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血圧を下げる食べ物と高血圧の人向けの簡単お料理レシピ【健康管理士監修コラム】

高橋正美 【健康管理士一般指導員】

年齢とともに高血圧になるリスクは高まります。健康なシニアライフを送るには、食生活や運動習慣を見直す必要があるでしょう。そこで、血圧を下げる食べ物と、レシピ集を紹介します。

目次

血圧を下げる薬に頼りすぎずに「食生活」を見直そう

日本高血圧学会による20歳以上男女3,132人の血圧調査結果(血圧を下げる薬の使用者含む)

高血圧は、日本人にとって国民病とも言える存在です。
厚生労働省が公表している最新の「国民健康・栄養調査」(※1)では、高血圧の人の割合(※2)は、全年齢で35.6%にも上りました。
日本人のおよそ3人に1人が高血圧だということです。

また、年齢を重ねるにつれて、血圧は高くなる傾向にあります。
年齢別の高血圧割合のデータを見ると、50代では35.1%、60代では42.4%、70歳以上では49.1%となり、年齢とともに高血圧になる率も高まっていくことがわかっています。

高血圧の治療には、血圧を下げる降圧剤を服用しますが、降圧剤には血圧を下げる効果とともに、さまざまな副作用があることが知られています。
ほかの病気で処方された薬と降圧剤の飲み合わせが悪い場合は、処方する薬を変更しなくてはいけませんので、降圧剤が必要な状況はできる限り避けたいものです。

ですので、日頃から高血圧にならないような食生活を心がけていく必要があるでしょう。

※1:「血圧の状況 - 年齢階級、日本高血圧学会による血圧の分類別、人数、割合 - 総数・男性・女性、20歳以上」より
※2:血圧を下げる薬の使用者を含む、1度高血圧、2度高血圧、3度高血圧の人を足した割合

血圧を下げる薬に頼りすぎると、さまざまなデメリットがある

血圧を下げるためには「減塩」が重要

血圧を下げるためには、食事に含まれる塩分をいかに減らすかがポイントです。
まずは、なぜ塩分が高血圧の大敵なのかを解説します。

塩分と血圧の関係

人の体は食塩をとりすぎると、血液中のナトリウム濃度を一定に保とうとして、水分が組織液(細胞間液)から血管内に引き込まれることによって血液量が増えて血圧が上がってしまいます。また、ナトリウムには血管を収縮させて、血圧を上げる作用があります。

参考:減塩食について|栄養・食事について|循環器病について知る|患者の皆様へ|国立循環器病研究センター 病院

高血圧が危険な理由

高血圧の状態が続くと、心臓に負担がかかり、やがて「心臓肥大」や「心不全」を引き起こすことにもなりかねません。さらに、血管が厚く硬くなっていく「動脈硬化」も引き起こします。動脈硬化は、「脳梗塞」や「心筋梗塞」の原因にもなるものです。

高血圧を放置すると動脈硬化が進み、下記のような、さまざまな合併症に発展する恐れがあります。

〇脳への影響
脳内出血、くも膜下出血、脳梗塞

〇心臓への影響
心肥大、狭心症、心筋梗塞

〇腎臓への影響
腎硬化症

〇糖尿病

高血圧と肥満の関係

BMI値(※1)が25以上となる肥満者は、高血圧になるリスクが非肥満者の約2倍にもなるというデータがあります(※2)。
肥満は高血圧だけでなく、糖尿病や脂質異常などの生活習慣病も引き起こしやすいため、食生活の改善で血圧を下げるだけでなく、肥満状態の解消も同時に検討していくことをおすすめします。

※1:[体重(kg)]÷[身長(m)の2乗]で算出される値
※2:生活習慣病とエネルギー・栄養素との関連 3 1 高血圧(厚生労働省)より

高血圧を予防するための食塩摂取量は1日6グラムが目安

1日の食塩摂取量は、6グラム未満が理想とされています(※)。
6グラムとは、具体的に言うと、小さじ(すりきり)約1杯分です。

栄養素の表示がされていて、食塩相当量の明示がない食品については、ナトリウムの表示量を食塩に換算してみましょう。
下記の数式を参考にしてください。

ナトリウム(mg)×2.54÷1000=食塩量(g)

※厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版) 『日本人の食事摂取基準』策定検討会報告書」269ページ目より

加齢で味覚が衰える

健康な人でも、加齢が進むと味を感じにくくなるものです。年齢とともに味覚が変化する原因としては、下記のような原因が考えられます。

  • ホルモン量の変化や味刺激に対する中枢反応の変化などの影響(※)
  • 噛む力の低下で唾液が減少し、口腔内が乾きやすくなる
  • 腎機能の低下や薬の副作用などで、味を感じるのに必要な亜鉛が不足する


このように、高齢者になると味覚の衰えが見られ始めますので、50歳代あたりからは、とくに意識して塩分を減らす必要があるでしょう。
味覚の衰えを予防するために、亜鉛が多く含まれる赤身肉や、魚介類、大豆製品などをバランス良く食べることをおすすめします。

味覚のサイエンス~加齢と味覚の関係~(日本老年医学会雑誌57 巻 (2020) 1 号)

日々の食事で減塩するコツ

続いては、血圧を下げるための「減塩のコツ」を紹介します。日々の食事を摂る際の参考にしてください。

減塩のコツ1:昼は手作り弁当、朝晩は自炊を推奨

外食やレトルト、冷凍食品、できあいのお惣菜は、どうしても塩分が多くなってしまうものです。
減塩をするためには、お昼は手作り弁当で、朝晩は自炊をすることを推奨します。
献立を考えて下ごしらえをするのが大変な場合は、自炊の手間が省けるミールキットや食事宅配などのサービスを活用するのもいいでしょう。

減塩のコツ2:ラーメン、うどん、そばなどのつゆは飲み干さない

高血圧の人はラーメンつゆを飲み干さないように注意しよう
ラーメン1杯の塩分は、およそ6グラム近くもあります。つゆまですべて飲み干してしまうと、1日の目標塩分量を1食だけで超えてしまうのです。

仕事で汗を大量にかいた日は、塩分補給が必要ですので、多少つゆを飲んでも問題はありませんが、デスクワークだけの日に、ラーメンやうどん、そばのつゆを飲み干すのは控えたほうが無難です。
だし汁を注いだつけ麺のつゆや、そば湯で割ったそばのつけ汁などは美味しいものですが、血圧を下げたい人は飲み過ぎに注意してください。

減塩のコツ3:だし・酒・砂糖・酢・薬味・香辛料をフル活用する

味付けを塩に頼りすぎないことも重要です。
日本食の場合、諸外国の料理よりも香辛料や薬味などの使用を控える傾向があるため、塩分が多くなってしまいがちです。

そこで、塩味が足りないと感じたときは、だしや香辛料、料理酒などを使って、味の奥行きを出す工夫をしてみましょう。また、砂糖や酢、柑橘類の果汁、薬味などを駆使して、甘味、酸味、苦味など、塩味以外でうま味を調整してみてください。

料理のアイデアが煮詰まったら、外国料理をお手本にするのもいい方法です。
香辛料の使い方が絶妙なインド料理や、韓国料理、酸味が印象的な南国料理、香味野菜を使ったフランス料理など、世界には塩分控えめでも美味しい料理がたくさんあります。

減塩のコツ4:酸味や苦味、香りの強い野菜と果物を活用する

酸味や苦味、香りの強い野菜と果物を料理に使えば、塩味以外の味が濃くなりますので、塩分を控えられます。

<酸味・苦味・香りの強い野菜と果物>

  • 酸味:トマト、レモンやオレンジなどの柑橘類
  • 苦味:ほうれん草、モロヘイヤ、菜の花、タラの芽、ウド、ピーマンなど
  • 香り:にんにく、しょうが、みょうが、しそ、ネギ、玉ねぎ、セロリ、ハーブなど


このあたりの野菜や果物を中心に、レシピを考えてみましょう。

減塩のコツ5:あんかけ・寒天などで食感を工夫する

高齢になると、口腔内の渇きや、口周りの筋力の低下などによって、嚥下(食べ物を飲み込み、食道へ送ること)の機能が衰えてきます。
ですので、汁気を感じやすく、咀嚼もしやすくなる、あんかけや寒天(ゼリー寄せ)などの調理方法がおすすめです。
口当たりの良い食感にすることで、美味しさを感じやすくなり、塩分を控えるのにも役立ちます。

