自動車整備士の1日の流れと仕事内容を解説!休日・残業・繁忙期・給与体系は?
自動車整備士の1日の流れと仕事内容を、整備士専門のキャリアアドバイザーが解説。残業時間や、休日の日数、繁忙期の状況、給与体系などについても紹介します。
- 目次
- 自動車整備士の人材不足と中高年・シニア層への期待
- 自動車整備士の1日の流れ
- 【9:00】出社、着替え、1日の作業予定の確認
- 【9:15~12:00】整備業務を開始
- 【12:00~13:00】お昼休憩
- 【13:00~15:00】整備業務の再開
- 【15:00~15:15】3時休憩
- 【15:15~16:30】整備業務の再開
- 【16:30~17:00】整備車両の納車準備、片付け、事務処理
- 自動車整備士のおおまかな仕事内容
- 点検
- 整備
- ディーラーと整備工場の仕事内容は何が違う?
- 自動車整備士の残業・休日・繁忙期
- 繁忙期となる冬はとくに残業が増える
- 整備工場とディーラーで休日の違いはある?
- 整備工場とディーラーの給料面の違いは?
- まとめ
自動車整備士は、中高年世代の転職にもおすすめの職業です。
今回の記事では、自動車整備士の1日の仕事の流れや、休日、残業、繁忙期などについて、キャリアアドバイザーが詳しく解説します。
その前に、自動車整備士を取り巻く現状と需要について、軽く触れておきたいと思います。
自動車整備士に関連したそのほかの記事
- 自動車整備士の資格の種類・受験資格・資格取得にかかる費用・年齢制限について解説
- 【2022年版】自動車整備士の平均年収と給料アップの方法+転職術
- 自動車整備士の自己PR文の書き方と転職に成功する職務経歴書作成のポイント
- シニアの自動車整備士も積極採用する中古車販売店経営者へのインタビュー
自動車整備士の人材不足と中高年・シニア層への期待
日本自動車整備振興会連合会の調査「令和3年度 自動車特定整備業実態調査結果概要」によると、2021(令和3)年度の自動車整備士数は334,319人で、前年度と比較すると5,274人も減っていることがわかりました。過去の調査結果も参考にすると、近年は減少傾向が続いています。
自動車整備工場の数にあまり変化がない一方で、自動車整備士の人材は減っていることから、人材不足であることがわかります。
また、少子高齢化の影響で、自動車整備士の間でも高齢化が進んでいます。若者の自動車整備士の数も少ないため、まだまだ中高年やシニアに活躍してもらわないといけない状況にあるのです。
自動車業界を取り巻く状況は、時代とともに変化していますが、自動車整備士の需要はまだ高い状況にあると言えるでしょう。
なお、同じ資料によると女性の自動車整備士数は10,930人(2021年度集計)となっており、整備士全体のわずか3.3%にすぎませんが、女性が活躍できる整備工場も増えています。
「女性の活躍」に関連した記事
自動車整備士の1日の流れ
それでは、自動車整備士の1日の仕事の流れを見ていきましょう。
【9:00】出社、着替え、1日の作業予定の確認
整備工場に出社し、整備がしやすい作業服に着替えます。
そして、その日の作業内容や、作業に当たる車の確認を行います。
整備に必要な部品がそろっているかを確認し、ほかの作業の場所調整など、1日を通して作業が円滑に進むように、職場全体で確認と調整を行います。
【9:15~12:00】整備業務を開始
お客様が持ち込んだ車両に対し、点検や整備、修理、オイル交換、新車のオプション部品取り付けなどを行います。作業した内容を「記録簿」などに残す書類作成も同時に行い、整備作業が終わったら、車の持ち主であるお客様へ、点検箇所や修理箇所、見積もり金額、修理料金などについて説明します。
【12:00~13:00】お昼休憩
しっかり昼食と休憩を取り、午後の勤務に備えます。
【13:00~15:00】整備業務の再開
午前に引き続き、車両の点検、整備、修理、オイル交換、オプション取り付け、書類作成、お客様に作業内容の説明などを行います。
【15:00~15:15】3時休憩
15分程度の小休憩をはさみ、リフレッシュをします。お茶を飲んだり、軽食をとったりすることもあります。
【15:15~16:30】整備業務の再開
再び作業に取りかかります。
【16:30~17:00】整備車両の納車準備、片付け、事務処理
1日を通して実施した整備の確認や、納車準備などを行います。
納車準備には、洗車や室内清掃なども含みます。
また、使用した部品の注文や、届いた部品の検品なども行います。
そして工場の清掃や、工具、備品などの片付けを行い、次の日の準備をします。
最後に作業服から出勤時の服に着替えて退社します。
作業服の洗濯を自宅でする場合、そのままの格好で退社する人もいます。
自動車整備士のおおまかな仕事内容
続いては、自動車整備士のおおまかな仕事内容を解説します。
点検
車には法令で定められた点検があります。
乗用車では1年に1回、また2年ごとに車検があります。
そのタイミングにさしかかった車が、継続して安全に走行できるかをチェックするのが点検の仕事です。
「走る」「曲がる」「止まる」といった機能が正常に果たせるかを中心にチェックをします。
例えば、「走る」であればエンジンが正常か、「止まる」であればブレーキパッドの残量がしっかり残っているか、など、次の点検のタイミングまで、車が問題なく使用できるかをチェックします。
整備
点検で見つかった異常箇所の部品交換や調整作業を行います。
例えば、エンジンのパッキンが劣化していることによるオイルの漏れが見つかった場合、そのパッキンを交換します。ブレーキパッドの残量が少なくなっているのであれば、ブレーキパッドを交換します。
点検や整備を行い、安全に車が使用できるよう整えるのが、自動車整備士の主な仕事です。
ディーラーと整備工場の仕事内容は何が違う?
