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再就職手当の受給条件!パートやハローワーク以外で見つけた場合は?

岡地 綾子 【ファイナンシャル・プランナー】

お金

再就職手当の受給条件!
こんなケースは受け取れる?

再就職手当とは失業保険の受給者が早期に再就職した場合に受け取れる手当。一定の条件を満たした場合に受け取れます。この記事では再就職手当の受給条件や計算方法、よくある質問を解説します。

目次

再就職手当とは

再就職手当とは

まずは、再就職手当の概要について確認しておきましょう。

再就職手当とは失業保険の受給者が早期に再就職した場合に受け取れる手当

再就職手当とは、失業保険の受給者が早期に再就職した場合に受け取れる手当のこと。再就職手当は、失業保険の中の「就業促進給付」に含まれます。

就業促進給付の種類
  • 求職者給付(基本手当)
  • 就業促進給付
  • 教育訓練給付金

再就職手当は安心して転職活動が行えることが目的のため、国からの再就職のお祝い金のようなものと捉えてください。

では、再就職手当の基本となる失業手当とはどのようなものなのでしょうか?

失業手当とは失業状態の人が雇用保険から受け取れる手当

失業保険とは、失業状態の人が安定した生活を送りながら就職活動が進められるように、雇用保険から給付されるお金のこと。一般的には失業保険と呼ばれることが多いですが、正式名称は「雇用保険の基本手当」といいます。

失業中の経済的負担を軽減させ、失業者が安心して就職活動を行えることが目的です。再就職手当の金額は、失業保険を基に計算されます。

失業保険のもらい方を徹底解説!自己都合と会社都合の違いや期間も
自己都合退職の失業保険はいつからもらえる?すぐもらう方法も!
雇用保険被保険者証とは|退職時にもらってない場合は再発行できる?

申請手続きの期限は再就職日の翌日から1ヶ月以内

再就職手当の申請手続きは、原則、再就職日の翌日から1ヶ月以内にする必要があります。ただし1ヶ月を過ぎても時効以内なら申請は可能。再就職手当の時効は、再就職日の翌日から2年間です。

再就職手当の申請手続きは、原則、再就職日の翌日から1ヶ月以内 時効は再就職日の翌日から2年

※1:厚生労働省|申請期限が過ぎたことにより給付を受けられなかった方へ

再就職手当の受給条件とは

再就職手当の受給条件とは

新しい仕事への準備に使える再就職手当。嬉しい手当ですが、失業保険を受け取っていた人の全員が再就職手当を受け取れる訳ではありません。

ここでは、再就職手当の受給条件をご紹介します。

再就職手当の受給要件
  1. 7日間の待機期間経過後に再就職した
  2. 再就職した時点で、失業保険の支給残日数が所定給付日数の1/3以上ある
  3. 前職とは違う会社に再就職した
  4. 失業保険の受給前に内定を受けていない
  5. ハローワークや厚生労働大臣が許可した職業紹介事業者の紹介で再就職した
  6. 再就職先は1年を超えて安定的に雇用される見込みがある
  7. 再就職先で雇用保険に加入している
  8. 過去3年以内の就職で再就職手当を受け取っていない
  9. 再就職手当の支給日が決まる前に退職していない

以上を全て満たしている人が再就職手当を受け取れます。

早速、それぞれの詳細を確認していきましょう。

※2:厚生労働省|再就職手当のご案内

条件①7日間の待機期間経過後に再就職した

1つ目の条件は、7日間の待機期間経過後に再就職したことです。

失業保険の受給開始時期は退職理由により異なりますが、自己都合・会社都合共に共通しているのは、「受給資格決定日から7日間の待機期間」があることです。

待機期間中は、たとえ短期間でも賃金が発生する仕事を行うと失業保険は受け取れません。

そして、再就職手当は失業保険の受給者が対象です。つまり、待機期間中に再就職すると、当然再就職手当も受け取れなくなります

待機期間はハローワークが本当に失業しているのかを確認するための期間。そのため、この期間は働かずに「待機」することが基本です。

条件②再就職した時点で、失業保険の支給残日数が所定給付日数の1/3以上ある

2つ目の条件は、再就職した時点で失業保険の支給残日数が所定給付日数の1/3以上あることです。所定給付日数は、退職した理由と雇用保険の被保険者期間により異なります。