なお、秋田県南部では果物を寒天で固めた「フルーツ寒天」を筆頭に、卵寒天、ポテトサラダ寒天、そして「横手やきそば寒天」など、なんでも寒天にして食べる郷土料理文化があります。
秋田の寒天料理を参考に、自分だけの「○○固め」を料理のレパートリーに加えてみてもいいでしょう。

参考:卵寒天 秋田県 | うちの郷土料理:農林水産省

減塩のコツ6:香り・彩り・温度・シチュエーションなどの要素を工夫する

美味しさを構成する要素は、味以外にもたくさんあります。
嗅覚に訴える香り、視覚に訴える彩りのほか、料理によっては熱々でなければ不味くなってしまいますので、温度が適温であるかも重要です。

また、旅先で素晴らしい景色を見ながら味わった料理が格別だった、という思い出はないでしょうか。
格式の高い旅館や、お洒落なレストランなどの非日常的な空間で味わう料理は、普段よりも美味しく感じられるものです。
わざわざ旅行に行かなくても、料理の彩りに合わせて食器を替えたり、素敵なランチョンマットを敷いたり、食卓に花を飾ったりなど、自宅でもちょっとした工夫で非日常感を演出することは可能です。ぜひ「シチュエーションの変化」も意識してみてください。

血圧を下げるためのDASH食とは?

近年、血圧を下げる効果があり、糖尿病や痛風への対策としても注目されているのが「DASH食」と呼ばれる食事方法です。DASH食とは一体どんなものなのか、詳しく解説していきます。
排塩して血圧を下げる効果が見込める「DASH食」の一覧

DASH食とはアメリカ発の食事方法

DASH食とは、「Dietary Approaches to Stop Hypertension(高血圧を防ぐ食事方法)」の頭文字を取った食事の方法です。
DASH食の基本は、脂肪と糖分を減らし、カリウム、カルシウム、マグネシウム、食物繊維、タンパク質を豊富に含む野菜や海藻、果物などを十分に摂ることです。

続いては、DASH食で摂ることを推奨している、それぞれの栄養素について解説していきます。

塩(ナトリウム)を排出する働きがある「カリウム」

カリウムが豊富なバナナ、きのこ類、ナッツ、ドライフルーツ、豆類、柑橘系の果物、ほうれん草などの葉物野菜、トマト、にんにく、じゃがいも
カリウムには、浸透圧の調整をしてナトリウムの排出を促す作用があります。
カリウムを豊富に含む食品としては下記のものが知られています。

  • 海藻類(乾燥):昆布、ひじき、わかめ、焼海苔
  • 野菜:アボカド、ほうれん草、枝豆、にんじん、モロヘイヤ、小松菜、ブロッコリー、かぼちゃ
  • 乾燥野菜:切り干し大根、ドライトマト
  • 果物:バナナ、メロン、キウイフルーツ、さくらんぼ、パパイヤ
  • 乾燥フルーツ:いちじく、マンゴー、バナナ、レーズン、干し柿、デーツ(ナツメヤシ)
  • ナッツ:ピスタチオ、アーモンド、ヘーゼルナッツ、くるみ、ピーナッツ


参考:カリウム | e-ヘルスネット(厚生労働省)

骨だけでなく血管・血圧にも関係する「カルシウム」

カルシウムの99%は骨や歯に存在していますが、残り1%は血液中や細胞などに存在し、血液中で一定濃度に保たれています。カルシウムが不足すると、骨からカルシウムを放出させて、血液中のカルシウム濃度を補います。

なお、カルシウムの摂取不足が原因で、血液中に余分なカルシウムが増えすぎることがあります。過剰に溶かし出されたカルシウムは血管壁に取り込まれると、動脈硬化や高血圧を引き起こしやすくなるのです。
また、カルシウムを取り込んだ筋肉は収縮し、血管が狭くなってしまいます。
つまり、血圧を下げるためには、カルシウムも欠かせない栄養素なのです。

