シニアのための看護師転職の基礎知識!一億総活躍社会で求められる役割とは?
いつでも好きな時に職場を移れると言われるほど転職に強い看護師。 シニアと呼ばれる年齢からの転職事情はどうなのでしょうか。 今回は、シニアのための看護師転職の基礎知識を紹介します。
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日本の高齢化はとどまるところを知りません。65歳以上の高齢者の数は2020年に3617万人にもなり、総人口の28.7%を占めています。10人いれば3人がシニアというのが日本の現状です。
人手不足が叫ばれる中、貴重な戦力としてシニアには大きな期待が寄せられています。
老後はのんびり楽隠居、というのは過去の話。個人の社会参加意識が高まりつつある現在ではシニアも積極的に仕事に就くことが求められています。いつまでも若くありたいと願うシニア側としても職場が見つかるのは大歓迎なことです。
最近ではシニア向けの職業紹介や就職支援も盛んで、資格や経験を生かして転職するケースが増えています。
資格職の中でも転職に強いと言われるのが看護師です。
シニア年代が看護師として働くのに必要な知識を、ご紹介していきます!
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シニアが看護師として働ける職場は?
看護師は常に人手不足の職種なので転職に強く求人情報も豊富です。
看護師といえば病院で医者のサポートを行うというイメージが一般的ですが、それ以外にもいろいろな職場で活躍しています。
看護師資格をいかせる職場といっても労働条件や環境はいろいろです。
年齢の問題もあって昔のようにバリバリ病院で働くのは難しい人でも自分にあった職場を見つけることでまだまだだ活躍のチャンスがつかめます。
関連する記事→シニア看護師の活躍の場ってどこ?年齢を気にせず働ける職場を教えます!
病院勤務なら負担軽減を再優先
看護師の職場として最初に思い浮かぶのが病院です。
病院勤務とひとくちにっても規模や診療科によって仕事内容はガラリと変わります。
大病院の看護師職では夜勤が大きな課題です。
体力的な衰えが始まるシニアには夜勤や長時間の連続勤務は難しく、無理して働くと体調を崩しかねません。
診療所は提示勤務に向いている
診療所に分類されるいわゆる街のお医者さんでも看護師は活躍しています。
診療所は入院施設がないので夜勤や連続勤務がなく、診療時間も決まっているので定時に帰れるのが大きなメリットです。
仕事内容も高度な処置などを求められることはほとんどありません。
多くの外来患者を上手に対応するには経験が必要なので、「経験が豊富なベテランシニア看護師」は歓迎される傾向にあるのも魅力です。
週3日勤務など少ない勤務時間での応募も、比較的多いので余裕を持って働きたいシニアに向いている職場と言えるでしょう。
老人ホームの医療スタッフ
老人ホームの中には常駐で看護師が勤務している施設もあります。
健康管理が大きな課題である老人ホームでは看護師の需要が高く、病院に変わる勤務先として候補にあがります。
老人ホームは高齢者を相手にする仕事なので利用者の気持ちをくんで配慮できるシニア向きの職場です。
体力が必要な場面もありますが他のスタッフのサポートを受ければ問題ありません。
利用者の様子を観察し普段の行動との違いなど、異変をいち早く察知できる敏感な人なら高齢者であっても信頼を集める看護師として働けます。
保育園で病児保育を担当する
働く家庭に欠かせない保育園では病気のこどもを預かる病児保育というサービスを行っています。
子どもが病気になると保育を断られるケースが多く、病気の子どもと忙しい仕事の板挟みで悩む家庭は少なくありません。
専門知識を持ち経験が豊富なシニアの看護師は病児保育のスタッフとして大きな信頼感があります。
年齢を重ねているというだけで安心感がありますし、専門の看護師が病児の面倒を見てくれるのは預ける親にとって何よりの信頼です。
これまでと務めてきた看護師の仕事とはだいぶ仕事内容は変わりますがこども好きの方にピッタリの職場です。
負担の少ない夜勤や長時間勤務がない職場を選ぼう
病院で働くのであれば夜勤や長時間勤務がないことを条件に求人を探しましょう。
待遇は低くなっても自分の体を大切にすることを第一に考えましょう。
自身の健康を優先した勤務形態で働こう
正規ではなくパートやアルバイトなど勤務に融通がきく非正規の求人を探すのもひとつの方法です。
誘いがあるならば管理職になるのもいいでしょう。
直接看護を行わない管理職は事務作業が中心で夜勤や連続勤務も回避できます。
責任が重い分待遇も良いですが、経験や知識が豊富でなければ叩くことはできません。
看護師の資格を活かしたシニアの転職方法
シニアの転職で最大のネックになるのが年齢です。
年齢条件に引っかかって仕事が見つからないというシニアは少なくありませんが、看護師の転職に関してはそれほど気にする必要はありません。
慢性的な人手不足が続く看護師業界では常に求人募集が行われています。
年齢問わず募集をかけている職場は多く、他業種と比べれば年齢的なハンデを気にせず応募でき、職場によっては高齢であることがプラスに働くこともあります。