自己退職【一般離職者】の所定給付日数

自己退職した一般離職者とは、以下に該当する人です。

自己退職した一般離職者とは
  • 離職日以前の2年間に雇用保険の被保険者期間が通算して12ヶ月以上ある
  • 会社都合以外の退職
  • やむを得ない理由がない場合の退職 など

つまり、会社への不満や他社への転職など、自分の都合で退職した場合は自己都合の一般離職者に該当します。

【退職届】【退職願】の正しい書き方マニュアル|便箋や封筒はどうする?

一般離職者の所定給付日数は以下の通りです。

一般離職者の所定給付日数
  • 雇用保険の被保険者期間20年以上:150日
  • 雇用保険の被保険者期間10年以上20年未満:120日
  • 雇用保険の被保険者期間1年以上10年未満:90日

例えば、雇用保険被保険者期間が15年の人の所定給付日数は120日。再就職手当の受け取りに必要な残日数は「120×1/3」=40日以上になります。

自己退職【特定理由離職者】と会社都合退職【特定受給資格者】の所定給付日数

自己退職した特定理由離職者とは、以下に該当する人です。

自己退職した特定理由離職者とは
  • 離職日以前の1年間に雇用保険の被保険者期間が通算して6ヶ月以上ある
  • 本人は契約更新を希望したが企業から拒否された
  • 病気・ケガ・出産・育児などが理由で退職した
  • 配偶者の転勤などの都合でやむを得ず退職した など

つまり、本人の意思ではなく、環境の変化などにより退職した場合は自己都合の特定理由離職者に該当します。

また、会社都合退職した特定受給資格者とは、以下に該当する人です。

会社都合退職した特定受給資格者とは
  • 離職日以前の1年間に雇用保険の被保険者期間が通算して6ヶ月以上ある
  • 会社の倒産や解雇により退職を余儀なくされた場合 など

