60代から始める「お金のかからない趣味」を選ぶ5つのポイントと、おすすめの趣味10選
60代から趣味を始めるのなら、生涯を通じて、長く楽しく続けたいものです。 ただし、若い頃と違って体力には限りがあり、「多少の無理」はきなかくなります。 この記事では、60代から始められて、比較的お金がかからない趣味をご紹介します。定年退職して時間に余裕ができたけれども、何をして過ごせばいいのかわからない…。そんな人は必見です!
- 目次
- 60代から始める趣味の選び方には5つのポイントがある
- ポイント1:体力づくりにつながり「健康長寿」の延伸に役立つもの
- ポイント2:指先を動かして「認知症予防」ができるもの
- ポイント3:無理なく長続きできるもの
- ポイント4:社会交流ができる、子供・孫・夫婦で一緒にできる
- ポイント5:衣食住の役に立つもの
- お金のかからない60代におすすめの趣味10選
- おすすめの趣味1:野菜づくり・ガーデニング・家庭菜園・市民農園
- おすすめの趣味2:日帰りキャンプ・バーベキュー・野外料理
- おすすめの趣味3:ラジオ体操・筋トレ
- おすすめの趣味4:ゲートボール
- おすすめの趣味5:スポーツジム・ヨガ教室通い
- おすすめの趣味6:コーヒーの焙煎・そば打ち・料理教室
- おすすめの趣味7:家のリフォーム・リノベーション・DIY
- おすすめの趣味8:ハイキング・軽登山
- おすすめの趣味9:日帰りドライブ・温泉・サウナめぐり
- おすすめの趣味10:資格取得・語学の勉強
- そのほかのシニアに人気の定番趣味
60代から始める趣味の選び方には5つのポイントがある
60代から趣味を始めるのなら、生涯を通じて、長く楽しく続けたいものです。
ただし、若い頃と違って体力には限りがあり、「多少の無理」はきなかくなります。
つまり、60代には60代なりの趣味選びの視点が必要なのです。
そこで趣味選びの5つのポイントである、「健康寿命を伸ばす」「認知症予防」「長続きする」「社会交流」「衣食住に役立つ」を紹介します。
趣味に関連した記事
ポイント1:体力づくりにつながり「健康長寿」の延伸に役立つもの
60代になったら、健康の維持を意識した「運動」を趣味として取り入れることをおすすめします。
60代というと、定年退職や再雇用などを経験する人が多く、生活のリズムが大幅に変わる年代です。
生活のリズムが崩れると、体重の増加や、体調不良などを起こしやすくなりますので、現役時代の運動量をある程度維持する必要があります。
体力を消耗する激しい運動よりも、軽い運動のほうが体への負担も少なく、気楽に長く続けられるでしょう。
体力をつけて健康寿命が延びれば、医療費が削減でき、老後資金の減りも抑えることができますので、一石二鳥です。
健康寿命に関連した記事
中高年・シニア必見!健康維持の秘訣とは?
