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空き家の有効な活用方法 - 全国の事例や補助金制度も紹介

新名範久 【税理士・社会保険労務士】

空き家の増加は日本の社会問題です。今回は、空き家が増えた原因を探るとともに、空き家を解消した際に利用できる自治体の補助金・助成金情報と、全国の空き家活用の成功事例をご紹介します。

目次

空き家が増える5つの理由

国土交通省によると、2018年時点で国内の住宅ストック数(約6,200万戸)は、総世帯(約5,400万世帯)に対して約16%多いため、余った住宅は空き家になっています。住宅ストック数と世帯数の推移グラフ(住宅ストックが約16%余っている(約16%が空き家の)状態)
総務省の住宅・土地統計調査によれば、空き家の総数は1998年から2018年の20年間で、約1.5倍(576万戸から849万戸)に増えました。
とくに、別荘などの「二次的住宅」や「賃貸または売却用の住宅」を除いた、「その他住宅」の空き家の増加が著しく、20年間で182万戸から349万戸に増加しました。

国内で空き家が増えている主な要因には、以下の5つが考えられます。

  1. 少子高齢化による人口減
  2. 日本人特有の不動産相続に対する考え方
  3. 日本人特有の中古住宅よりも新築住宅を好む気質
  4. 都市部への人口集中
  5. 税制や相続などの制度の問題


それでは5つの要因について、確認していきましょう。

参考資料
「空き家政策の現状と課題及び 検討の方向性」国土交通省 住宅局 令和4年10月

空き家が増えた社会的背景1:少子高齢化

国内の住宅ストック数と、総世帯数の比率の逆転が見られるようになったのは、1973年から1978年あたりで、時期的には高度経済成長期(1955年〜1973年)後の、第二次ベビーブーム(1971年〜1974年)を迎えたころです。
それ以降から現在まで、世帯数に対する住宅供給量は過多の傾向が見られ、年々空き家が増えている状況にあります。

そんな中、日本の人口は2008年にピークを迎え(1億2,808万人)、以降は年々ゆるやかに減っています。
総世帯数も、2023年に推定54,189千世帯でピークを迎えると推測されており、それ以降は減っていくと考えられています(※)。

必要な住宅戸数よりも供給量が多い状態が続いている中で、少子高齢化が加速して人口が減ったことが、空き家増加のもっとも大きな原因だと考えられます。

※実績値は総務省の国勢調査より、推測値は国立社会保障・人口問題研究所の「日本の世帯数の将来推計(平成30年推計)」より

<少子高齢化に関する参考サイト>
肩車型社会とは?超高齢社会で迎える4つの問題と私たちにできること

空き家が増えた社会的背景2:相続した不動産を手放したくない人が多い

国土交通省による空き家所有者へのアンケート「令和元年空き家所有者実態調査」では、数々の興味深いことがわかりました。

まず空き家の取得経緯でもっとも多いのは「相続」で、全体の約55%となり、所有者の約3割は、移動に1時間以上かかる遠隔地に住んでいるようです。
空き家の取得経緯・空き家所在地と所有者の居住地の関係の割合グラフ
つまり、遠隔地で十分に管理ができない住宅でも、親兄弟や親族などの血縁関係者から受け継いだものであれば、処分したくないと考えている人が多いということです。

次に、空き家にしておく理由を尋ねたところ、もっとも多かったのが、「物置として必要」が60.3%、解体しない理由として「解体費用をかけたくない」が46.9%、「更地にしても使い道がない」が36.7%でした。
物置が必要だという回答からは、不動産だけでなく動産も容易に処分できない気質も伺えます。

また、「将来、自分や親族が使うかもしれない」が33.1%だったのも興味深いポイントです。
欧米などでは中古住宅市場の動きが非常に活発で、使わない不動産は早々に手放し、必要になったタイミングで気軽に売買するのが主流です。
ところが日本では、一度所有した不動産を手放すことに大きな葛藤をおぼえ、使わない土地や家屋に固定資産税を払い続けてもいいと考えるほうが主流派なのです。