つまり、自分の都合とは関係なく、勤め先の都合により退職せざるを得なくなった場合は特定受給資格者に該当します。

特定理由離職者と特定受給資格者の所定給付日数は以下の通りです。

離職時
の年齢

雇用保険の被保険者期間

1年未満

1年以上
5年未満

5年以上
10年未満

10年以上
20年未満

20年以上

30歳未満

90日

90日

120日

180日

30歳以上
35歳未満

90日

120日

180日

210日

240日

35歳以上
45歳未満

90日

150日

180日

240日

270日

45歳以上
60歳未満

90日

180日

240日

270日

330日

65歳未満

90日

150日

180日

210日

240日

例えば、50歳で雇用保険被保険者期間が20年の人の所定給付日数は330日。再就職手当の受け取りに必要な残日数は「330×1/3」=110日以上になります。

条件③前職とは違う会社に再就職した

3つ目の条件は、前職とは違う会社に再就職したことです。

退職した会社と同じ会社に再就職した場合、再就職手当の対象にはなりません。また、退職した会社と密接な関わりがある会社への再就職も対象外になります。

条件④失業保険の受給前に内定を受けていない

4つ目の条件は、失業保険の受給前に内定を受けていないことです。

失業保険は「失業状態」にある人が安心して就職活動を行えるための手当。そのため、失業保険を受け取る前に内定をもらっている場合は、再就職手当の対象外になります。

特に、自己都合退職した一般の離職者の失業保険の受給開始時期は「受給資格決定日から7日間の待機期間+2ヶ月の給付制限」後と時間がかかるため、注意が必要です。

なお、退職理由が会社都合の人や特定理由離職者の場合は「失業保険の受給資格決定日から7日間の待機期間の翌日」から受給が開始されます。

条件⑤ハローワークや厚生労働大臣が許可した職業紹介事業者の紹介で再就職した

ハローワークのイラスト

5つ目の条件は、ハローワークや厚生労働大臣が許可した職業紹介事業者の紹介で再就職したことです。

ただし、期間は待機期間の7日間を除いた最初の1ヶ月間のみ。この期間を過ぎれば、ハローワーク以外の紹介で再就職先を見つけても再就職手当の対象になります。

自己都合退職した一般離職者:7日間の待機期間+1ヶ月 自己都合退職した特定理由離職者と会社都合退職した特定受給資格者:7日間の待機期間

なお、会社都合退職の場合は、待機期間の7日間を過ぎれば再就職手当の対象になります。

条件⑥再就職先は1年を超えて安定的に雇用される見込みがある

6つ目の条件は、再就職先は1年を超えて安定的に雇用される見込みがあることです。重要なのは「1年を超える」「安定的」というキーワード。

例えば、「入社時の雇用期間は6ヶ月間、更新する際は一定の目標達成が必要」のような条件付きの雇用契約の場合は、再就職手当の対象外になります。

条件⑦再就職先で雇用保険に加入している

7つ目の条件は、再就職先で雇用保険に加入していることです。

つまり、雇用保険加入の適用にならないような短期間短時間労働の場合は再就職手当の対象になりません。

条件⑧過去3年以内に再就職手当を受け取っていない

8つ目の条件は、3年以内に再就職手当を受け取っていないことです。同様に、3年以内に常用就職支度手当を受け取っている人も再就職手当の対象になりません。

条件⑨再就職手当の支給日が決まる前に退職していない

9つ目の条件は、再就職手当の支給日が決まる前に退職していないことです。

再就職手当の支給日は、申請をしてから1ヶ月半〜2ヶ月後になることが一般的です。この間に再就職先を退職してしまうと、再就職手当は受給できません。

再就職手当の計算方法

再就職手当の計算方法

次に、再就職手当の計算方法を確認してみましょう。再就職手当を計算するためには以下3つのステップが必要です。

再就職手当の計算方法
  1. 失業保険の基本手当日額を計算する
  2. 再就職した時点での失業保険の支給残日数を確認する
  3. 再就職手当を計算する

それぞれの詳細を解説します。

失業保険の基本手当日額を計算する

まずは、失業保険の基本手当日額を計算します。

基本手当日額を計算するためには、まず、賃金日額を計算します。賃金日額とは、退職前に受け取っていた1日当たりの平均日額のようなものです。

賃金日額の計算方法
  • 退職前6ヶ月の賃金合計÷180

なお、賃金合計に賞与は含まれません。

賃金日額が計算できたら、以下の表で基本手当日額を計算します。(2023年9月現在)

■60〜64歳の計算式

賃金日額

給付率

基本手当日額

2,746円以上
5,110円未満

80%

2,196円〜4,087円

5,110円以上
11,300円以下

45%〜80%

4,088円〜5,085円(★)

11,300円超
16,210円以下

45%

5,085円〜7,294円

16,210円超

-

7,294円(上限額)

■45〜59歳の計算式

賃金日額

給付率

基本手当日額

2,746円以上
5,110円未満

80%

2,196円〜4,087円

5,110円以上
12,580円以下

50%〜80%

4,088円〜6,290円(▲)

12,580円超
16,980円以下

50%

6,290円〜8,490円

16,980円超

-

8,490円(上限額)

■30〜44歳の計算式

賃金日額

給付率

基本手当日額

2,746円以上
5,110円未満

80%

2,196円〜4,087円

5,110円以上
12,580円以下

50%〜80%

4,088円〜6,290円(▲)

12,580円超
15,430円以下

50%

6,290円〜7,715円

15,430円超

-

7,715円(上限額)

■29歳以下の計算式

賃金日額

給付率

基本手当日額

2,746円以上
5,110円未満

80%

2,196円〜4,087円

5,110円以上
12,580円以下

50%〜80%

4,088円〜6,290円(▲)

12,580円超
13,890円以下

50%

6,290円〜6,945円

13,890円超

-

6,945円(上限額)

