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今さら聞けない!介護保険制度とは?仕組みや保険料を徹底解説!

岡地 綾子 【ファイナンシャル・プランナー】

お金

今さら聞けない!
介護保険制度を徹底解説

介護保険制度とは、40歳以上の日本国民全員が加入する公的保険制度。しかし、介護保険制度の仕組みを知らない人は意外と多いです。この記事では、介護保険制度の仕組みを徹底解説します。

目次

介護保険制度とは?仕組みを徹底解説!

介護保険制度とは?仕組みを徹底解説!

介護保険制度とは、介護が必要な人に、介護サービスを受ける費用を国が一部負担してくれる制度です。介護にかかる費用負担軽減や利用者の自立支援が主な目的。高齢者の介護を社会全体で支える仕組みになっています。

被保険者は第1号と第2号に分類される

介護保険制度の被保険者は、第1号被保険者と第2号被保険者に分類されます。

介護保険の被保険者
  • 第1号被保険者:65歳以上の人
  • 第2号被保険者:40歳から64歳までの人

被保険者とは加入者のこと。日本国民は40歳になると介護保険への加入が義務付けられ、介護保険料の支払いが発生します。

介護保険料の平均は月6,000円代だが状況により異なる

厚生労働省の「介護保険制度をめぐる最近の動向について」によると、2023年の第1号被保険者の平均介護保険料は月額6,014円です。第2号被保険者の平均介護保険料は、2020年時点で5,669円。2022年は見込み額として6,829円と予想されています。(※1)

調査の結果から、介護保険料は月6,000円程度が平均的とわかりますが、実際の保険料は被保険者の状況により異なります。

※1:厚生労働省|介護保険制度をめぐる最近の動向について

第1号被保険者の介護保険料

第1号被保険者の介護保険料は、自治体が徴収します。介護施設の状況や要介護者数は自治体により異なるため、介護保険料も自治体により異なります。

なお、保険料の支払い方法は年金からの天引きが一般的です。

第2号被保険者の介護保険料

第2号被保険者の介護保険料は、加入している健康保険と同時に徴収されます。保険料の決め方は、加入している健康保険により異なります。

企業の健康保険組合や協会けんぽなどに加入している場合、給与に介護保険料を掛けて計算され、事業主が費用の半分を負担します。なお健康保険と同様に、被扶養配偶者は介護保険料を個別に支払う必要はありません。

国民健康保険に加入している場合、「所得割・均等割・平等割・資産割」などを用いて計算しますが、計算式は自治体により異なります。

介護保険が使える対象者は介護支援認定を受けた人

介護保険が使える人は、以下の条件を満たしている人です。

第1号被保険者の場合
  • 日常生活を送るうえで、介護や支援が必要な状態の人
  • 自治体から介護認定や支援認定を受けた人
第2号被保険者の場合
  • 以下の特定疾病が原因で介護や支援が必要な状態の人(※2)
  • 自治体から介護認定や支援認定を受けた人
特定疾病に含まれる病気
  • がん(末期)
  • 関節リウマチ
  • 筋萎縮性側索硬化症
  • 後縦靱帯骨化症
  • 骨折を伴う骨粗鬆症
  • 初老期における認知症
  • 進行性核上性麻痺・大脳皮質基底核変性症・パーキンソン病
  • 脊髄小脳変性症
  • 脊柱管狭窄症 
  • 早老症
  • 多系統萎縮症
  • 糖尿病性神経障害・糖尿病性腎症・糖尿病性網膜症
  • 脳血管疾患
  • 閉塞性動脈硬化症 
  • 慢性閉塞性肺疾患
  • 両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

※2:厚生労働省|介護保険の解説「介護保険とは」

40歳以上の人は自動的に介護保険の被保険者になりますが、介護認定や支援認定を受けないと介護保険は適用されないことを覚えておきましょう。

なお、65歳以上になると介護保険被保険者証が自治体から郵送されてきます。40歳〜64歳までの人は、介護認定や支援認定をされた人にのみ、介護保険被保険者証が発行されます。

