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雇用保険番号とは|転職しても変わらない?被保険者番号の調べ方も

新名範久 【税理士・社会保険労務士】

働く

雇用保険被保険者番号の調べ方!
転職や再発行で番号は変わる?

雇用保険番号は転職時や失業保険の申請時に必要です。しかし普段は使わないため、番号が分からない人も多いでしょう。この記事では、被保険者番号の調べ方や再発行の方法について解説します。

目次

雇用保険番号とは

雇用保険番号とは

雇用保険番号とは、雇用保険に加入した被保険者と雇用保険の適用事業所にそれぞれ発行される固有番号のことです。

被保険者には「雇用保険被保険者番号」が、適用事業所には「雇用保険適用事業所番号」が割り振られます。

なお、雇用保険の被保険者とは、適用事業所に雇用される労働者のことです。

雇用保険被保険者番号とは

雇用保険被保険者番号とは

まずは、雇用保険被保険者番号について確認していきましょう。

雇用保険被保険者番号とは雇用保険の被保険者に発行される番号

雇用保険被保険者番号とは、雇用保険の被保険者に発行される番号のことです。労働者が雇用保険に加入した際「4桁―6桁―1桁」の11桁の番号が割り振られます。

ただし、1981年7月6日以前に雇用保険に加入した人には「上段6桁・下段10桁」の16桁の番号が割り振られています。16桁の番号をもつ場合は、下段の10桁に「0」を足した数字が雇用保険被保険者番号となるため、注意しましょう。

  • 下段の10桁が「1234567890」の場合、雇用保険被保険者番号は「12345678900」になる

では、雇用保険被保険者番号はどのようなときに必要になるのでしょうか?

どんなときに必要になる?

雇用保険被保険者番号が必要になるのは、主に以下4つの場合です。

雇用保険被保険者番号が必要になるケース
  1. 転職先で雇用保険に加入するとき
  2. 失業保険の申請手続きを行うとき
  3. 教育訓練給付の申請手続きを行うとき
  4. 特別支給の老齢厚生年金の請求手続きを行うとき

なお、上記の他に「育児休業給付・介護休業給付・高年齢雇用継続給付」の申請を行う場合にも雇用保険被保険者番号は必要になります。ただし、これらの手続きは一般的には会社が行うため、被保険者が手続きを行うケースは少ないでしょう。

転職先で雇用保険に加入するとき

1つ目は、転職先で雇用保険に加入するときです。

一度雇用保険に加入した人が雇用保険の適用事業所に転職する場合、転職先が雇用保険の加入手続きを行いますが、その際に雇用保険被保険者番号が必要になるためです。

※1:厚生労働省|雇用保険の加入の要件を教えてください。

失業保険の申請手続きを行うとき

2つ目は、失業保険の申請手続きを行うときです。

失業保険とは、失業状態の人が安定した生活を送りながら再就職活動が進められるように、雇用保険から給付されるお金のこと。正式名称は「雇用保険の基本手当」ですが、通称としてかつての法律名にちなんで、「失業保険」と呼ばれることも多いです。

失業保険を受け取るためには居住地の管轄のハローワークで手続きを行う必要があり、手続き時には雇用保険被保険者証や離職票の提出が必要になります。

失業保険に関しては以下の記事で詳しく解説しています。

失業保険のもらい方を徹底解説!自己都合と会社都合の違いや期間も
自己都合退職の失業保険はいつからもらえる?すぐもらう方法も!
定年退職後でも失業保険はもらえる!金額・待機期間・もらい方を解説

教育訓練給付金の申請手続きを行うとき

3つ目は、教育訓練給付金の申請手続きを行うときです。

教育訓練給付金とは、ハローワークが実施している教育訓練の受講費の一部が支給される制度のこと。再就職のためのキャリアアップを目的とした教育訓練を終了した際に、受講費用の一部が支給されます。

教育訓練給付金の申請手続きを行う際にも、雇用保険被保険者番号が必要になります。

特別支給の老齢厚生年金の請求手続きを行うとき

4つ目は、特別支給の老齢厚生年金の請求手続きを行うときです。

特別支給の老齢厚生年金とは、1986年4月に厚生年金の受給開始年齢が引き上げられた際に経過措置として設けられた制度です。受給期間は60〜65歳になり、以下の条件を満たしている人が受け取れます。

特別支給の老齢厚生年金の受給要件
  1. 男性は1961年4月1日以前生まれ・女性は1966年4月1日以前生まれである
  2. 老齢基礎年金の受給資格期間が10年以上ある
  3. 厚生年金等に1年以上加入していた
  4. 生年月日に応じた受給開始年齢に達している

「生年月日に応じた受給開始年齢」など、特別支給の老齢厚生年金の詳細は以下の記事で詳しく解説しています。

年金の経過的加算とは?計算方法やもらえない人など疑問を徹底解説!