★の給付率=DとEのいずれか低い方の金額
  • A:(賃金日額−5,110)÷6,190
  • B:A×0.35×賃金日額
  • C:0.8×賃金日額
  • D:C-B
  • E:賃金日額×0.05+4,520

▲の給付率=D

  • A:(賃金日額−5110)÷7,470
  • B:A×0.3×賃金日額
  • C:0.8×賃金日額
  • D:C-B

1円未満は切り捨てになります。

再就職手当における基本手当日額の上限額

再就職手当における基本手当日額には上限額が設定されています。

再就職手当における基本手当日額の上限額
  • 60歳未満:6,290円
  • 60歳以上65歳未満:5,085円

基本日額が上限額超の場合は、それぞれの金額に引き上げになるので注意しましょう。

再就職した時点での失業保険の支給残日数を確認する

基本手当日額が計算できたら、再就職した時点での失業保険の支給残日数を確認します。

そして、所定給付日数に対し、「1/3以上」残っているか「2/3以上」残っているかを確認しましょう。

再就職手当の給付率
  • 支給残日数が所定給付日数の2/3以上:基本手当日額×残日数×70%
  • 支給残日数が所定給付日数の1/3以上:基本手当日額×残日数×60%

残日数の割合から、再就職手当の給付率を確認します。

再就職手当を計算する

給付率がわかったら、再就職手当の金額を計算します。

再就職手当の計算式
  • 基本手当日額 ×支給残日数 × 給付率

わかりやすいように例をご紹介します。

再就職手当の計算例

年齢:50歳 雇用保険被保険者期間:20年 退職前6ヶ月の賃金合計:234万円(月39万円) 失業保険を受け取って100日目で再就職した

では、上記下の条件の人の再就職手当がいくらになるか、一緒に計算してみましょう。

計算方法
  • 賃金日額は「234万円÷180」=13,000円
  • 基本手当日額は「13,000円×50%」=6,500円
  • 上限額以上のため、基本手当日額は6,290円に引き下げ
  • 所定給付日数は330日
  • 残日数は230日
  • 残日数の割合は2/3以上のため、給付率は70%
  • 再就職手当の金額は「6,290円×230×70%」=1,012,690円

再就職手当の金額は1,012,690円になります。

前職より賃金が下がった場合は【就業促進定着手当】が受け取れる

前職より賃金が下がった場合は【就業促進定着手当】が受け取れる

転職理由は人それぞれ。キャリアアップのために転職する人もいれば、他業種に転職する人もいるでしょう。それに伴い、前職より給与が下がる人も多いのが現状です。

年齢や環境にもよりますが、給与額の低下は大きなダメージになる人もいるはずです。これをサポートするのが、就業促進定着手当です。

就業促進定着手当の受給条件

就業促進定着手当とは、再就職後の賃金が前職より低い場合に受け取れる手当のことです。

就業促進定着手当の受給条件
  1. 再就職手当を受け取っている
  2. 再就職先に6ヶ月以上勤務している
  3. 再就職先で雇用保険に6ヶ月以上加入している
  4. 再就職先で6か月の間に支払われた賃金の1日分の額が、前職の賃金日額に比べて低下している

就業促進定着手当は、上記の条件全てを満たしている人が受け取れます。

就業促進定着手当の金額

就業促進定着手当の金額は以下の計算式で求められます。

就業促進定着手当の計算式
  • (前職の賃金日額−再就職後6ヶ月間の賃金の1日分の額)×再就職後6ヶ月間の賃金の支払い基礎となった日数

なお、再就職後6ヶ月間の賃金の1日分の額は以下の2つのうち、どちらか高い方の金額になります。

いずれか高い方
  1. 再就職後6ヶ月間の賃金の合計額÷180
  2. (再就職後6ヶ月間の賃金の合計額÷再就職後6ヶ月間の賃金の支払い基礎となった日数)×70%

就業促進定着手当の計算ができたら、上限額を超えていないか確認します。

就業促進定着手当の上限額

就業促進定着手当には上限額が定められているため、注意しましょう。

就業促進定着手当の上限額
  • 基本手当日額×失業保険の支給残日数×(30%もしくは40%)

給付率は、再就職手当の給付率が70%の場合は30%再就職手当の給付率が60%の場合は40%になります。

なお、60歳未満の就業促進定着手当における基本手当日額の上限は6,290円60歳以上65歳未満は5,085円になるため、注意しましょう。

就業促進定着手当の申請期限

就業促進定着手当の申請期限は「再就職した日から6ヶ月経過した日の翌日から2ヶ月間」になります。

申請漏れのないよう、早めの手続きを心がけましょう。

※3:厚生労働省|就業促進定着手当

就業促進定着手当とは?計算方法・もらえる人の条件・必要書類を解説!