介護サービスを受けた場合の自己負担額は原則1割

介護サービスイメージ

介護保険を適用して介護サービスを受けた場合の自己負担額は原則1割一定以上所得がある人は2割もしくは3割になります。

年齢

本人の
合計所得

年金収入+
その他の合計所得

負担割合

65歳以上

220万円以上

単身世帯:340万円以上
複数世帯:463万円以上

3割

単身世帯:280万円以上
     340万円未満
複数世帯:346万円以上
     463万円未満

2割

単身世帯:280万円未満
複数世帯:346万円未満

1割

160万円以上
220万円未満

単身世帯:280万円以上
複数世帯:346万円以上

2割

単身世帯:280万円未満
複数世帯:346万円未満

1割

160万円未満

1割

40歳〜64歳

生活保護受給者
市民税非課税者

1割

例えば、1割負担の人が5万円の介護サービスを受けた場合、自己負担額は5,000円になります。

介護保険施設やショートステイを利用する場合は、基本的に居住費や食費・日常生活費は自己負担です。しかし、世帯全員が市町村税非課税の世帯に対しては、補足給付が行われます。

介護保険施設やショートステイを利用する場合は、基本的に居住費や食費・日常生活費は自己負担です。しかし、世帯全員が市町村税非課税の世帯に対しては、補足給付が行われます

自己負担割合は、要介護・要支援認定後に発行される介護保険負担割割合証で確認できます。

介護費用が高額になった場合は軽減措置がある

1ヶ月の介護費用が高額になった場合や所得の低い世帯には、介護費用が軽減される制度があります。(※3)

特定入所者介護サービス費(補足給付)

特定入所者介護サービス費とは、所得や資産が一定以下の人が以下の施設を利用した場合、負担限度額を超えた居住費や食費が支給される制度です。

対象施設
  • 介護老人福祉施設
  • 介護老人保健施設
  • 介護療養型医療施設
  • 介護医療院
  • ショートステイ

高額介護サービス費

高額介護サービス費とは、1ヶ月の介護サービスの合計金額が所得による限度額を超えた場合に、超えた分が後から支給される制度です。

高額介護合算療養費制度

高額介護合算療養費制度とは、医療保険と介護保険の自己負担額を合算した金額が、所得による限度額を超えた場合に、超えた分が後から支給される制度です。

※3:厚生労働省|介護保険の解説「利用者負担の軽減について」

介護度は7段階

介護度は、以下のように要支援1〜要介護5までの7段階に分かれます。

介護度

心身の状態

要支援1

  • 日常生活の基本的な行動は
    ほぼ自分で行えるが、
    掃除などの一部の行動に
    介助が必要
  • 介護サービスを受けること
    により要介護状態の予防に
    なる

要支援2

  • 日常生活の基本的な行動は
    ほぼ自分で行えるが、
    要支援1より運動機能の
    低下があり、入浴時などに
    介助が必要

  • 介護サービスを受けること
    により要介護状態の
    予防になる

要介護1

  • 歩行や立ち上がりなどの
    介助が必要なため、
    入浴時や着替えなどの
    部分的な介護が必要
  • 多少の思考力の低下が
    みられ、会話がかみ合わ
    ないこともある
  • 要支援2より介護が
    必要な時間が増える

要介護2

  • 歩行や立ち上がりが
    自力でできないことが
    増える
  • 介助があれば着替えは
    できるが、入浴・食事・
    排泄などには介護が必要
  • 要介護1より思考力や
    理解力の低下が進み、
    問題行動を起こす人もいる

要介護3

  • 自立歩行が困難なため
    杖・歩行器・車いす
    などが必要
  • 入浴・食事・排泄などが
    自力でできなくなり、
    日常生活全般に介護が必要
  • 思考力や理解力の低下の
    ほか、認知症の症状が
    でることもある