相続した不動産をめったなことで手放さないのは、「いつか使うかもしれない」「先祖代々受け継いだものを、自分の代でなくすと子孫に申し訳ない」「不動産も動産もできれば捨てたくない」という、日本人特有の「もったいない精神」が原因なのかもしれません。

<居住用途のない実家の売却方法についての外部参考記事>
誰も住まない実家は相続してはいけない!理由と最適な売却方法を解説(訳アリ物件買取プロ|運営元:株式会社AlbaLinK)

空き家が増えた社会的背景3:中古住宅よりも新築住宅が人気

先述したように、欧米の住宅市場では中古住宅の流通が活発です。
一方、日本の場合は中古住宅の動きが少なく、住宅市場に出回るのは安価な建築資材を使った新築住宅ばかりです。

国土交通省の「既存住宅流通シェアの国際比較」という資料によると、全住宅流通戸数のうち、既存住宅(いわゆる中古住宅)が占める割合は、日本の場合ですとわずか13.5%でしたが、イギリスは88.8%、フランスは66.4%、アメリカは77.6%という割合で、欧米諸国では中古住宅のほうが圧倒的多数を占めています(※1)。
既存(中古)住宅流通シェアの国際比較グラフ(日本、アメリカ、イギリス、フランス)
また、2011年の国土交通白書の「住宅投資に占めるリフォームの割合の国際比較」では、ヨーロッパの各国と日本のリフォーム率を比較しています。
エコ住宅の先進国ともいえるドイツのリフォーム率は77.0%、イギリスは62.3%、フランスは52.3%なのに対し、日本はわずか30.1%でした(※2)。

諸外国では、古い住宅でもリフォームにお金をかけて大事に住み続け、不要になったら売買などをして住み替えるため、中古住宅市場は流動的で、リフォーム市場の動きも活発です。

一方の日本は、中古住宅のリフォームにはあまりお金をかけず、中古物件よりも新築物件を好み、一度取得した不動産はなかなか手放さない、という傾向があります。

つまり、赤の他人が住んでいた中古物件を敬遠する一方で、血縁関係者に由来した不動産に対しては執着する国民性が、中古住宅市場とリフォーム市場の停滞を招き、結果的に空き家問題に拍車をかけているのです。

参考資料


※1:日本の数値:住宅・土地統計調査-総務省、住宅着工統計-国土交通省(ともに2008年)、アメリカ:Statistical Abstract of the U.S. 2006、イギリス:コミュニティ・地方政府省ホームページ(既存住宅流通戸数は、イングランド及びウェールズのみ)、フランス:運輸・設備・観光・海洋省ホームページ
※2:日本の数値:国民経済計算(内閣府)及び(公財)住宅リフォーム・紛争処理支援センターによる推計値、外国の数値:ユーロコンストラクト資料

空き家が増えた社会的背景4:都市部へ人口集中する社会的構造

相続した家が古い・狭いなどの理由で空き家化してしまうケースも多くありますが、相続した家の立地条件によって生活が不便になってしまうことから、別の家に住むという選択をする人も多いようです。

先述したように、空き家所有者の約3割は、空き家がある場所から1時間以上かかる遠隔地に住んでいることがわかっています。
さらに細かく見ると、空き家から居住地までの移動に3時間以上かかる人は12.5%もいるそうです。
空き家の所在地と所有者の居住地の関係グラフ
全住宅ストックのうち「その他空き家」の割合の全国平均は、2018(平成30)年時点で5.6%になりますが、都道府県ごとの空き家率を見てみると、4%以下に留まったのは東京、神奈川、埼玉、沖縄だけでした。
また、空き家率が6%以下の地域は、千葉、茨城、静岡、北海道、宮城、愛知、大阪、兵庫、福岡などの大都市圏が存在する道府県で、反対に空き家率が高いのは、高知(12.7%)、鹿児島(11.9%)、和歌山(11.2%)、島根(10.5%)、徳島(10.3%)、愛媛(10.2%)などでした。