年齢をマイナスに考えずポジティブな要素ととらえて転職活動に挑戦しましょう。
シニア看護師の転職に関連する記事→看護師の自己PR 内定に一歩近づく履歴書・自己PR欄の書き方ポイント
経験はシニアの最大の武器
シニアの看護師転職で最大の武器になるのが経験です。
看護師の仕事は経験が大きく影響します。医療スキルや看護スキルだけでなく対人スキルや事務スキル、管理スキルなど経験が影響する分野に関してはシニアであることの強みを存分に発揮できます。
転職活動に際しては豊富な経験を過去の職歴と合わせてアピールしてください。
これから未経験の新しい職種に応募するときも過去の経験が応用できることを全面に押し出すと好印象を与えられます。
知識面では最新の知識への意欲を示すと好印象
豊富な経験が武器になるのがシニアの看護師転職の強みですが、反対に弱みとなるのが最新知識への対応です。
日進月歩で進む看護師の世界では常に勉強を怠らず知識をアップデートしていく市政が求められます。
新しい薬剤の種類や用法、最新の看護理論の習得、応急処置の方法などかつては正しいとされていた知識が時代とともに否定され全く新しいやり方を求められるケースも多々あります。
シニアの看護師は知識が古いという印象を持たれがちです。そんなネガティブな印象を払しょくするためにも積極的な学びの意欲を示し新しいものにも柔軟に対応する姿勢をアピールしてください。
知識だけでなく仕事の進め方や職場のルールについても同様です。
古いやり方やマイルールにこだわるシニアが敬遠されるのはどこの職場でも同じです。知識のアップデートへの積極的な意欲を示し職場に積極的に溶けこむ謙虚さをアピールすることで面接の成功率は高まります。
関連資格でアピール
看護師は転職に有利な資格ですがそれに加えて職場で役立つ資格を取得するとさらに転職が有利となります。
介護士や保育士といった専門資格は取得までに長い時間と費用がかかるので狙い目は比較的容易に取得できる実用的な資格です。
「医療事務」や「診療報酬請求事務」の資格は診療所へ転職するのに大きく有利になる資格です。
試験は簡単ではありませんがしっかり勉強すれば自己学習だけでも取得が可能です。
全国保育サービス協会が認定する「ベビーシッター」の資格があると病児保育に有利です。
保育士や幼稚園教諭とは違い民間資格で実務経験は必要ですが所定の研修を終了して試験に合格すれば取得が可能です。
その他にもさまざまな資格が転職に役立ちます。希望する職場で何が求められるのかを考えて有利な資格を取得しておくとよりよい仕事に転職できます。
保育士・ベビーシッターに関連する記事→定年後のシニアのキャリアとして「保育士」が魅力的な理由
看護師の就業先ごとの年収
2020年の看護師の平均年収は約480万円となっています。
年齢別でみると最も年収が高くなるのは40代後半から50代前半で、65歳以上になると平均年収は420万円前後まで下がります。
これはシニア看護師になると職場を写ったり働き方を変えたりするケースが多いのが主な原因です。
シニアの転職では無理が少なく働けることを条件に職場を探すケースが多く、若いころのような長時間勤務や夜勤は避ける傾向が見られます。
結果として年収は低くなるもののワークライフバランスがとれた働き方ができていると考えるのが正しい捉え方です。
職種でみる給料の違い
一番稼げるのは大病院の看護業務です。慢性的な人手不足の職場が多い大病院は看護師確保の競争も激しく、給料を含め手厚い待遇を用意しています。
夜勤を避けシフトを少なくする傾向があるシニア看護師であっても標準的な勤務時間で働けば全年齢の平均年収程度は稼げます。
定時で帰れるのが魅力の診療所はパートやアルバイトの求人が中心です。
時給は地域によって異なり地方なら1400円前後、人手不足が深刻な都心部では1800円前後が相場です。
老人ホームや保育園など病院以外の職場では待遇がまちまちです。
富裕層向けの高級老人ホームだと時給3000円以上のところもありますが一般のアルバイトとほぼ変わらない1000円前後で募集している施設もあります。
保育施設の病児保育スタッフは時給1200〜1500円が相場です。
看護師はシニアでも働くチャンスを見つけやすい
転職に有利とされる看護師ですがシニアと呼ばれる年齢層でも同じく需要の高い仕事です。
働き盛りと変わらない仕事量を求める職場から定時で帰れる職場、子供や老人を対象にする仕事など同じ看護師でも転職先候補は豊富です。
年齢を重ねてシニアの仲間入りをすると若い頃には簡単に出来たことが難しくなったり、逆に年齢を重ねたことで新たな発見があったりといろいろな変化が生じます。
高齢の現状を受け入れて看護師として何が向き不向きなのか、自分自身を見つめなおすことが転職への第一歩となります。
前向きな気持ちで転職活動に励み、生涯現役で意欲を持って働ける新しい職場を見つけてください。
この記事の監修者
松澤裕介 【キャリアアドバイザー】
キャリアアドバイザーとして、転職相談3,000名以上、紹介企業数10,000社以上に対応。年間1,000名以上の履歴書、職務経歴書を作成。主に医療・介護業界の人材紹介を担当。「シニア人材の転職市場・転職の注意点」などのテーマで記事やコラムを監修。