要介護4

  • 自立歩行ができないため
    車いすが必要
  • 自力で生活することが
    厳しくなり、全面的な
    介護が必要
  • 理解力の低下が進み、
    意思の疎通が難しく
    なる

要介護5

  • 寝たきりに近い状態で
    介護なしでは生活が
    できない
  • 日常生活全般の介護は
    もちろん、
    寝返りにも介助が必要
  • 理解力の低下がさらに
    進み、意思の疎通が
    困難になる

介護度は自分で申請する訳ではなく、医師の診断書や介護調査員により判定されます。

介護サービスの利用上限額は介護度により異なる

介護保険を利用して介護サービスを受けた場合の自己負担額は原則1割ですが、1割負担で利用できる介護サービスの上限額は、介護度により異なります。(※4)

介護度

限度額

要支援1

50,320円

要支援2

105,310円

要介護1

167,650円

要介護2

197,050円

要介護3

270,480円

要介護4

309,380円

要介護5

362,170円

※4:厚生労働省|介護保険の解説「サービス利用者の費用負担等」を基に作成

もちろん、限度額を超えても介護サービスは受けられます。ただし、限度額を超えた分は全額自己負担になることを忘れないようにしましょう。

ちなみに、生命保険文化センターの2021年度「生命保険に関する全国実態調査」によると、介護度別の1ヶ月にかかる介護費用は、平均8.3万円でした。(※5)

介護度

1ヶ月の介護費用
(介護保険適用時)

要支援1

41,000円

要支援2

72,000円

要介護1

53,000円

要介護2

66,000円

要介護3

92,000円

要介護4

97,000円

要介護5

106,000円

介護保険を
利用している
人の平均

83,000円

※5:生命保険文化センター|2021(令和3)年度「生命保険に関する全国実態調査」〈図表Ⅱ−64〉介護費用(月額)(要介護度別)基に作成

65歳以上の高齢者が受け取れる給付金や支援金をまとめて紹介!

豊富にある!介護保険制度で受けられる介護サービスとは

介護保険制度で受けられる介護サービスとは

では、介護保険制度で受けられる介護サービスはどのようなものがあるのでしょうか?介護サービスは大きく分けると、以下の6つに分類されます。

分類

サービス名称

居宅系通所型
サービス

デイサービス
(通所介護)

デイケア
(通所リハビリ
テーション)

居宅系短期
通所型サービス

ショートステイ
(短期入所生活介護)

居宅系訪問型
サービス

ホームヘルパー
(訪問介護)

訪問入浴介護

訪問看護

訪問リハビリ
テーション

居宅療養管理指導

その他居宅系
サービス

福祉用具貸与

特定福祉用具販売

住宅改修

施設系
サービス

特別用語老人ホーム
(特養)

介護老人保健施設
(老健)

介護療養型医療施設

介護医療院

地域密着型
サービス

定期巡回・随時対応型
訪問介護看護

夜間対応型訪問介護

地域密着型通所介護

認知症対応型通所介護

小規模多機能型居宅介護

看護小規模多機能型
居宅介護

グループホーム
(認知症対応型共同生活介護)

特定施設入居者生活介護

介護老人福祉施設
入所者生活介護

介護サービスは、介護度によって適切なサービスが変わってきます。実際に、「生命保険文化センターの2021年度生命保険に関する全国実態調査」によると、介護度が進むにつれ、自宅での介護が減り、施設での介護が増えていくことがわかります(※6)

	在宅	施設 要支援1	75	20.8 要支援2	58.1	41.9 要介護1	76.4	23.6 要介護2	68.4	29.5 要介護3	54.9	44.4 要介護4	41.5	58.8 要介護5	40.4	56.4

