用保険の具体的な手続き」https://www.hellowork.mhlw.go.jp/doc/info_1_e2_01.pdf
※出典:「ハローワーク雇用保険の具体的な手続き」https://www.hellowork.mhlw.go.jp/doc/info_1_e7_01.pdf
雇用保険被保険者離職票とは、退職したことを証明する書類です。離職票も退職後に勤務先から受け取れる書類の1つですが、雇用保険被保険者証と違い転職先に提出する必要はありません。
ただし、失業保険(基本手当・特例一時金)の申請をする際に必要になります。
健康保険被保険者証とは健康保険に加入していることを証明する書類
※出典:「全国健康保険協会|健康保険証(被保険者証)の交付」https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g7/cat710/sb3160/sbb3160/1939-189/健康保険被保険者証とは、健康保険に加入していることを証明する書類です。いわゆる「保険証」で、医療機関を受診する際に提示すると、医療費の自己負担割合が1〜3割になります。
生命保険は何歳まで入れる?何歳まで必要?2つの視点でFPが解説!
【高齢者に医療保険はいらない】は本当!?理由や必要性を解説します
まとめ・雇用保険被保険者証は手元で保管を
雇用保険被保険者証とは雇用保険に加入していることを証明する書類で、転職時や失業保険を受け取る際に必要です。
もらってない場合は退職した企業が保管したままの可能性もあるため、まずは確認してみましょう。紛失した場合は、ハローワークで再発行手続きが可能です。
雇用保険は失業保険をもらえるだけでなく、雇用継続給付や育児休業給付が受け取れるメリットがあります。申請時には雇用保険被保険者証が必要になるため、紛失したままにせず手元に保管しておきましょう。
参考資料
厚生労働省|雇用保険のしおり
雇用保険の手続きはきちんとなされていますか?
厚生労働省|雇用保険の加入の要件を教えてください。
厚生労働省|【被保険者の詳細、被保険者となる具体例について】
厚生労働省|雇用保険制度の概要
日本年金機構|特別支給の老齢厚生年金を受給するときの手続き
ハローワーク
全国健康保険協会
この記事の監修者
新名範久 【税理士・社会保険労務士】
「新名範久税理士・社会保険労務士事務所」所長。 建設、不動産、理美容、小売、飲食店、塾経営といった幅広い業種の法人や個人の税務・会計業務を行う。社会保険労務士として、法人の社会保険業務も担当。1人でも多くの人に、税金に対する理解を深めてもらいたいと考え、業務を行っている。 税理士、社会保険労務士、社会福祉士、精神保健福祉士、宅地建物取引士、測量士補、CFP、FP技能検定1級、年金アドバイザー2級、証券外務員1種などの資格を保有。