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60歳以上の労働者雇用に関係ある助成金とは?種類・コース・支給金額について解説

谷口芳子 【社会保険労務士】

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60歳以上雇用に関係ある助成金とは?
種類・コース・支給金額も解説!

少子高齢化社会の影響により、日本の企業では雇用に関して変化が生じ始めました。それは、「高齢者の雇用」です。近年は厚生労働省により、企業は希望した社員を65歳まで雇用するための環境整備を義務付けられました。 このような環境整備を行うことによってメリットがいくつかあります。 高齢者の雇用と定年の引き上げによって、人材不足を解消できる企業が増えれば、日本の経済も安定します。またこれらの施策を行うことによって、企業はいくつかの助成金が受けられます。 ここでは高齢者の雇用に関する助成金をいくつか取り上げ、その内容と受給条件、注意点をご紹介します。

目次

雇用関連の助成金の種類

厚生労働省が管轄している雇用関係の助成金は、雇用の安定や職場環境の改善、仕事と家庭の両立支援、従業員の能力向上などの目的で事業主を助けるために給付しているお金です。

雇用関係助成金には「雇用関係助成金」と「労働条件等関係助成金」があります。
「雇用関係助成金」は、雇用維持や再就職支援、雇入れ関係といった、雇用に関わる内容です。
「労働条件等関係助成金」は、生産性向上等を通じた最低賃金の引上げ支援、労働時間等の設定改善の支援、産業保健活動の支援といった、労働条件などに関わる内容となります。

厚生労働省で取り扱う雇用関係の助成金以外にも、国や自治体などでは、さまざまな補助金や給付金を、事業主や個人に給付しています。

今回ご説明する高齢者の雇用に関連するものは、自治体などの補助金や給付金の中にもありますので、気になる人は居住地の都道府県や市区町村のホームページなどで調べてみるとよいでしょう。

60歳以上の労働者採用に関係のある助成金の種類

60歳以上の労働者採用に関係のある助成金の種類
ここでは60歳以上の労働者の採用に関係のある助成金をご紹介します。

1.特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)

高齢者や障害者などの就業が難しい人を、労働者として継続的に雇い入れる事業主に対して適用されるのが「特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)」です。
このコースで高齢者を雇い入れた場合は、最大60万円が事業主に支給されます。

<受給条件>

  1. 60歳以上の求職者を、ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により雇い入れること
  2. 雇用保険一般被保険者として雇い入れ、継続して雇用することが確実であると認められること

(継続して雇用するとは、対象の労働者の年齢が65歳以上に達するまで継続して雇用し、かつ、当該雇用期間が継続して2年以上であること)

2.特定求職者雇用開発助成金(生涯現役コース)

65歳以上の高齢者を雇い入れた場合は「特定求職者雇用開発助成金(生涯現役コース)」受けることができます。
1年以上継続して雇用することが確実な労働者(雇用保険の高年齢被保険 者)として雇い入れる事業主に対して、最大70万円の助成金が支給されます。

<受給条件>

  1. 65歳以上の求職者を、ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により雇い入れること
  2. 雇用保険一般被保険者として雇い入れ、1年以上継続して雇用することが確実であると認められること


3.65歳超雇用促進助成金(65歳超継続雇用促進コース)

高齢者が意欲と能力のある限り、年齢に関わりなく働くことができる生涯現役社会を実現を目指すために、この制度が設けられました。
65歳以上への定年引上げ等や高年齢者の雇用管理制度の整備など、高年齢の有期契約労働者を無期雇用に転換する措置をとられた場合に、助成金を受け取ることができます。
この助成金は、1事業主、1回限りの支給です。
措置の内容や年齢の引き上げ幅に応じて、最大160万円が支給されます。

<受給条件>
労働協約又は就業規則により、次の1~4のいずれかに該当する制度を実施したこと。

  1. 65歳以上への定年の引上げ
  2. 定年の廃止
  3. 希望者全員を66歳以上の年齢まで雇用する、継続雇用制度の導入
  4. 他社による継続雇用制度の導入


この助成金は、実際に60歳以上の労働者を雇っていない場合は適用されません。
他にも受給条件はありますので、詳しくは厚生労働省のホームページをご確認ください。

まとめ

60歳を超えても働ける環境が広がる未来
60歳以上の労働者の雇用を強化する助成金制度がしかれたことで、多くの企業が、高齢者にとって働きやすい職場づくりに取り組むようになりました。
65歳以上の人は経験豊富で、いつまでも働き続けたいと意欲を持っている人が多くみられます。
これを機に、雇用制度を見直してみてはいかがでしょうか。
高齢者の働ける環境が増えることを願っています。

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この記事の監修者

谷口芳子 【社会保険労務士】

NPO法人や税理士法人を経て現職。社会保険労務士として、社会保険・雇用保険の各種届出、年末調整、労務相談、公正証書作成などの業務を担当。行政書士資格保有。

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