※6:公益財団法人 生命保険文化センター2021(令和3)年度「生命保険に関する全国実態調査」〈図表Ⅱ−58〉介護を行った場所(要介護度別)を基に作成

これらを踏まえて、どのような介護サービスがあるのか確認していきましょう。

居宅系通所型サービスのデイサービスやデイケア

1つ目は、居宅系通所型サービスです。自宅からデイサービスやデイケアに出向き、食事や入浴、機能訓練などをして帰宅するイメージです。

デイサービス(通所介護)

デイサービスは日常生活の介護を行ってくれるサービスで、通所介護ともいいます。食事や入浴などの介護はもちろん、身体機能を向上させるための訓練やレクリエーションなども行われます。

デイケア(通所リハビリテーション)

デイケアは自立した生活が送れるよう、理学療法士や作業療法士がリハビリを行ってくれるサービスです。通所リハビリテーションとも呼びます。要支援認定を受けた人も利用可能です。

居宅系短期通所型サービスのショートステイ

2つ目は、居宅系短期通所型サービスのショートステイです。短期間、介護老人福祉施設や介護老人保健施設などに入所し、食事や入浴の介護、機能訓練などが受けられるサービスです。

家族の介護負担が一時的に軽減されることも特徴。要支援認定を受けた人も利用可能です。

居宅系訪問型サービスの訪問介護・看護・リハビリなど

居宅系訪問型サービスの訪問介護・看護・リハビリなど

3つ目は、居宅系訪問型サービスです。介護職員や看護師が自宅を訪問し、食事や入浴の介助、調理や洗濯などの生活支援を行ってくれます。

ホームヘルパー(訪問介護)

ホームヘルパーは、介護職員や看護師が自宅を訪問し、入浴・食事・排泄などの身体介護や、掃除・洗濯・調理などの生活援助を行ってくれるサービスです。通院するための乗降車の介助も行われます。

訪問入浴介護

訪問入浴介護は、自宅に浴槽を持ち込んで入浴の介助を行ってくれるサービスです。浴槽を運んでくれるため、自宅の浴槽が小さくて入浴介助ができない家の人におすすめです。要支援認定を受けた人も利用できます。

訪問看護

訪問看護は、看護師が自宅に訪問し健康チェックや療養上のケアをしてくれるサービスです。主治医の指示に基づいて健康管理を行ってくれるため、通院しているような安心感が得られます。要支援認定を受けた人も利用可能です。

訪問リハビリテーション

訪問リハビリテーションは、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などが自宅に訪問し、リハビリテーションを行ってくれるサービスです。要支援認定を受けた人も利用できます。

居宅療養管理指導

居宅療養管理指導は、医師や歯科医師・管理栄養士や薬剤師が自宅に訪問し、療養上の指導や管理を行ってくれるサービスです。要支援認定を受けた人も利用できます。

その他の居宅系サービスの福祉用具貸与・販売・住宅改修など

4つ目は、福祉用具の貸与や販売、住宅改修などのその他の居宅サービスです。

福祉用具貸与

福祉用具貸与は、以下の13の福祉用具を介護保険適用の料金で借りられるサービスです。

福祉用具
  • 車いす
  • 車いす付属品
  • 特殊寝台
  • 特殊寝台付属品
  • 床ずれ防止用具
  • 体位変換器
  • 手すり
  • スロープ
  • 歩行器
  • 歩行補助杖
  • 移動用リフト
  • 徘徊感知機器
  • 自動排泄処理装置

自宅でできるだけ自立した生活が送れるよう、指定を受けた事業者が適切な福祉用具を選んでくれます。要支援認定を受けた人も利用可能です。

特定福祉用具販売

特定福祉用具販売は、貸与に適さない入浴や排泄関係の福祉用具購入費の助成をしてくれるサービスです。

特定福祉用具
  • 腰掛便座
  • 自動排泄処理装置の交換可能部品
  • 排泄予測支援機器
  • 入浴補助用具
  • 簡易浴槽
  • 移動用リフトのつり具の部品

