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62歳で初めて派遣に挑戦し給料UPできた施工管理技士の方にインタビューしました

シニアタイムズ編集部 【編集部メンバー】

再雇用で会社に残るも給与減で転職を決意、62歳で初めて派遣の働き方に挑戦した施工管理技士の外山さんにインタビューしました。

目次

いよいよ70歳までの就業機会確保が企業の努力義務となり、60代は50代までと変わらず働く方が多い時代となりました。

しかし、企業やシニアの方それぞれの事情によって、60代の働き方は様々。企業やシニアの方自身が引退の方向を考える場合もあれば、変わらずバリバリ働く方向で考える場合もあります。

例えば、「50代よりも少し健康面にも気をつけたいが、やりがいや給料は無視できない」という方も多いと思いますが、その場合にはどんな働き方があるのでしょうか?

今回ご紹介する外山伊佐夫さん(取材当時63歳)は、60歳で定年を迎えた後、再雇用で会社に残りましたが、給料が大きく減ったため転職を決意しました。

60歳を超えての転職活動はどのようなものだったのか? やりがいや給料、自身の体調などを考えながら外山さんが選んだ働き方とは? それをお聞きしていきましょう。

お話を聞いた方・外山伊佐夫さん

外山 伊佐夫(そとやま いさお)さん。取材当時63歳。1級建築施工管理技士。
そとやま いさお さん。取材当時63歳。1級建築施工管理技士。長年建設会社で現場監督として勤務し、60歳で定年退職。再雇用で同じ会社に勤務し続けるも、62歳で転職を決意。シニアジョブに登録して転職に成功し、現在は川崎市内の建設会社に勤務。RC造、SRC造の大規模改修工事の専門家で、公共工事の経験も豊富なスペシャリスト。

病気から復帰して迎えた60歳定年

外山伊佐夫さんは、1級建築施工管理技士の資格を持つ建設技術者です。大学の工学部建築学科を卒業後、マンション建設大手に就職。その後、校舎などを多く扱う公共工事を専門とする建設会社に転職し、建設技術者としてのキャリアを磨いてきました。

しかし、60歳の定年を目前にして脳梗塞を患いました。

入院と治療の結果、幸い後遺症が残ることもなく、仕事にも復帰できた外山さん。定年を迎え、今の時代の多くのシニアと同じように会社に残る選択をしました。

しかし、外山さんが定年を迎えた会社は、60歳を迎えると一旦定年退職となり、そこから改めて再雇用となる会社でした。再雇用後の雇用形態は正社員ではなく契約社員。給料も定年前に比べるとだいぶ下がってしまいました。

最初の転職以降はずっとその会社一筋に勤め上げてきた外山さんは、再雇用後、すぐには転職などを検討しなかったそうです。転職の経験も知識もなく、まして60歳を超えた今、転職などできるのだろうか? そう考えた外山さんは、定年後2年間、その会社に残って働き続けていました。

それでも、給料は下がったにもかかわらず、仕事内容は定年前とあまり変化せず、責任も重いまま。「これでは割に合わない」と、ついに外山さんは転職を決意します。

再雇用で収入減に、派遣の求人に戸惑いながらも

外山さんはとりあえず、「シニアの建設業の仕事」をインターネットで探し、出てきた求人サイトなどに登録することにしました。いくつか登録した外山さんのもとに、一番早く連絡をしてきたのがシニアジョブだったそうです。

他の求人サイトや会社からはなかなか連絡が来ない中、「担当の人が丁寧に説明してくれたから」と、外山さんはシニアジョブに転職の支援を依頼しました。

自らの経歴、経験した工事内容、得意分野、そして、現在の給料に不満があることと希望給与などをシニアジョブに伝えた外山さん。その結果、シニアジョブの担当が「希望条件にもっとも合っている」と提案してきた求人は、雇用形態が「派遣社員」のものでした。

確かに給料は希望どおり。その他の条件も希望に合っている。しかし、外山さんは派遣で働いた経験はありませんでした。これまでの職場で出会ってきた派遣社員や派遣会社の記憶から、派遣へのイメージも、あまり良いものではありませんでした。

外山さんは62歳で目の前に現れた、派遣社員という働き方をどのように判断したのでしょうか?

派遣社員は派遣会社にも相談できて安心

62歳で初めての派遣の仕事に戸惑いながらもチャレンジした外山伊佐夫さん

――「派遣のお仕事」と聞いた時、どう感じましたか?

「正直、戸惑いました。これまで派遣で働いたことはなかったので。それで友人とかにもいろいろ相談してみました。すると、建設業では派遣も珍しいものじゃないよって言われたんです。いろいろ情報を集めてみると、60代で希望給与を叶えるには、派遣という働き方も考えるべきかなと思うようになりましたね」

「それに、シニアジョブの担当の人が、派遣のメリットやデメリット、正社員とどう違うのかを丁寧に説明してくれたし、質問にも答えてくれました。それで信頼できたので、派遣という働き方を決断できました」

――働いてみて「派遣の働き方」はこれまでと違いましたか?