以上のことから、人口が集中している地域は空き家率が低く、人口が少ない地域は空き家率が高い、ということがわかります。
都市部に人口が集中する社会的な構造も、地方の空き家増加の傾向に拍車をかけているのかもしれません。

参考資料
「空き家政策の現状と課題及び 検討の方向性」国土交通省 住宅局 令和4年10月

空き家が増えた社会的背景5:更地よりも空き家のほうが固定資産税が安い(ただし特定空家を除く)

使わない空き家をそのままにして、解体や更地化を行わない人が多い理由には、下記のようなものが考えられます。

  1. 家に思い入れがあり、壊したくない
  2. 解体にお金をかけたくない
  3. 更地にすると空き家よりも税金がかかる


空き家になってしまっても、思い出がつまった家を撤去しなくない、と考える人も多いことでしょう。
また、家を解体するには、それなりのお金がかかります。

そして特筆したいのは、3番目の空き家をめぐる税金の問題です。
解体費用を工面できても、更地にして税金が高くなるならそのままでいいと考える人が多いのは当然です。

それでは、空き家と更地の税金はどれくらい違うのでしょうか。

どれくらい違う?空き家と更地の固定資産税と都市計画税

以前「固定資産税と都市計画税とは」という記事でもお伝えしたように、家屋の敷地として利用されている住宅用地には固定資産税と都市計画税の特例措置が適用されます。

現在、200平方メートル以下の住宅が建つ土地は「小規模住宅用地」と呼ばれ、固定資産税の課税標準額は6分の1に、都市計画税の課税標準額は3分の1に減額されます。
つまり、200平方メートル以下の空き家を更地にすると、家屋の固定資産税や都市計画税はなくなりますが、土地の固定資産税は6倍に、都市計画税は3倍になってしまうのです。

家屋にかかる固定資産税と都市計画税は、土地のものと比べると少額で、更地にして家屋分の税金がなくなっても、土地の特例措置がなくなった分のほうが多くなることがほとんどです。
このような理由から、空き家をすぐに更地にする人が少ないのです。

しかし、2015年5月26日に施行された「空家等対策特別措置法」によって、空き家の増加問題に変化が訪れようとしています。

固定資産税に関連した記事

「空家等対策特別措置法」で定義された「特定空家」になると固定資産税は高くなる

家が建つ土地には、固定資産税と都市計画税の優遇措置が適用されるため、更地よりも空き家が建つ土地のほうが税金は安くなります。
そんな中、増え続ける空き家問題を鑑みて、2015年5月26日に「空家等対策特別措置法」が施行されました。
国によって空き家が「特定空家」に指定されると、固定資産税の優遇措置が受けられなくなったのです。

特定空家の定義は、「そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態、その他周辺地域の生活環境の保全を図るために放置することが不適切な状態にあると認められる空家等」とされています。

特定空家とは?特定空家の定義とイメージ
特定空家に指定されると、行政から「助言・指導」が入り、さらに進んで「勧告」を受けると、固定資産税の優遇措置が受けられなくなります。
勧告を無視していると、「命令」に進み、これに背くと50万円以下が過料され、行政代執行がされることになります。

行政代執行とは、所有者に代わって行政が空き家の解体や家財・ごみなどの撤去などを行うことです。当然ですが、撤去や解体にかかった費用は、必ず所有者に請求されます。

管理が行き届かず、周辺地域の安全を阻害するような空き家は「特定空家」になり、税金は高くなり、放置し続けた場合は罰金を取られ、強制的に撤去されて費用も支払わなければなりません。

行政代執行された場合の解体撤去費用は、自己で行った場合よりも割高になる可能性が高く、周辺地域にも多大な迷惑をかけてしまうため、このような事態になる前に、未然に防ぎたいものです。