購入時に利用者が全額を支払った後に、購入費の9割(一定以上の所得がある人は8割・7割)が介護保険から支払われます。

ただし、同一年度で購入できる金額は10万円まで。要支援認定を受けた人も利用可能です。

住宅改修

住宅改修は、介護を必要とする人が住みやすい住宅に改修するための工事費用を助成してくれるサービスです。

対象の住宅改修
  • 手すりの取付け
  • 段差の解消
  • 滑りの防止・移動の円滑化等のための床しくは通路面の材料の変更
  • 引き戸などへの扉の取替え
  • 洋式便器等への便器の取替え
  • その他住宅改修に付帯して必要となる住宅改修

工事費用の9割(一定以上の所得がある人は8割・7割)が介護保険から支払われます。利用できるのは原則1人につきは20万円まで。ただし、介護度数が3段階上がった時には、再度20万円の枠が復活します。

施設系サービスの特養や老健など

施設系サービスの特養や老健など

5つ目は、施設系サービスです。自宅ではなく施設に入居し、介護やリハビリ、療養などのサービスが受けられます。

特別養護老人ホーム(特養)

特別養護老人ホームとは、在宅での生活が困難な人が入居できる介護保険施設です。特養と呼ばれることが多く、原則、要介護3以上の人しか入居できません。

月額費用の目安は、8〜13万円程度。居室や浴室、トイレや食堂など生活に必要な設備が整っており、終の住処として居住している人が多い施設です。

民間経営ではなく、地方自治体や社会福祉法人が経営しているため、比較的費用が安いことも特徴です。

介護老人保健施設(老健)

介護老人保健施設は、介護サービスと合わせて、リハビリなどの機能訓練に重点を置いている施設です。在宅で生活できることを目的にしている施設のため、入居できる期間は原則3ヶ月と決められています。

機能訓練に重点を置いているため、掃除や洗濯、レクリエーションなどの生活支援サービスはあまり充実していません。月額費用の目安は8〜14万円程度。要介護1から入居可能です。

介護療養型医療施設

介護療養型医療施設とは、医師や看護師による医療ケアやリハビリ、介護職員による介護が受けられる施設です。

他の施設よりも医療体制が充実していることが特徴で、インスリン注射や痰の吸引、経鼻栄養や酸素吸入などの医療ケアも受けられます。

月額費用の目安は9〜17万円程度。要介護1以上の人が利用できます。医療ケアが充実している反面、掃除や洗濯、レクリエーションなどの生活支援サービスはあまり充実していません。

2024年3月末で廃止されることが決定しているため、長期間の入所を考えている人は、介護医療院も検討してみましょう。

介護医療院

介護医療院は、医療ケアと看護ケアの両方が充実している施設です。介護療養型医療施設と同様、医師と看護師が常駐しているため、充実した医療ケアが受けられます。

さらに、レクリエーションなどを行っている施設も多く、介護ケアも充実しています。長期間の入所も可能。月額費用の目安は10〜20万円程度で、要介護1以上の人が利用できます。

有料老人ホームの種類と特徴を徹底解説!特養やサ高住との違いも紹介

自治体が提供している地域密着型サービス

自治体が提供している地域密着型サービス

6つ目は、自治体が提供している地域密着型サービスです。できる限り住み慣れた地域で生活ができるよう、自治体が提供している介護サービスです。

各自治体により提供している介護サービスが異なるため、利用時には自治体に確認をしてみましょう。

定期巡回・随時対応型訪問介護看護

定期巡回型訪問介護看護は、介護スタッフや看護スタッフが1日複数回自宅に訪問し、食事や入浴、排泄や療養上のケアをしてくれるサービスです。

随時対応型訪問介護看護は、自宅で急な体調不良があった場合、介護スタッフや看護スタッフが自宅に訪問し、状況にあった対応をしてくれるサービスです。24時間対応可能なため、利用者は安心して自宅で過ごせるでしょう。