ポイント2:指先を動かして「認知症予防」ができるもの
60代に入るとフレイル(健康な状態と、日常生活でサポートが必要な介護状態の中間)や認知症のリスクが高まりますので、認知症予防になる「指先の運動」を趣味に取り入れるのがおすすめです。
指先の運動は脳を活性化し、運動機能の向上や認知症の予防に役立つと考えられており、介護施設などではレクリエーションとして指先の運動を取り入れているケースも多くあります。
「100歳まで生きる人の特徴に学ぶ、健康長寿の秘訣」という記事で触れた「地域で話題の高齢者」という資料の中で注目したいのが、北海道滝川市在住の101歳女性の一言紹介にある「豆より」(豆の選別)です。
この女性は、デイサービスでは百歳運動というものに取り組み、自宅では認知症予防として指を動かす「豆の選別」に励んでいるのだそうです。
そのほかに、指先を細かく使う楽器演奏や、裁縫、手芸、キーボードやマウスを使うパソコンの操作なども、認知症予防の効果が期待できそうです。
参考資料
百歳高齢者表彰の対象者は43,633人「地域で話題の高齢者」
フレイルの予防に関連した記事→フレイルを予防する食事方法
ポイント3:無理なく長続きできるもの
趣味に関して「長続きしない」「すぐ飽きてしまう」「使わなくなった道具が収納スペースを圧迫している」といった悩みを持っている人も多いでしょう。
長続きするための秘訣は、無理なく続けられることです。一緒に趣味の情報を共有したり、ときには励ましあえるような、仲間の存在も重要です。
なお、激しい運動や強いストレスがともなうものは、心臓などの体への負担が大きいため、避けたほうがいいかもしれません。
ポイント4:社会交流ができる、子供・孫・夫婦で一緒にできる
先ほどもお伝えした、要介護の前段階である「フレイル」を予防するには、栄養を十分に摂ることと、運動をすること、そして就労や余暇活動などを通した「社会参加」が必要だとされています。
また、やる気の継続のためには、同好の仲間との交流も欠かせません。
1人でコツコツとものづくりに勤しむ趣味の場合は、作品を出品したり、コンテストや大会に参加したりして、社会交流の機会を外側に求めるといいでしょう。
そして、子供や孫、夫婦とともに同じ趣味を持つこともおすすめです。家族で共通の趣味があると、自然と交流ができて絆も深まります。
ポイント5:衣食住の役に立つもの
たとえば、ガーデニングや料理などの趣味が上達すれば、エンゲル係数を下げられるかもしれません。
DIYがプロ級になれば、家や車などのメンテナンス費用もある程度浮きますし、手芸や裁縫が上手ければ、衣服代なども抑えられます。
衣食住に関連した趣味を充実させれば、生活コストのパフォーマンスを上げることができますので、老後資金の温存にもつながるでしょう。
お金のかからない60代におすすめの趣味10選
続いては、各ポイントを押さえた、お金のかからない10種類の趣味をご紹介します。
おすすめの趣味1:野菜づくり・ガーデニング・家庭菜園・市民農園
農作業は、運動不足の解消や認知症予防の効果もあり、そのうえ収穫物が野菜や果物であれば食費も浮きますので、良いことづくめの趣味です。
介護の世界で注目されている取り組みの一つに「ケアファーム」(別名、農業ケア)というものがあるのをご存じでしょうか?
ケアファームとは、農業大国のオランダで20年ほど前に始まった農福連携(障害者などが農業分野で活躍することを通じ、自信や生きがいを持って社会参画を実現していくこと)の取り組みで、認知症や精神疾病などを抱えた人や、発達障害のある子供などにデイサービスを提供する農場のことです。
参考資料
オランダの農福連携の取り組みについて (奈良県ホームページ)
ケアファームの利用者は、仲間とともにコミュニケーションを取りながら、農作業に勤しみます。
農場では頭や体を使いながら手先を動かすため、脳が活性化され、各種の症状やストレスの緩和が期待できるのだそうです。
これまでの人生で農作業と無縁だった人は、初心者でも簡単にできるハーブの栽培や、「緑のカーテンづくり」などから始めてみるのはいかがでしょうか。
緑のカーテンには、窓から入る直射日光をさえぎる効果がありますので、夏の電気代節約にもつながります。
ゴーヤのカーテンなら、ゴーヤチャンプルなどの材料費が浮きますので、一石二鳥です。
また、農地を所有していて、体力などの問題で今は使用していない人は、自ら貸し出したり、農業体験型ワークショップを開催したり、などもおすすめです。
最近では気軽に農業体験ができる「クラインガルデン」(ドイツ語で「小さな庭」を意味する)という日帰り型・滞在型の市民農園施設が人気を集めています。
社会交流や、地域の子供たちの体験学習や食育などにも貢献できますので、空いている農地を持っている人は、農園としての活用をぜひ検討してみてください。
農地の活用に関連した記事
【事例あり】使わなくなった田畑が収益を生む「農地活用ビジネス」とは?