カルシウムを豊富に含む食品としては下記のものが知られています。

  • 海藻類(乾燥):ひじき、わかめ、寒天
  • 乳製品:牛乳、チーズ、ヨーグルト
  • 魚介:小魚
  • 大豆製品:納豆、豆腐


この中でカルシウムの吸収率がもっとも高いと考えられているのは、牛乳や乳製品なのですが、日本人は体質的に牛乳を受け付けない人も多く、吸収率には個人差があります。
カルシウムの吸収率は、ほかのミネラルとのバランスも影響します。たとえば肉類やインスタント食品などに多く含まれる「リン」を過剰に摂取すると、カルシウムの吸収を阻害してしまいます。
ですので、ほかの食品もバランス良く摂るように心がけましょう。

また、カルシウムを摂る際は、同時にビタミンDが豊富な食品(魚介類、きのこ類)を摂ると吸収率が高くなりますので、献立や食べ合わせでは「ビタミンD」を意識してみてください。ビタミンDは日光を浴びることで体内でも生成できますので、意識的に屋外に出ることもおすすめです。

参考:大切な栄養素カルシウム:農林水産省

交感神経を抑制する「マグネシウム」

マグネシウムが豊富なバナナ、ブロッコリー、アーモンドをはじめとしたナッツ類、アボカド、大豆などの豆類、ごま、チョコレートなど
マグネシウムには、血圧上昇の原因となる交感神経を抑制する働きや、カルシウムが血管を収縮するのを抑制する働きもあります。

マグネシウムを豊富に含む食品としては下記のものが知られています。

  • 海藻類(乾燥):こんぶ、海苔、ひじき、わかめ
  • 魚介:ウマヅラハギ、ほたて、金目鯛、かつお、サバ缶
  • 野菜:ほうれんそう、とうもろこし、しいたけ
  • 大豆製品:納豆、豆腐、きな粉
  • その他:アーモンド、ごま


ナトリウムだけでなくコレステロールの排出も助けてくれる「食物繊維」

食物繊維には、整腸効果だけでなく、血糖値の上昇を抑え、コレステロールやナトリウムの排出を助けてくれる働きがあります。
特に水溶性食物繊維は、血中LDLコレステロールの上昇を抑制し、動脈硬化を予防する効果が認められます。
また、ナトリウムと結びついて便と一緒に排泄することで、血圧を下げる効果も期待できます。

日本人の食物繊維の摂取量は減少傾向にありますので、積極的な摂取が必要です。

食物繊維を豊富に含む食品としては下記のものが知られています。

  • 穀類:玄米、麦、胚芽米、全粒粉パン
  • 豆類、野菜、果物、きのこ類、藻類


参考:食物繊維の必要性と健康 | e-ヘルスネット(厚生労働省)

血管の健康を保つ「タンパク質」

タンパク質が豊富なブロッコリーを食べる夫婦
タンパク質は、皮膚や筋肉、臓器、血液、毛髪、爪、骨など、体をつくる最も重要な構成成分であり、ホルモンや酵素、神経伝達物質、免疫物質、抗体などの原料としても欠かせない栄養素です。
タンパク質は20種類のアミノ酸で構成されていますが、そのうち必須アミノ酸といわれる9種類のアミノ酸は体内では合成することができません。
ですので、食事で体内に取り込むことが重要なのです。

タンパク質を豊富に含む食品としては下記のものが知られています。

  • 肉類:鶏ささみ、ローストビーフ、豚ロース、鶏砂肝
  • 魚介類:いわし、いくら、たらこ、いか、たこ、牡蠣、魚肉ソーセージ
  • 大豆製品:きな粉、納豆、豆腐、油揚げ、厚揚げ、豆乳
  • 乳製品:パルメザン・プロセス・カマンベール等のチーズ、脱脂粉乳など
  • その他:卵、ブロッコリー


血圧を下げるために積極的に摂りたい食品

血圧低下の効果があるとして注目されている栄養素はDASH食だけではありません。続いては、血圧を下げるために積極的に摂取したい食品を紹介します。

なお、飲み物については「血圧を下げる飲み物編」として別の記事にまとめましたので、下記を参考にしてください。
他の健康に関しても、詳しく解説しています。


発芽玄米、トマト、アスパラガス、発酵食品に多く含まれる「GABA」(ギャバ)

GABAとは、「Gamma-Amino Butyric Acid」の頭文字を取ったもので、γアミノ酪酸とも言います。
GABAには、ストレスをやわらげる効果や、睡眠の質を向上させる効果、そして、血管を収縮させる神経伝達物質ノルアドレナリンの分泌を抑えて血圧を下げる効果があることが、数々の研究で報告されています(※)。