空き家を解消した場合に利用できる補助金・助成金制度

空き家解消に関連した補助金・助成金の3種類
全国的に増えている空き家を解消するため、国土交通省では地方公共団体向けに社会資本整備総合交付金(※)を交付しています。

また、個人が実施した空き家の解消については、各地の自治体が設定した補助金や助成金などが適用される可能性があります。

そこで、個人向けの補助金や助成金を「除却・撤去」「改修・リフォーム」「移住・活用」の3つに分けて、一部をご紹介します。

社会資本整備総合交付金 - 国土交通省

空き家の「除却・撤去」に関する補助金・助成金

空き家解消の補助金制度でもっとも一般的なのは、空き家の除却・撤去工事に対する補助金です。

たとえば東京都荒川区では、「荒川区老朽空家住宅除却助成事業」を設けています。
荒川区内において、1981(昭和56)年5月31日以前に建築され、1年以上使用されておらず、住宅部分の面積が2分の1以上あり、区の現場調査などにより倒壊などのおそれがあると診断されると、除却工事に要する費用(消費税相当額を除いた)の2分の1(上限50万円)が荒川区によって助成されます。
対象となる「老朽空家住宅」は、個人または中小企業の所有物に限ります。

ほかにもさまざまな自治体で、空き家の除却や撤去工事に対して補助金を設定していますので、各自治体のホームページ内を「空き家 除却」「空き家 撤去」などのキーワードで検索してみてください。

参考資料
老朽空家住宅除却助成事業について/荒川区公式サイト

空き家の「改修・リフォーム」に関する補助金・助成金

キッチンのリフォーム・リノベーション
自治体でもっとも取り扱いが多いのは、空き家の改修やリフォームに関する補助金制度です。

たとえば神奈川県箱根町では、「箱根町空き家リフォーム事業補助制度」を設けています。
この制度は「箱根町空き家バンク」に登録された空き家を、定住を目的にリフォームする人に対して一部を補助するもので、対象者は物件の所有者か入居者、もしくは入居予定者で、当該物件に定住する意思があり、町税などを滞納していないことが条件です。

生活するために必要な部分のリフォーム工事で、補助金の申請年度内に工事が完了することを条件に、20万円を超えるリフォーム工事に対して、リフォームに要した費用の2分の1(上限50万円)が補助されます。

ほかにもさまざまな自治体で、空き家の改修・リフォーム工事に対して補助金を設定していますので、各自治体のホームページ内を「空き家 改修」「空き家 リフォーム」などのキーワードで検索してみてください。

参考資料
箱根町空き家バンクに登録しませんか? - 箱根町

空き家への「移住・活用」に関する補助金・助成金

空き家への移住や、活用に対する補助金制度を設けている自治体もあります。

たとえば佐賀県鹿島市では、「空き家活用事業助成金」を設けています。
この制度は、鹿島市内の空き家へ移住して3年以上定住する予定の人や、3年以上市外に居住した転入者に空き家を賃貸して延べ3年以上活用しようとする建物の所有者が対象で、空き家の台所やトイレ、風呂などの改修費用を、2分の1(限度額は1件あたり50万円)鹿島市が助成するものです。
なお、鹿島市内の業者が工事を行うことが条件です。

福井県鯖江市では、空き家の購入者、もしくは賃借人で、子育て世帯や移住者、新婚世帯、多世帯同居・多世帯近居の人向けに、リフォーム費用の一部を補助する制度を設けています。
条件としては、ふくい空き家バンクに登録された鯖江市内の一戸建て住宅に10年以上居住する見込みがあり、市区町村税の滞納がなく、過去に同一の住宅でこの制度による補助を受けたことがないこと、などが設定されています。
補助の上限金額は、居住誘導区域内ですと60万円、居住誘導区域外ですと30万円で、申込多数の場合は抽選となっており、予算の状況によっては補助額が変わる可能性もあるそうです。

ほかにもさまざまな自治体で、空き家への移住や活用に対して補助金を設定していますので、各自治体のホームページ内を「空き家 補助金」「空き家 支援」「空き家 移住」などのキーワードで検索してみてください。