参考資料
【令和4年度版】市民農園を始めよう(農林水産省ホームページ)
おすすめの趣味2:日帰りキャンプ・バーベキュー・野外料理
近年ブームのグランピングやキャンプに興味を惹かれている60代の人も多いのではないでしょうか。
とはいえグランピングには高い宿泊費用がつきものですし、泊まりのキャンプには、テントや寝袋だけでなく、照明器具のランタン、テーブル、チェア、コンロ、調理器具、食器…といったキャンプ道具一式をそろえるのにお金がかかってしまいます。
しかし、日帰りのキャンプ(デイキャンプ)であれば、安く手に入るポップアップテントやチェアなどの最小限の道具をそろえれば、すぐに始められます。
レンタルサービスを活用すれば、お金をかけずにバーベキュー料理も楽しめます。
スマホの地図アプリなどで「バーベキュー レンタル」「キャンプ レンタル」などの語句で検索すれば、近所のレンタルサービス業者が見つかるでしょう。
<日帰りキャンプグッズについての外部参考記事>
【日帰りキャンプ】が気軽に!簡単アウトドアグッズ12選!|キャンプハック
おすすめの趣味3:ラジオ体操・筋トレ
お金がかからない体力づくりには、ラジオ体操や筋肉トレーニングがおすすめです。
場所を取らず、雨の日も室内でできますし、1人でコツコツと行えることがポイントです。
しかし、時には公園などで体を動かすと、部屋で行う時よりも爽快感が得られるうえ、地域の人とも交流ができておすすめです。
おすすめの趣味4:ゲートボール
適度な運動量で、誰でも気軽に楽しめるゲートボールは、高齢者向けスポーツの定番的存在です。
前述した「地域で話題の高齢者」という資料の中にも、ゲートボールの選手として活躍する人や、ゲートボールチームの監督を務めている人などが多く見られました。
ゲートボールはチームでプレイするのが前提ですので、社会交流ができます。
上達して人に褒められると、気持ちが良く、長く続けるモチベーションにもなるはずです。
また、仲間との交流で現役時代を思い出し、若返りの効果も期待できるかもしれません。
ゲートボールについては、下記の記事でより詳しく解説していますので、参考にしてください。
ユニバーサルスポーツ として注目されている「ゲートボール」とは?
おすすめの趣味5:スポーツジム・ヨガ教室通い
運動習慣がなかなか身につかない人は、スポーツジムやヨガ教室などの施設に通うことをおすすめします。
インストラクターからアドバイスや励ましがもらえますので、やる気も継続しやすいでしょう。
スポーツジムに通うと、会費はかかってしまいますが、家ではできないマシーントレーニングや水泳などができますし、大きな湯船に入ってリフレッシュできるなどのメリットが多数あります(プールや温浴施設がないタイプのスポーツジムもあり)。
ヨガは、呼吸法や、やり方を間違って行うと運動効果が薄くなりますので、教室に通ってインストラクターに習ったほうが無難です。
おすすめの趣味6:コーヒーの焙煎・そば打ち・料理教室
近年ハマる人が多いコーヒーの焙煎や、シニアの趣味として定番的な人気があるそば打ち。
どちらも食生活を華やかに彩ってくれる素敵な趣味です。
また、料理教室へ行けば、日々の料理のレパートリーが増えて、食生活のコストパフォーマンスが上がるのでおすすめです。
ご夫婦やお子さん、お孫さんと共同で参加すると、より楽しめるかもしれません。
おすすめの趣味7:家のリフォーム・リノベーション・DIY
住環境の改善にも役に立ち、実用的な趣味として長年人気なのがDIYです。極めれば、家のリフォームやリノベーションも可能です。
DIYにはある程度の体力が必要ですし、手を動かしますので、体力づくりや認知症予防にも役立つでしょう。
芸能人やYouTuberのDIY動画を見るのも楽しいものです。
家族と一緒にDIYに取り組んでみてはいかがでしょうか。
おすすめの趣味8:ハイキング・軽登山
小さなお孫さんとも一緒に楽しめるハイキングや軽登山は、老後の趣味にぴったりです。
アウトドア系の趣味の中でも、お金もあまりかかりません。
近年は登山ブームのため、コスパの良い登山用の道具やウェアを揃えたお店が増えています。