最近ではGABAが配合されたチョコレートをよく見かけるようになりました。寝る前にGABA配合のチョコレートを食べる人も増えているようです。

GABAが多く含まれる天然の食材は、発芽玄米のほか、トマト、アスパラガス、なす、きゅうりなどの夏野菜が目立ちます。果物では、みかんやメロン、発酵食品である漬物、ヨーグルトなどにも多く含まれています。

自然発症高血圧ラットにおける全身投与されたGABAの降圧効果におけるγ-アミノ酪酸(GABA)B受容体の関与(Involvement of γ-Aminobutyric Acid (GABA) B Receptors in the Hypotensive Effect of Systemically Administered GABA in Spontaneously Hypertensive Rats)
γ-アミノ酪酸(GABA)含有緑茶飲料の正常高値血圧者および軽症高血圧者に対する長期摂取時の血圧降下作用と安全性および正常高値血圧者、軽症高血圧者および正常血圧者に対する過剰摂取時の安全性など

高カカオチョコレートには「カカオポリフェノール」がたっぷり

チョコレートには、血圧を下げるとされるGABAだけでなく、カカオポリフェノールという見逃せない成分も含まれています。

とくにカカオ含有率70%以上のチョコレートは、「ダークチョコレート」や「高カカオチョコレート」「ハイカカオチョコレート」などと呼ばれており、摂取することで、血圧の低下だけでなく、肥満や糖尿病などとも関連があるインスリン感受性の上昇なども期待できます(※)。

とはいえ、チョコレートは脂質や糖分が多く、カロリーも高くなるため、食べすぎには注意が必要です。1日1かけくらいが適量でしょう。

なお、ポリフェノールについては、「血圧を下げる飲み物編」で詳しく紹介しています。
血圧を下げる飲み物と高血圧の人向けの簡単飲み物レシピ【健康管理士監修コラム】

高ポリフェノールダークチョコレートを15日間摂取した後、耐糖能のない高血圧の被験者では、血圧が低下し、インスリン感受性が上昇します(Blood pressure is reduced and insulin sensitivity increased in glucose-intolerant, hypertensive subjects after 15 days of consuming high-polyphenol dark chocolate)

血圧を下げるのに「肉より魚」がいい理由は?

高血圧の人の食事として、肉よりも魚を食べることが推奨されているのは、肉の脂と魚の脂の違いにあります。
肉の脂には「飽和脂肪酸」が多く含まれており、魚の脂には、不飽和脂肪酸の一種である「多価不飽和脂肪酸」が多く含まれています。

日本高血圧学会が作成している「高血圧治療ガイドライン2019」(※1)では、血圧を下げるための食事パターンとして、野菜や果物などとともに、多価不飽和脂肪酸を積極的に摂取し、飽和脂肪酸やコレステロールを避けることが推奨されています。

つまり、飽和脂肪酸が多く含まれ、食べ過ぎるとLDLコレステロール(悪玉コレステロール)が増えやすい肉よりも、不飽和脂肪酸が多く含まれる魚を中心とした食事のほうが高血圧には良い、ということです。

なお、多価不飽和脂肪酸には、n-3(オメガ3)系とn-6(オメガ6)系があり、n-3系はα-リノレン酸、DHA(ドコサヘキサエン酸)、IPA(イコサペンタエン酸、EPAと同じ)、n-6系はリノール酸、γリノレン酸、アラキドン酸などがあります(※2)。
これらの多価不飽和脂肪酸は、動脈硬化や血栓を防ぎ、血圧降下やLDLコレステロールを減らすなどの作用を持っています。
また、国際共同研究に基づいた多くの観察研究では、n-3系の多価不飽和脂肪酸の摂取量が多い人や、EPA、DHA、DPA(ドコサペンタエン酸)の総和の血中レベルが高い人は血圧が低い、という報告がされています(※3、4、5)。

とはいえ、今日はどうしても肉が食べたい!というときもあるはずです。そんなときは、脂の少ない鶏ささみ肉や、皮を除いた鶏むね肉を蒸し焼きにして食べることをおすすめします。