再就職手当の手続きの流れ

再就職手当の手続きの流れ

再就職手当を申請するためには、再就職先とハローワークの両方で書類を作成する必要があります。ここでは、再就職手当の手続きの流れをご紹介します。

なお、実際に再就職手当が振り込まれるのは申請してから1ヶ月半〜2ヶ月後と思っておきましょう。

ステップ①内定をもらったら再就職先に【採用証明書】を記入してもらう

内定をもらったらすぐにやることが、再就職先に採用証明書を記入してもらうことです。採用証明書は失業保険の受給手続き時に渡されます。また、ハローワークのホームページからもダウンロード可能です。

採用証明書の提出は就職の内定日から可能で、期限は入社日の前日までです。意外と期限が短いため、内定が決まったら早めに記入してもらえるよう、勤務先にお願いしておきましょう。

ステップ②ハローワークに必要書類を提出する

採用証明書の準備ができたら、以下の3点をハローワークに提出します。

提出書類
  1. 採用証明書
  2. 雇用保険受給資格者証
  3. 失業認定報告書

失業認定報告書には以下のような就職活動の実績を記入します。

失業認定報告書の内容
  • 賃金の発生する労働の有無
  • 内職・手伝いの賃金・日数
  • 求職活動の有無とその内容
  • 仕事紹介の受け入れ可否
  • 就職・自営業の予定
  • 支給番号と署名 など

書類提出後、ハローワークから再就職手当の受給条件を満たしているとみなされた場合、再就職手当支給申請書が渡されます

ステップ③再就職先に【再就職手当支給申請書】を記入してもらう

次は、再就職先に再就職手当支給申請書を記入してもらいます。原則的には、再就職した翌日から1ヵ月以内に提出する必要があるため、遅れそうな場合はハローワークに連絡しましょう。

この際、前職との関係がないことを証明する書類の提出も必要になります。

ステップ④再就職手当支給申請書と雇用保険受給資格者証をハローワークへ提出する

書類の準備が整ったら、再就職手当支給申請書と雇用保険受給資格証をハローワークへ提出します。

上記の書類の他に、勤務実績を証明できる書類の提出が求められることもあるため、念のため用意しておきましょう。なお、郵送での提出も可能です。

ハローワークで処理が完了すると、再就職手当支給決定通知書が送られてきます。通知書が届いてから約1週間後に指定した口座に再就職手当が振り込まれ、手続きは完了です。

再就職手当に関するよくある質問

再就職手当に関するよくある質問

最後に再就職手当に関するよくある質問をご紹介します。ぜひ、参考にしてください。

ハローワーク以外で再就職先を見つけた場合でも再就職手当は受け取れる?

ハローワーク以外で再就職先を見つけた場合でも、以下の期間を過ぎていれば再就職手当は受け取れます。

該当期間
  • 自己都合退職した一般離職者:7日間の待機期間+1ヶ月
  • 自己都合退職した特定理由離職者と会社都合退職した特定受給資格者:7日間の待機期間

注意したいのは、自己都合退職した一般離職者の場合です。2ヶ月の給付制限期間のうち最初の1ヶ月の間にハローワーク以外で再就職先を見つけた場合は、再就職手当の対象にならないため注意しましょう。

再就職手当を受け取るのと失業保険を満額受け取るのはどちらが得?