「やっぱり同じ建築現場の現場監督でも派遣のほうが気楽ですね。特にお金の管理など神経を使う仕事がないのは気持ちが楽。意見を出す場面もありますが、率先してみんなを引っ張っていくというよりは、求められた時に意見を言うような立場です。定年前よりは「見守る」ことが多くなりました」

「しかし、若手の指導も求められていて、それはまたやりがいも感じて、楽しいですね」

――今の働き方は健康面・体調面でも働きやすいですか?

「建設業は繁忙期には休日なしで働くことも珍しくないような業界だし、今でも必要があれば連勤もできる気持ちと体力はあるつもりです。でも、最近は働き方改革の影響もあって、建設業全体でもそういうことは減っているようですね。ちゃんと休日も取れているし、残業も長くありません。定期検診で通院することも派遣先の会社が了承してくれています」

「派遣社員ということで精神的な負担も少なく、そういった意味では自分に合った働き方を選べたのかもしれないです。結果的に満足できる転職でした」

「あと一つ、派遣後にも勤務先の会社だけでなく、派遣会社にも相談できるのは、派遣社員のメリットでしょうね。勤務先には直接聞きにくいこともあるじゃないですか。そんな時でも、シニアジョブの担当に聞くことができ安心感もありますね」

一筋に専門スキルと経験を磨いてきたことが自信に

1級建築施工管理技士として現場監督の仕事で活躍する外山伊佐夫さん

このように、60歳を過ぎて初めて考えることになった「派遣という働き方」に、戸惑いながらもそれを選んだ外山さん。定年までの自身の専門的な経歴と知識をフルに活かして、雇用形態こそ派遣社員に変わりましたが、現在も元気に最前線の現場で働いています。

外山さんが初めての「派遣という働き方」にチャレンジできた背景には、相談に乗ってくれた友人の存在や、質問に丁寧に対応したシニアジョブの担当の存在もありましたが、何よりもこれまで校舎などRC造、SRC造の大規模改修工事を専門にずっと手掛けてきた、自身のスキルと経験への自信があったからこそ、立場が変わっても活躍できるという気持ちの支えとなったのではないでしょうか。

このインタビューにも終始、はっきりと受け答えされていた外山さんは、これまでにシニアタイムズだけでなく、専門誌や新聞などの取材も受けています。

60歳を過ぎての転職を、身をもって体験し、若手の育成も担うことがある外山さんは、現在の少子高齢化と労働力不足の中では、もっともっと自分たちのようなシニアの世代が活躍する必要がある、シニアへと呼びかける必要があると考えているようです。

最後に、そうした現在の労働力不足とシニアの働き方についての考えや、外山さん自身の今後の働き方について、お聞きしてみましょう。

若手不足の建設業ではどんどん60代が活躍するべき

元気なうちはずっと働いていたいと語る外山伊佐夫さん(取材当時63歳)

――やはり、今はシニアの方もどんどん活躍すべきだと思いますか?

「そうですね。今の60代はまだまだ元気。労働意欲があって体力的な面がある程度カバーできれば、若い人と一緒に問題なく活躍できます」

「少子化でどうしても若い人は減っているわけだし、世代の違いもあって若い人が誰でもすぐに現場で活躍できるわけでもないので、そこは我々60代がもっと建設現場を支えていかなければならないと思います」

「私も一度、病気をしましたが、定期検診を受けて極端な無理をしなければ、まだまだ活躍できる自信があります」

――建設業界の人手不足、若手の不足は深刻なのでしょうか?

「技術系の職種は建設に限らず若い方々に敬遠されていると思いますが、特に建設業は敬遠されていると思います。建築は長らく「3K」と言われてきましたし、理屈でなく体で覚える「経験工学」の部分も多くあります。とにかく経験して覚えなければならないのは、若い人にはつらいかもしれません」

「それに、昔だと暇な時は暇だけれど忙しい時は連勤も当たり前で、「休日は暇な時にまとめて」と言われるような、土日休が常識ではないような業界でした。今の若い人は小学校から週休二日ですから、いきなり社会人からでは、生活スタイルも変えにくい部分もあるでしょう」

「今はだいぶ休みも取りやすくなっていますが、それでもやる時には何がなんでも期限までに納めるという気持ちを持ったシニアがいると、会社としても安心できると思います」

――今後どのように働いていきたいですか?

「元気なうちはずっと働いていたいです。入院したり治療に専念しなければいけない時期を体験したので、元気で働けることの大切さもわかります。動けず何もできないのは、やはりつまらないですし、嫌ですよ」

「どんな無理でもやるという立場や環境はもうさすがに無理ですし、もちろん健康を維持しながらですが、これからも元気で働き続けたいと思っています」

「今の職場は若い人がとても多い職場なのですが、若い人とのコミュニケーションも楽しいし、こうした環境で活躍し続けたいです!」

――ありがとうございました

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