※1:一般向け「高血圧治療ガイドライン2019」解説冊子
※2:不飽和脂肪酸 | e-ヘルスネット(厚生労働省)
※3:生活習慣病とエネルギー・栄養素との関連 3 1 高血圧
※4:個人の食物オメガ3脂肪酸摂取量(合計、リノレン酸、長鎖)とその血圧:INTERMAP研究
(Food omega-3 fatty acid intake of individuals (total, linolenic acid, long-chain) and their blood pressure: INTERMAP study - PubMed)
※5:高齢者における血清長鎖n-3多価不飽和脂肪酸、メチル水銀および血圧
(Serum long-chain n-3 polyunsaturated fatty acids, methylmercury and blood pressure in an older population - PubMed)

コンビニで買える、血圧を下げる食べ物

コンビニで買える高タンパクなサラダチキン
これまで紹介してきた食材や料理の中から、コンビニでも手に入りやすいものを一気に紹介します。

バナナ、サラダチキン、納豆

ほとんどのコンビニの冷蔵品コーナーにあるのが、このあたりの商品です。
調理もいらず、そのまま食べられますので、時間がない朝ごはんにもぴったりです。

海藻・ブロッコリー・プチトマトなどが入ったサラダ

サラダのコーナーにある冷製野菜や温野菜のサラダで、野菜不足を解消しましょう。

野菜スープ、けんちん汁

かさが減る温野菜は、たくさんの野菜を摂るのにおすすめです。お惣菜やお弁当のコーナーを探してみてください。

焼き魚、煮魚

冷蔵や冷凍のお惣菜コーナーには、お魚も充実しています。

GABA配合の高カカオチョコレート

お菓子コーナーには「GABA」の表示がされたチョコレートがあるはずです。GABA配合かつカカオ含有率が高いチョコレートですと、血圧を下げる効果がより期待できます。

ナッツ・ドライフルーツ

ナッツ・ドライフルーツは、おつまみコーナーや、スナック菓子コーナーなどに置いてあります。

サバの缶詰

調理済みの魚が手に入らなかった場合は、サバ缶を活用しましょう。レシピの項目でもご紹介しますが、鍋のメイン食材にも使えます。サバ缶は、おつまみコーナーや、店舗によってはお惣菜のコーナーに置いてあるかもしれません。

もち麦ごはん、玄米ごはん

麦や玄米などを使ったごはんは、常温品か冷凍品のコーナーなどに置いてあることが多いでしょう。

反対に血圧を上げてしまう食べ物を知っておこう


続いては、血圧を上げてしまう食べ物を紹介します。なるべく食べるのを控えたいものですが、どうしても食べたい場合は、食べる回数を減らすか、塩分や脂質、糖質をカットした商品に替えてみてください。

カップラーメンなどの「インスタント食品」

カップ麺やカップ焼きそばは、1杯につき4〜6グラムの塩分が含まれています。1杯食べるだけで、1日の目安である塩分6グラムに迫る勢いです。
どうしてもカップ麺が食べたい場合は、塩分控えめの商品を選び、汁をたくさん飲まないようにしましょう。

食べすぎに気をつけたい「練り物」

かまぼこやちくわ、さつま揚げなど、魚肉で作られた練り物は、単体で少量ずつ食べる分には問題ありませんが、大量に食べることはおすすめしません。
かまぼこは丸ごと1本ですと食塩相当量が3.63グラム(※1)になり、ちくわも4本ですと食塩相当量は2.52グラム(※2)になりますので、食べすぎないようにしてください。

おでんを作る場合は、煮汁の塩分を控え、大根やじゃがいも、昆布など、練り物以外の量を多めにして調整します。
なお、おでんの具として定番のゆで卵は、1日1個程度の摂取であれば、コレステロール値には影響ないそうです(※3)。

※1:かまぼこ - カロリー/栄養成分/計算
※2:ちくわ - カロリー/栄養成分/計算
※3:「卵を1日に1個」は健康的? 「卵」を食べると心筋梗塞や脳卒中のリスクが低下するという報告も | ニュース | 保健指導リソースガイド