金額だけを比較すると、失業保険を満額受け取った方が金額は大きいです。ただし、再就職手当は早期に退職した方がトータルで受け取れる金額は大きくなります。

就職活動は縁。失業保険を満額受け取りたいという理由のために良縁を逃すより、良縁を逃さず、早期に再就職手当を受け取る方が得という考え方もあるでしょう。

パート・アルバイト・派遣でも再就職手当は受け取れる?

パート・アルバイト・派遣でも、再就職手当の受給条件を満たしていれば再就職手当は受け取れます

ただし、雇用期間には注意が必要です。パート・アルバイト・派遣の場合、受給条件の「1年を超えて安定的に雇用される見込みがある」に該当しないケースもあるためです。

短期間のパートや紹介予定派遣の場合は再就職手当を受け取れない可能性があるため、注意しましょう。

再就職手当を受給できない場合は【就業手当】をもらえる可能性がある 

失業保険の支給残日数が所定給付日数の1/3以上かつ45日以上あり、その他の基本的な再就職手当の受給条件を満たしている場合は、就業手当をもらえる可能性があります。

就業手当の金額は以下の通りです。

就業手当の金額
  • 基本手当日額×30%×就業日数

この場合の就業日数は、「失業保険の支給残日数」と「再就職先で就業した日」を比較して少ない方の日数になります。

なお、就業手当の1日当たりの上限額は以下の通りです。

就業手当の1日当たりの上限額(2023年の金額)
  • 60歳未満:1,887円
  • 60歳以上65歳未満:1,525円

「基本手当日額×30%」が上限額より高い場合は、「上限額×就業日数」が就業手当の金額になるため、注意しましょう。

※4:厚生労働省|就職促進給付

再就職先を短期で退職した場合はどうなる?

再就職先を退職した日が前職を退職した日の翌日から1年以内の場合は、残りの失業保険が受け取れます。

なお、再就職手当を返金する必要はありません

個人事業主に転向する場合でも再就職手当は受け取れる?

個人事業主に転向する場合でも、基本的な受給条件を満たしていれば再就職手当は受け取れます。ただし、開業日には注意が必要。開業届を提出する日が以下の期間経過後であれば、再就職手当が受け取れます

該当期間
  • 自己都合退職した一般離職者:7日間の待機期間+1ヶ月
  • 自己都合退職した特定理由離職者と会社都合退職した特定受給資格者:7日間の待機期間

なお、申請する際は開業に関する書類が必要になるのであらかじめ準備しておきましょう。

必要書類
  • 開業届のコピー
  • 事業内容が証明できる書類
  • 業務委託契約書などの1年以上の仕事の継続が見込まれる書類

再就職手当は課税対象?

再就職手当は非課税のため、年末調整や確定申告で申告する必要はありません。

ただし、社会保険上の扶養の算定には含まれるため、配偶者の扶養に入っている人は注意しましょう。

まとめ・申請忘れのないように再就職手当の条件を把握しておこう

再就職手当とは、失業保険の受給者が早期に再就職した場合に受け取れる手当のこと。再就職した時点で、失業保険の支給残日数が所定給付日数の1/3以上ある場合、残りの失業保険の60%もしくは70%の金額が受け取れるありがたい制度です。

さらに、再就職後の賃金が前職より低い場合に上乗せして受け取れる就業促進定着手当や、パートやアルバイトなどで再就職手当に非該当の人が受け取れる就業手当など、雇用保険には再就職を支援してくれる手当があります。

ただし、これらの手当は自分から申請する必要があり、申請せずに時効を過ぎてしまうと受け取れなくなってしまいます。

該当した場合は申請漏れしないよう、この機会に雇用保険制度を把握しておきましょう。

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参考資料

厚生労働省|申請期限が過ぎたことにより給付を受けられなかった方へ
厚生労働省|再就職手当のご案内
厚生労働省|就業促進定着手当
厚生労働省|就職促進給付

この記事の監修者

岡地 綾子 【ファイナンシャル・プランナー】

2級ファイナンシャル・プランニング技能士。 年金制度や税金制度など、誰もが抱える身近な問題の相談業務を行う。 得意分野は、生命保険・老後の生活設計・教育資金の準備・家計の見直し・相続など。

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