夜間対応型訪問介護

夜間対応型訪問介護は、18時以降の夜間の時間帯に訪問介護をしてくれるサービスです。

地域密着型通所介護

地域密着型通所介護とは、定員18名以下の小規模な施設で受けられるデイサービス。利用者が施設に出向き、食事や入浴、機能訓練やレクリエーションなどを日帰りで受けられるサービスです。

認知症対応型通所介護

認知症対応型通所介護とは、認知症の人が利用できるデイサービスです。一般的なデイサービスでは認知症患者の対応をしていない施設も多く、対応していても利用者が馴染めないケースがあります。

しかし、認知症対応型通所介護は認知症の人に限定してサービスを行うため、安心して介護が受けられます。要支援認定を受けた人は、介護予防認知症対応型通所介護が利用可能です。

小規模多機能型居宅介護

小規模多機能型居宅介護は、介護度が中重度になっても自宅での生活が続けられるように支援するサービス。デイサービスを基本とし、訪問介護やショートステイを組み合わせることで、利用者や同居家族の生活を支えます。

介護サービスを提供するのは同じ事業者のため、スタッフと顔馴染みになりやすいこともメリットです。要支援認定を受けた人は、介護予防小規模多機能型居宅介護が利用できます。

看護小規模多機能型居宅介護

看護小規模多機能型居宅介護とは、小規模多機能型居宅介護に看護ケアがプラスされたサービスです。

グループホーム(認知症対応型共同生活介護)

グループホームは、認知症の人が共同生活をする住居です。少人数を基本としており、24時間体制のスタッフ支援のもと、食事や入浴、機能訓練やレクリエーションなどを行いながら生活します。

アットホームな雰囲気が特徴です。要支援2以上の人は、介護予防認知症対応型共同生活介護が利用できます。

特定施設入居者生活介護

特定施設入居者生活介護は、自治体から指定を受けた小規模の有料老人ホームや軽費老人ホームで、食事や入浴、機能訓練などが受けられるサービスです。

要支援認定を受けた人は、介護予防特定施設入居者生活介護が受けられます。

介護老人福祉施設入所者生活介護

介護老人福祉施設入所者生活介護は、定員30名未満の小規模な特別養護老人ホームで、食事や入浴、排泄や機能訓練などの介護サービスを受けられるサービスです。要介護3以上の人が利用できます。

要支援の人が受けられる予防サービス

7つ目は、要支援の人が受けられる予防サービスです。要支援1・要支援2と認定された人は、身体機能や認知機能の低下を予防するサービスが受けられます。

以下に、要支援の人が受けられるサービスを一覧にまとめたので、ぜひ、参考にしてください。

分類

サービス名称

居宅系通所型
介護予防サービス

デイケア
(介護予防通所
リハビリ
テーション)

居宅系訪問型
介護予防
サービス

ホームヘルパー
(介護予防訪問介護)

介護予防訪問入浴介護

介護予防訪問看護

介護予防訪問
リハビリ
テーション

介護予防
居宅療養管理指導

ショートステイ
(介護予防短期入所
生活介護)

その他居宅系
サービス

介護予防福祉用具貸与

特定介護予防
福祉用具販売

住宅改修

地域密着型
介護予防サービス

介護予防認知症対応型
通所介護

介護予防小規模多機能型
居宅介護

グループホーム
(介護予防認知症対応型
共同生活介護)
※要支援2以上

介護予防特定施設
入居者生活介護

なお、サービスの内容は、基本的にここまでにご紹介した介護サービスと同様です。例えば、「介護予防訪問入浴介護」は「訪問入浴介護」と同じようなサービスです。

介護保険制度を利用するまでの流れ

介護保険制度を利用するまでの流れ

最後に、介護保険制度を利用するまでの流れを確認しておきましょう。

ステップ1:要介護・要支援の申請を行う ステップ2:認定調査を受ける ステップ3:要介護・要支援の認定を受ける ステップ4:ケアプランの作成 ステップ5:介護サービスの利用開始