ハム・ベーコン・ソーセージなどの「加工肉」の塩分も要注意

ハムやベーコン、ソーセージなどの加工肉は、雑菌の繁殖を防ぐために塩漬けにされた保存食です。製品の性質上、塩分が多く含まれています。
元から塩味がきいていますので、調理をする際は、塩やしょう油などの調味料を足さないことをおすすめします。
また、加工肉にはカルシウムの吸収を阻害するリンが多く含まれますので、食べすぎに注意してください。

コレステロールが多いレバー・卵・魚卵

高血圧治療ガイドラインにも明示されているように、コレステロールの摂りすぎには注意しなければなりません。
コレステロールを多く含む食材として、レバーや魚卵(いくら、たらこ、あん肝、数の子)、卵などが挙げられます。血中のコレステロール値が高い人は、これらの食品をたくさん食べすぎないようにしてください。

参考:3分でわかるコレステロールとは?- 血管健康くらぶ

飽和脂肪酸が多く含まれる肉・乳製品

コレステロール値の上昇には、飽和脂肪酸の摂取が関係しています。
飽和脂肪酸は、動物性の脂(肉の脂身、鶏皮など)や乳製品(バターやチーズなど)、卵、マヨネーズなどに多く含まれています。植物性の油のほとんどは不飽和脂肪酸に分類されますが、ココナッツ油やパーム油などは飽和脂肪酸が多く含まれています。
コレステロール値だけでなく、飽和脂肪酸が多い食品も控えめにしましょう。

スナックやクッキーなどのお菓子

市販のスナックやクッキーなどのお菓子には、塩分や糖分のほかに、飽和脂肪酸も大量に含まれています。食べる量や回数を控えるか、塩分や脂質、糖質をカットしたお菓子を選ぶことをおすすめします。

なお、血圧を上げてしまう飲み物については、「血圧を下げる飲み物編」で触れていますので参考にしてください。
血圧を下げる飲み物と高血圧の人向けの簡単飲み物レシピ【健康管理士監修コラム】

血圧を下げる食べ物を使った、簡単レシピ

それでは、「血圧を下げる食べ物を使った簡単レシピ」をご紹介します。

スパイスとライムが香る、鶏むね肉のガパオライスとサラダ

スパイスとライムが香る、鶏むね肉のガパオライスとサラダ
脂質の少ない鶏むねのひき肉を使った、ヘルシーなガパオライスとサラダです。
ポイントは、バジルやスパイス、ライムで香りと酸味をきかせることと、塩分が多いナンプラー(魚醤)の代わりに、減塩タイプの鶏がらスープとオイスターソースで味を整えて、塩分を抑えることです。

サラダにはドレッシングをかけず、ガパオと合わせて食べてください。今回は葉物や夏野菜中心のサラダにしましたが、ブロッコリーやにんじんなどに替えて温野菜サラダにしても美味しくいただけます。

ごはんは押し麦入りにすると、食物繊維も豊富になり、よりヘルシーなガパオライスになるでしょう。

<使用する材料(2人分)>

  • 鶏むねのひき肉、100グラム
  • 卵、2つ
  • たまねぎ、4分の1
  • 赤パプリカ、ピーマン、4分の1(お好みで増減OK)
  • トマト中、半分
  • レタス、2枚(ベビーリーフに替えてもOK)
  • きゅうり、4分の1本(なくてもOK)
  • ライム、小1個(レモン汁に替えてもOK)
  • にんにく1片(お好みで、なくてもOK)
  • バジル、6枚(お好みで、なくてもOK)
  • オイスターソース(減塩タイプ)小さじ1
  • 鶏がらスープ(減塩タイプ)小さじ1
  • 赤唐辛子、少々
  • ガラムマサラ、少々
  • チリパウダー、少々
  • パプリカパウダー、少々
  • オリーブオイル、大さじ1
  • ごはん、お茶碗1杯(押し麦ご飯などにすると、よりヘルシーに)