参考資料

相続した空き家の売却利益から最高3,000万円まで控除される「譲渡所得の特別控除の特例」とは

空き家を相続した場合、その空き家を売却した際に出た利益から、最高3,000万円までが控除される仕組みがあります。
「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」といい、1981(昭和56)年5月31日以前に建築された建物で、区分所有建物登記がされている建物(分譲マンションなど)ではなく、相続開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと、などの要件をすべて満たした家屋や敷地に適用されます。

また、相続開始から3年を経過する年の12月31日までに売却し、売却代金が1億円以下であり、売却相手は親子や夫婦、生計を一にする親族などの特別の関係がある人ではないこと、なども要件として定められています。

詳しい要件については、下記の国税庁のホームページをご確認ください。
No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例|国税庁

所得控除の仕組み図解

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ひとり親控除と寡婦控除の違いとは?【税理士監修】

「空き家バンク」に登録しよう

以前「【事例あり】使わなくなった田畑が収益を生む「農地活用ビジネス」とは?」という記事で、使わなくなった農地は「農地バンク」に登録して利活用を促す方法があるとお伝えしましたが、空き家の場合も「空き家バンク」という制度が存在します。

空き家バンクとは、空き家の売り手・貸し手と、買い手・借り手をマッチングさせる自治体のサービスです。
空き家を売りたい、もしくは貸したい人が空き家を登録し、空き家を買いたい、もしくは借りたい人に空き家の情報を各自治体が提供します。

空き家バンクを通じて空き家を借りる・購入する側のメリットとしては、一般的な不動産仲介業者が紹介する物件の相場よりも比較的安く入居できる点です。

空き家バンクに登録する側のメリットとしては、各自治体の空き家解消に関する補助金や助成金制度の利用要件を満たすとリフォームなどが安くできる点が挙げられます。

一方で、所有者と利用者が直接交渉をしなければならない場合もありますので、注意が必要です。
なお、自治体によっては地元の不動産仲介業者を紹介してくれることもありますので、空き家バンクの利用時に確認してみましょう。

全国の空き家活用事例

空き家状態の蔵を活用した事例もあります
国土交通省では「住宅市場を活用した空き家対策モデル事業」の支援を行っています。
支援の対象は地方公共団体、NPO法人、民間事業者などさまざまです。
支援先の要件としては、地方公共団体と専門家団体などが連携して事業を実施し、事業成果の公開が義務づけられています。

また、国土交通省では2018(平成30)年度から2020(令和2)年度までは「空き家対策の担い手強化・連携モデル事業」への支援を行っていたり、都道府県や自治体などでも独自に空き家活用支援事業を実施したり、移住に対する補助金や奨励金などを設けていたりします。

それでは過去の空き家活用事例の中から、興味深いものをいくつかご紹介します。

空き家活用事例1:瀬戸内市移住交流促進協議会(愛称「とくらす」)

岡山県瀬戸内市では、瀬戸内市への移住を支援する瀬戸内市移住交流協議会、通称「とくらす」を設置しています。
「とくらす」では、移住のためのガイドブック制作や、移住PR動画の製作といったPR活動のほか、空き家の掘り起こしのための調査活動や啓蒙活動、研修会・ワークショップなどの実施、対象空き家や空き地の整備、地域振興のための映画祭開催なども行っています。

瀬戸内市の空き家解消・活用事例としては、下記のようなものがあります。

  • 大正2年建築の旧フェリー乗船切符売り場を、空き家のサブリースを行う管理事務所と、空き家に関する保険代理店事務所として活用
  • 2棟の空き家にガラス工芸作家が入居し、1棟は住居兼工房として使用、もう1棟はギャラリーとして活用することを検討
  • 約20年空き家だった旧歯科医院を、アクセサリー店や住居などの複合施設として再生
  • 廃業で空き家になった旧青果店は、リフォーム後に古民家美容院へと変身
  • 空き家化から数十年の時を経て、所有者がリフォームして空き家バンクへ登録。岡山市在住者が趣味の釣りを満喫するためにセカンドハウスとして入居