申請から認定がだされるまでには、約30日程度です。

要介護認定を受けるには?申請の流れや基準・介護保険のメリットも紹介

ステップ1:要介護・要支援の申請を行う

まずは、自治体の介護保険窓口で、要介護・要支援の申請を行います。申請には、本人確認書類や介護保険被保険者証が必要です。

申請書には、かかりつけの病院名や主治医の名前、最終受診日や住所などが必要になるため、あらかじめ確認しておくとスムーズに手続きが進むでしょう。

なお、申請には主治医の意見書が必要ですが、自治体が病院へ作成依頼をするため、個人で依頼する必要はありません。主治医がいない場合は、自治体が指定する医師の診察が必要です。

ステップ2:認定調査を受ける

申請が終わると、認定調査が始まります。自治体から任命を受けた認定調査員が自宅や病院に訪問し、申請者の生活機能や認知機能の調査を行います

生活機能の確認では食事・排泄・衣類の着脱などの日常生活で行う動作の確認、認知機能の確認では生年月日や名前などが正しく言えるか、簡単な計算問題やクイズに答えられるか、意思の疎通ができるかなどの確認が行われます。

申請者だけでなく家族に質問することも多いため、同居のご家族はできるだけ同席するよう心がけましょう。

ステップ3:要介護・要支援の認定を受ける

介護保険の認定は2段階で決定されます。一次判定では、主治医の意見書と認定調査員の結果を基に、コンピューターが判定を下します。

二次判定では、一次判定の結果や主治医の意見書を基に、介護認定審査員による話し合いで最終的な介護度が決定されます。

介護度は、要支援1から要介護5までの7段階。介護度ごとに、介護保険が適用されるサービスの上限額が異なります。

ステップ4:ケアプランの作成

認定を受けたら、それぞれに適したケアプランを作成します。

要介護認定を受けた人は居宅介護支援事業者や施設に相談

要介護認定を受け、自宅での介護を希望している人は、居宅介護支援事業者にケアプランの作成を依頼します。

自治体から地域で活動している居宅介護支援事業者やケアマネージャーを紹介してもらえるため、自宅に訪問してもらい、今後の介護計画を立てましょう。

介護生活を送るうえで、ケアマネージャーとの相性はとても重要です。相性のいいケアマネージャーでないと、利用者だけでなくご家族の負担になる可能性もあります。

相性が合わないと感じた場合は後からでも他の人に変更可能なため、話しやすく親身になってくれるようなケアマネージャーを探しましょう。

施設への入所を希望している人は、直接施設へ入居の申し込みをし、施設内のケアマネージャーにケアプランを作成してもらいます。居宅介護支援事業者に相談した後に、施設の申し込みをすることも可能です。

要支援認定を受けた人は地域包括支援センターに相談

要支援認定を受けた人は、地域包括支援センターにケアプランの相談をします。地域包括支援センターとは、介護や医療、保健や福祉の観点から高齢者を手助けする、総合相談窓口のようなものです。

どこへ連絡すればいいのかわからない場合は、自治体の介護保険窓口で問い合わせをしましょう。

ステップ5:介護サービスの利用開始

ケアプランの作成が終わったら、プランに基づいた介護サービスが利用できます。

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まとめ:40歳を超えたら介護保険制度の把握をしておこう

2000年から開始された介護保険制度。40歳以上で介護保険料を支払っているにも関わらず、仕組みを把握していない人も多いのではないでしょうか?

超高齢化が進む現在、介護は重要な問題。決して他人事ではありません。ご家族やご自身に介護が必要な状態がおとずれても慌てずに対処できるよう、この機会に介護保険制度を把握しておきましょう。

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参考資料

この記事の監修者

岡地 綾子 【ファイナンシャル・プランナー】

2級ファイナンシャル・プランニング技能士。 年金制度や税金制度など、誰もが抱える身近な問題の相談業務を行う。 得意分野は、生命保険・老後の生活設計・教育資金の準備・家計の見直し・相続など。

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