ディーラーに勤務する自動車整備士の場合は、整備工場で行う業務に加えて、お客様対応も加わります。
具体的には、来店されたお客様の受付をし、自身で不具合の聞き取りや潜在的な困りごとの聞き取りなどを行い、それを受けて提案や車の整備作業を行います。
また、ディーラー勤務の場合、整備担当部署から他部署へ異動したり、ほかの業務と兼任したりするケースもあります。
例えば、整備士からサービスフロント(来客対応)、営業職などに職種が変わることもあれば、整備業務と一部業務を兼任することもあります。
職種変更や兼任をすると、昇給や昇進などにつながる可能性もありますし、転職時に有利なスキルを身につけることもできるでしょう。
自動車整備士の残業・休日・繁忙期
続いて、自動車整備士の残業と休日、繁忙期などについて、解説します。
繁忙期となる冬はとくに残業が増える
その日の状況にもよりますが、時には残業も発生します。
例えば、お客様への納車が翌日に迫っている状況で、夕方になってもまだ整備が終わっていない場合は、残業で対応して返却に間に合わせるしかありません。
また、ディーラーの場合ですと、3月末に年度末決算を迎えることが多いため、年度末はとくに忙しくなります。自動車業界全体でいうと、車の販売台数が増える12月から3月の冬季が繁忙期となります。
ですので、冬場に残業が増えると覚悟しておいた方がよいでしょう。
整備工場とディーラーで休日の違いはある?
整備工場とディーラーでは、休日の日数に大きな違いはありません。
整備工場の場合は、比較的、自身の働き方を選べるところが多いようです。
「休みは少なめでしっかり稼ぐ」「給料よりも家族との時間を優先する」といったように働き方を選ぶことも可能です。
自動車業界も働き方改革が進み、仕事とプライベートのバランスが取れる職場も増えてきています。ですので、自身の希望に沿う職場を探してみましょう。
なお、ディーラーの場合、基本的に定休日が平日に1日あり、それに加えてもう1日休みを取る形のところが多いでしょう。定休日以外の休日は、ほかの自動車整備士とかぶらないよう、シフト制となることがほとんどです。
なお、土日は来客が多いため、基本的に土日休みを取ることは難しいはずです。
また、夏季のお盆休みや冬季の年末年始休暇を取得できる企業がほとんどです。
整備工場とディーラーの給料面の違いは?
給料は勤める整備工場やディーラーによって差があります。
多くの場合は基本給に加え、資格手当と残業代がつきます。
ディーラーの場合は、点検整備に対して月の目標が設定され、それを達成できれば追加手当がつく、といった企業もあります。目標ノルマを達成すれば、年収500~600万円も夢ではありません。
ただし、目標の達成には、細かい進捗管理やマネジメントなどが必要です。整備作業だけに集中すればよい職場に比べると大変ですが、給与に反映されますので、やりがいを感じる人も多いでしょう。
ディーラーにはそれぞれ社内資格や社内研修などがあり、資格を取得すれば年収がアップするといったケースもあります。
年収アップの方法については、下記の記事を参考にしてください。
【2022年版】自動車整備士の平均年収が454万円よりも高い理由+給料アップの方法とシニア整備士の転職術
なお、自動車整備士としての経験値が高く、接客や営業トークなども得意なシニアの自動車整備士は、高収入が期待できます。
まとめ
近年、自動車整備士の需要は高まっています。働き方も見直され、一昔前に比べると労働環境は格段に良くなってきています。
力仕事の部分も多いですが、技術の進歩により整備機器が改善され、身体的にも楽になっていくことが見込まれます。
また、同じ自動車整備士でも、ディーラーや整備工場など、働く場所によっては待遇が変わるため、自分に一番合った働き方を見つけてみてください。
この記事の監修者
松澤裕介 【キャリアアドバイザー】
キャリアアドバイザーとして、転職相談3,000名以上、紹介企業数10,000社以上に対応。年間1,000名以上の履歴書、職務経歴書を作成。主に医療・介護業界の人材紹介を担当。「シニア人材の転職市場・転職の注意点」などのテーマで記事やコラムを監修。