特別支給の老齢厚生年金の請求手続きを行う際にも、雇用保険被保険者番号が必要になります。

※2:日本年金機構|特別支給の老齢厚生年金を受給するときの手続き

雇用保険被保険者番号は転職しても変わらない

雇用保険被保険者番号は雇用保険に初めて加入した際に発行され、原則として番号は変わりません。そのため、転職しても同じ雇用保険被保険者番号を使うことになります。

もし、転職時に被保険者証を紛失しているなど被保険者番号が分からない場合は、転職先に雇用保険に加入していた会社の正式名称・本社の住所・電話番号などの情報を申告しましょう。申告内容から、当時の被保険者番号を検索したうえで使用することになります。

離職してから7年間雇用保険に加入しないと無効になる

雇用保険被保険者番号は、離職してから7年間雇用保険に加入しないと失効してしまいます。

雇用保険未加入期間が継続して7年以上ある人が、雇用保険の適用事業所に新たに採用された場合には、会社にブランクがあることを伝えて、雇用保険被保険者番号を新しく発行してもらいましょう。

雇用保険被保険者証とは|退職時にもらってない場合は再発行できる?

雇用保険被保険者番号の調べ方

雇用保険被保険者番号の調べ方

雇用保険被保険者番号は普段使うものではありません。そのため、必要になった場合に番号がわからない人も多いでしょう。

ここでは、雇用保険被保険者番号の調べ方をご紹介します。

雇用保険被保険者証で確認する

1つ目は、雇用保険被保険者証で確認する方法です。

雇用保険被保険者証とは、雇用保険に加入していることを証明する書類のこと。雇用保険被保険者証には、被保険者番号が記載されています。

雇用保険被保険者証イメージ

※出典:ハローワークインターネットサービス「雇用保険被保険者証」

https://www.hellowork.mhlw.go.jp/doc/info_1_e6.pdf

本来、雇用保険被保険者証は発行され次第、被保険者に渡すことになっています。しかし、実際には手続きを行った勤務先の企業が保管し、被保険者の退職後に郵送でもらえるケースがほとんどです。

そのため、会社で働いている場合は、被保険者の手元に雇用保険被保険者証があるケースは少ないかもしれません。在職中に教育訓練給付金の申請手続きを行う場合は、理由を伝えて会社に聞いても問題ないでしょう。

失業中の人は退職時に会社から渡されるため、自分で確認できるはずです。

※3:雇用保険の手続きはきちんとなされていますか?

雇用保険被保険者離職票で確認する

2つ目は、雇用保険被保険者離職票で確認する方法です。

雇用保険被保険者離職票とは、退職したことを証明する書類のこと。離職票にも、雇用保険被保険者番号が記載されています。

雇用保険被保険者離職票イメージ

※出典:「ハローワーク雇用保険の具体的な手続き」https://www.hellowork.mhlw.go.jp/doc/info_1_e2_01.pdf

雇用保険被保険者離職票イメージ

※出典:「ハローワーク雇用保険の具体的な手続き」https://www.hellowork.mhlw.go.jp/doc/info_1_e7_01.pdf

離職票も退職時に会社から渡される書類の1つです。ただし、離職票は離職日の時点で59歳未満の被保険者については、希望しないと発行しない会社もあるため、注意しましょう。

離職票は失業保険の申請時に必要になります。転職先がすでに決まっている人以外は、念のため、退職する際に離職票を依頼しておくことをおすすめします。

マイナポータル(マイナンバーカード)で確認する

3つ目は、マイナポータルで確認する方法です。

入社時に、会社へマイナンバーカードを提出しているなど、雇用保険の資格取得等の手続きに関してハローワークに個人番号が登録されている被保険者は、マイナポータルからも確認可能です。

今回はスマートフォンでの確認方法をご紹介します。

ステップ1
マイナポータルにログインし、ホーム画面を下の方までスクロール。「その他のわたしの情報」をタップする

「その他のわたしの情報」をタップ

ステップ2
「雇用保険・労災」「雇用保険」をタップする

「雇用保険・労災」→「雇用保険」をタップ

ステップ3
情報の内容が「雇用保険」取得依頼対象日が「最新の情報を取得」になっていることを確認して「確認する」をタップする

情報の内容が「雇用保険」、取得依頼対象日が「最新の情報を取得」になっていることを確認して「確認する」をタップ

ステップ4
表示内容に間違いがないことを確認して「取得する」をタップする

表示内容に間違いがないことを確認して「取得する」をタップ

ステップ5
「回答一覧へ」をタップする

「回答一覧へ」をタップ

ステップ6
雇用保険の欄が「閲覧可能」になったらタップする(閲覧可能になっていない場合は少し時間をあけて「更新」を繰り返す

「閲覧可能」になったらタップ

ステップ7
回答2の「雇用保険手当・高年齢雇用継続給付情報」「詳細を確認する」をタップする

回答2の「雇用保険手当・高年齢雇用継続給付情報」の「詳細を確認する」をタップ

ステップ8
回答内容の「雇用保険被保険者番号」を確認する(PDFのダウンロードも可能)

「雇用保険被保険者番号」を確認

在職中に雇用保険被保険者番号を確認したい場合は、マイナポータルでの確認が便利かもしれません。

※4:ハローワーク|マイナポータルであなたの雇用保険の加入記録などを確認することができます!