参考資料
空き家活用事例集(瀬戸内市移住交流協議会)

空き家活用事例2:岐阜県空家等対策協議会

岐阜県空家等対策協議会では、「空家等対策に係る対応指針」を策定し、岐阜県内の空き家解消に対して、さまざまな取り組みを行っています。

具体的な空き家解消・活用事例としては、下記のようなものがあります。

  • 「飛騨高山まちの博物館」に近接した空き家を高山市で取得し、伝統文化をテーマとした拠点施設に改修。まちの回遊性の向上を図り、観光客や市民が集うまちづくりを推進
  • 中津川市が主体となり、戸建住宅の空き家を、中津川移住定住促進のための体験用古民家へ改修
  • 飛騨市にある穀物の保存庫を、体験型宿泊施設へ改修・活用
  • 郡上市の第3セクターである(一財)郡上八幡産業振興公社が、空き家所有者から空き家を借り受ける。賃貸住宅やゲストハウスなどに利活用して得た利益を家賃として所有者に払い、残りの収益は基金へ繰り入れ、次の空き家改修費用や維持管理費などに当てる
  • 郡上市で、長年にわたり空き施設となっていた旧ビール工場兼店舗を、モデルテレワークハウスに整備。ICT産業の振興に向けてテレワーカーの誘致に取り組む


参考資料
空家等利活用事例集(岐阜県空家等対策協議会)

空き家活用事例3:埼玉県空き家対策連絡会議

埼玉県では、空き家対策の主体となる市町村を、県と関係団体が一体となって支援するため、2014(平成26)年12月から「埼玉空き家対策連絡会議」を開催しています。

埼玉県内の具体的な空き家解消・活用事例としては、下記のようなものがあります。

  • 「NPO法人 秩父こみにてい」を立ち上げて、解体予定だった町家を修繕し、街のコミュニティスペースとして活用。その際、埼玉県文化芸術拠点創造事業助成制度を利用している
  • 川越市で、市外のアーティストが大正初期に建てられた長屋を気に入り、「NPO法人 川越蔵の会」が調整役となり修繕。工房・ギャラリー兼住居として、コンサートや展示に使用し、周囲の空き家にもカフェになるなど、地域活性化にも一役買っている
  • 越谷市で蔵を残し、周辺を住宅分譲地として開発。蔵は曳家と修繕をされ、「まち蔵」という名称で、まちづくり相談処、カフェ、スペースシェアリング、越ヶ谷宿まちづくり資料館などのコミュニティスペースに変身した


参考資料
空き家利活用事例集(埼玉県空き家対策連絡会議)

まとめ:空き家を活用すれば地域の活性化にも貢献できる

空き家の放置は、周辺地域にも悪影響をおよぼすため、地域ぐるみで取り組まなければいけない問題です。
各自治体では空き家解消のための補助金や助成金が多数設けられるようになりましたので、積極的に利用して空き家を生まれ変わらせましょう。

全国の空き家活用の事例を見てもわかるように、空き家はある意味、宝の山なのかもしれません。
宝の持ち腐れとならないように、また、空き家を放置することで地域が衰退しないように、一日も早く空き家を活用することをおすすめします。

この記事の監修者

新名範久 【税理士・社会保険労務士】

「新名範久税理士・社会保険労務士事務所」所長。 建設、不動産、理美容、小売、飲食店、塾経営といった幅広い業種の法人や個人の税務・会計業務を行う。社会保険労務士として、法人の社会保険業務も担当。1人でも多くの人に、税金に対する理解を深めてもらいたいと考え、業務を行っている。 税理士、社会保険労務士、社会福祉士、精神保健福祉士、宅地建物取引士、測量士補、CFP、FP技能検定1級、年金アドバイザー2級、証券外務員1種などの資格を保有。

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