たとえばワークマンなどは、アウトドア活動に必要なウェアや道具以外にも、ランニングやツーリング、農作業着なども安くそろえられますので、とても便利です。
最近では、女性がターゲットの「ワークマン女子」という、インスタ映えなどを意識したショップ展開もしています。若いお孫さんでも気軽に入れますので、一緒に覗いてみるのはいかがでしょうか。
おすすめの趣味9:日帰りドライブ・温泉・サウナめぐり
高級旅館やホテルなどに宿泊をしない日帰りドライブや、日帰り温泉めぐりであれば、あまりお金はかかりません。
お子さんやお孫さんと一緒に行くのもいいですし、バスツアーなどに参加すれば、いろいろな人とも交流でき、車の運転で疲れることもないでしょう。
ただし、温泉入浴は長湯をすると体力を消耗し、体調不良を起こすこともありますので、水分補給を十分におこないつつ、長湯は避けるようにしてください。
高齢者の入浴に関する記事
高齢者が不眠になる原因と改善方法を知ろう「入浴で睡眠の質を上げよう」
また、若い人の間で空前のブームとなっているサウナへの入浴もおすすめです。
東京都健康長寿医療センターの研究によると、フレイルの対策として、遠赤外線低温サウナの入浴が有効だということがわかったのだそうです。
プレフレイル(フレイルの前段階の状態)を含むフレイルの高齢者に対し、週2回3か月間にわたる遠赤外線低温サウナプログラム(15分間のサウナ浴と30分の安静保温)を実施したところ、冷え・むくみ・慢性的な痛み・息切れ・尿もれ・皮疹などの老齢症候群や、フレイルの程度を改善することが確認されたそうです。
フレイルの予防にも、ぜひサウナを活用してみてください。
参考資料
<プレスリリース>「虚弱高齢者のフレイル対策に遠赤外線低温サウナが有効」|地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター研究所
おすすめの趣味10:資格取得・語学の勉強
資格の取得や語学の勉強に励むことは、脳の活性化につながり、認知症も予防できておすすめです。
資産形成にも役立つような、投資などの知識があると、資産寿命の延伸も期待でき、老後生活も安心です。
資産運用全般に役立つ資格としては、ファイナンシャルプランナー、投資診断士、日商簿記などがあります。
ファイナンシャルプランナー(FP技能士)は国家資格で、AFP、CFP、投資診断士、日商簿記などは民間資格です。
不動産投資に役立つ資格としては、宅地建物取引士、不動産実務検定、賃貸不動産経営管理士などがあります。
宅地建物取引士と賃貸不動産経営管理士は国家資格で、不動産実務検定は民間資格です。
そのほかに証券アナリスト、証券外務員、ビジネス会計検定、投資信託3級・2級などの資格がそれぞれのジャンルの投資活動に役立つでしょう。
また、語学の勉強に励む50代から60代の人も増えています。
昨今ではオンライン英会話教室などの普及がめざましく、気軽にマンツーマンで語学の勉強ができるようになりました。
VR技術を活用した「メタバース留学」などもあるそうです。
資格に関連した記事
中高年の転職に有利な資格ってなに?業種・業界別に一覧でご紹介!
そのほかのシニアに人気の定番趣味
60代以降のシニアに人気の「お金がかからない」定番の趣味はまだまだあります。
- 俳句、短歌、川柳
- 写経、読経
- 書道、絵画、ぬり絵、手芸、陶芸
- 囲碁、将棋
- クロスワードパズル
- 楽器演奏(ギター、ウクレレ、サックス、ハーモニカ)
- 音楽鑑賞、カラオケ
- ジョギング、ランニング
これまで紹介した趣味を参考に、自分の好みにあったものを選んで、老後の生活を充実させましょう!
この記事の監修者
高橋正美 【健康管理士一般指導員】
日本FP協会所属のファイナンシャルプランナー(CFP®認定者)として相談業務にあたる中、お客様の急死や、若い仲間の大病による入院などを目の当たりにして、生活習慣病予防の大切さを痛感。医療費等の支出削減を図るためにも、健康管理が重要であることに気づき、健康管理士一般指導員の資格を取得。お客様相談の中で、必要に応じて健康寿命延伸のための情報も提供している。