<作り方>

  1. まずはごはんを炊いておきます。
  2. トマト、きゅうりは食べやすい大きさに切り、ライムを半分に切ります。レタスも食べやすい大きさにちぎっておきましょう。玉ねぎ、赤パプリカ、ピーマン、赤唐辛子などの炒める野菜を細切りにします。にんにくは皮をむき、つぶしてみじん切りにします。
  3. フライパンにオリーブオイルを敷き、にんにく、赤唐辛子を香りが出るまで炒めます。
  4. 3に鶏むねのひき肉を入れ、火が通るまで炒めます。
  5. 4に玉ねぎを入れて火が通るまで炒めたら、赤パプリカとピーマンを入れ、さっと炒めます。全体に熱が通ったら、バジルをちぎって入れて混ぜます。
  6. オイスターソース、鶏がらスープ、ガラムマサラ、チリパウダー、パプリカパウダーを入れてさっと炒め、味を整えます。
  7. 器にごはんを盛り、6を上にかけ、余ったスペースに、トマト、きゅうり、レタス、ライムを配置します。
  8. 目玉焼きを作り、ガパオの上に盛り付けます。ライムをしぼれば完成です。


超かんたん!サバ缶にんにく鍋

サバの缶詰とにんにくを一個まるごと使ったお鍋です。香りの強い野菜とごま油を使っているため、風味がよく、塩分を抑えられます。
サバのくさみを消したり、野菜のうま味を引き出したりするために、料理酒を使います。アルコール分は煮込んでいる間に飛びますので、お酒を控えたい人やお酒に弱い人でも安心して食べられます。

<使用する材料(2人分)>

  • サバの缶詰、1缶(味噌煮、水煮などはお好みで)
  • にんにく、1個(お好みで減らしてもOK)
  • にら、1束(高い場合は水菜で調整してもOK)
  • 白菜、2枚(キャベツでもOK)
  • 豆腐、1丁
  • 料理酒、大さじ2
  • 水、お鍋に具材が浸るくらい
  • ごま油、大さじ1
  • 塩、ひとつまみ(味噌煮の場合は、味噌大さじ1などに変更OK)


<作り方>

  • にんにくの皮をむき、薄切りにしていきます。にら、白菜、豆腐は食べやすい大きさに切ります。
  • サバの缶詰と1の具材を入れ、料理酒と水、塩を入れて煮込みます。
  • 火が通ったら、ごま油を入れて完成です。


まとめ:血圧を下げるには食事だけでなく運動も重要

ここまで血圧を下げる食べ物について解説してきましたが、高血圧治療ガイドラインには、食事制限や肥満予防、飲酒や喫煙の制限、ストレスの軽減とともに、運動習慣が重要だと説かれています。
推奨されているのは、毎日30分以上または週180分以上の運動です。適度な運動は、脂肪の燃焼だけでなく、ストレスの軽減にも役立ちます。

また、運動の際には、水分補給も忘れずに行いましょう。
水は体の中を循環することで、全身の細胞に栄養素と酸素を与えて回り、老廃物を受取って体外に排出する働きをします。ナトリウムを尿として体外に排出するにも、水が必要不可欠なのです。
運動で失われた水分を十分に補給しないと、代謝が悪くなり、血圧にも悪影響をおよぼしますので、積極的に水分補給することをおすすめします。

なお、マラソンや登山などの長時間に渡る運動をする際は、0.1 ~ 0.2%程度の食塩水(1リットルの水に1〜2gの食塩)の摂取が適しています(※)。長時間の運動で大量に発汗すると塩分が不足し、その状態で水分を過剰摂取すると、低ナトリウム血症を引き起こす恐れがあるからです。
低ナトリウム血症は、倦怠感、吐き気、嘔吐、筋肉のこむら返りなどの症状が見られ、重症になると肺水腫(肺に水がたまった状態)や脳浮腫(脳がむくんだ状態)から呼吸困難や意識障害などの症状が起こる可能性もありますので、ご注意ください。

食事の見直しだけでなく、運動習慣も同時に見直して、高血圧の予防に励んでください。

環境省熱中症予防情報サイト 熱中症環境保健マニュアル 2022より

「50代は生命保険の見直しに最適な時期!検討すべきポイントを解説」

この記事の監修者

高橋正美 【健康管理士一般指導員】

日本FP協会所属のファイナンシャルプランナー(CFP®認定者)として相談業務にあたる中、お客様の急死や、若い仲間の大病による入院などを目の当たりにして、生活習慣病予防の大切さを痛感。医療費等の支出削減を図るためにも、健康管理が重要であることに気づき、健康管理士一般指導員の資格を取得。お客様相談の中で、必要に応じて健康寿命延伸のための情報も提供している。

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