雇用保険被保険者証を紛失した場合は再発行が可能

雇用保険被保険者証を紛失した場合は再発行が可能

雇用保険の被保険者証が紛失などの理由で手元にない場合は、ハローワークで雇用保険被保険者証の再発行手続きができます。

ハローワークでは以下の方法で申請が可能です。

ハローワークでの申請方法
  1. 窓口で申請する
  2. 郵送で申請する
  3. e-GOVで申請する

詳細を確認していきましょう。

ハローワークの窓口や郵送で申請する

ハローワークの窓口で再発行手続きを行えば、雇用保険被保険者証を即日で受け取れます。必要書類は以下の通りです。

必要書類
  • 雇用保険被保険者証再交付申請書
  • 本人確認書類

本人確認書類は、マイナンバーカードや運転免許証などの官公庁が発行した身分証明書の場合は1点官公庁が発行した身分証明書がない場合は、住民票や健康保険証、個人番号通知カードなどの書類の中から2点が必要になります。

ハローワークの営業時間は原則として、平日の8:30〜17:15です。土日祝日は営業していません郵送での手続きも可能ですが、交付までに2週間程度かかるため、急いでいる場合は注意しましょう。

郵送の場合は上記の書類の他に、切手を貼付した返信用封筒も必要になります。

なお、雇用保険被保険者証のハローワークでの再交付申請は、被保険者が勤務する事業所が行うことも可能です。

e-GOVで電子申請する

e-GOVでは、24時間いつでも雇用保険被保険者証の再発行手続きが可能です。

ただし、利用するためにはマイナンバーカードやICカードリーダーが必要になります。

被保険者番号を複数保有している場合は被保険者番号を統一させる手続きが必要

1人の雇用保険の被保険者が複数の被保険者番号を保有している場合は被保険者番号を統一させる手続きが必要

転職時に、過去に雇用保険に加入していた事実を申告しなかったなどの理由により、転職先で新しい被保険者番号が付された被保険者証が発行されると、1人の被保険者が複数の被保険者番号を保有することになります。

このような場合は、ハローワークに対して、雇用保険番号の「統一届」を提出する必要があります。

複数の被保険者番号を保有していても、それぞれの番号での雇用保険被保険者期間は通算されません。そのため、失業保険の受給額が減ってしまうなど、被保険者にとって不利益が生じてしまう可能性も考えられるのです。

なお、統一届を提出する際には、被保険者番号が分からないものを含めた雇用保険に加入していたと考えられる会社名等の記載と、現在保有している雇用保険被保険者証や被保険者番号がわかる書類も必要になります。

雇用保険適用事業所番号とは

雇用保険適用事業所番号とは

一般的に「雇用保険番号」は雇用保険被保険者番号を意味することが多いですが、雇用保険には「雇用保険適用事業所番号」も存在します。

雇用保険適用事業所番号は雇用保険に加入している事業所に発行される11桁の番号「4桁―6桁―1桁」で構成されます。

雇用保険適用事業所番号を利用する場面は、事業所が従業員の入退職手続きを行う場合や従業員の氏名を変更する場合、事業所の住所を変更する場合などです。

基本的には、被保険者が必要とする場面は少ないでしょう。

まとめ・雇用保険被保険者番号の確認ができる雇用保険被保険者証は大切に保管して

雇用保険番号とは、雇用保険に加入した被保険者と適用事業所にそれぞれ発行される固有番号のこと。被保険者には「雇用保険被保険者番号」が、適用事業所には「雇用保険適用事業所番号」が割り振られます。

雇用保険被保険者番号は、転職する際や失業保険の申請手続きを行う際に必要になります。雇用保険被保険者番号を確認できる雇用保険被保険者証は、退職時に会社から渡される場合が多いため、大切に保管しておきましょう。

参考資料

厚生労働省|雇用保険の加入の要件を教えてください。
日本年金機構|特別支給の老齢厚生年金を受給するときの手続き
雇用保険の手続きはきちんとなされていますか?
ハローワーク|マイナポータルであなたの雇用保険の加入記録などを確認することができます!

この記事の監修者

新名範久 【税理士・社会保険労務士】

「新名範久税理士・社会保険労務士事務所」所長。 建設、不動産、理美容、小売、飲食店、塾経営といった幅広い業種の法人や個人の税務・会計業務を行う。社会保険労務士として、法人の社会保険業務も担当。1人でも多くの人に、税金に対する理解を深めてもらいたいと考え、業務を行っている。 税理士、社会保険労務士、社会福祉士、精神保健福祉士、宅地建物取引士、測量士補、CFP、FP技能検定1級、年金アドバイザー2級、証券外務員1種などの資格を保有。

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