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内定辞退の電話・メール例文!いつまでにすればいい?承諾後の辞退も可能?

松澤裕介 【キャリアアドバイザー】

働く

内定辞退はいつまでにすればいい?
メール・電話で伝える際の例文も紹介

転職活動をしていると内定をくれた企業を辞退をしなくてはならない場合もあるでしょう。この記事ではメールや電話で内定辞退を伝える際のポイントや例文、内定承諾後の辞退について解説します。

目次

内定を辞退する際のポイントと例文

内定を辞退する際のポイントと例文

内定辞退の連絡をするのは誰でも気が重いもの。「せっかく内定をくれた会社に申し訳ない」とつい連絡を後回しにしてしまう気持ちもあるでしょう。

しかし、時間をあけてしまうとさらに気が重くなり、内定をくれた会社にも迷惑をかけてしまいます。内定辞退を決心したら、できるだけ早く連絡をすることを心がけましょう。

ここでは、内定を辞退する際のポイントと例文をご紹介します。

なお、本来の「内定」とは、企業から届いた「採用条件通知書」で求職者が労働条件を確認承諾し、就業の意思表示をした状態のことです。

しかし、一般的には企業から採用条件通知書や内定通知書が発行された状態を「内定」と呼ぶことが多いため、この記事内でも同様のタイミングを「内定」として解説します。

伝える内容は【お礼・辞退する旨・理由・お詫び】

まずは、内定を辞退する際に伝える内容を確認しておきましょう。内容は「お礼・辞退する旨・理由・お詫び」の流れが一般的です。

なお、内定辞退の連絡方法は電話やメールが一般的ですが、伝える内容は基本的に変わりません

お礼

まずは、採用してくれたことへのお礼を伝えましょう。

企業の採用担当者はたくさんの応募者の中からあなたを選んでくれました。「書類選考→面接日程の調整→面接→採用可否の会議」など、こちらが想像している以上にたくさんの時間を費やしています。

時間と労力をかけて自分を採用してくれた採用担当者に、お礼の気持ちを伝えるのは社会人として当然のマナー。企業側の事情や思いを感じ取り、誠意をもって感謝の気持ちを伝えましょう。

辞退する旨と理由

感謝の気持ちを伝えた後は、辞退する旨をはっきりと伝えます。曖昧な言い方はせずに「内定を辞退させていただきます」とはっきり伝えてください。

理由を伝えることはマストではありません。ただし、理由を聞きたがる企業が多いことも現実ではあるため、可能な範囲で伝えるのが良いでしょう。

内定辞退の理由の例
  • 慎重に検討した結果、現職を継続する判断をしたため
  • 自分の希望と労働条件が合わなかったため
  • 他社の内定を承諾したため など

なお、詳しい理由を伝えたくない場合は「検討の結果、辞退させていただくことにしました」だけでも問題ありません。

お詫び

最後にお詫びと締めの言葉を伝えます。

お詫びの言葉の例
  • 選考に多くの時間を使っていただいたにも関わらず、このような形になってしまい大変申し訳ございませんでした。
  • 内定までに何度も面接のお時間を作っていただいたにも関わらず、このようなご連絡となってしまい誠に申し訳ございません。
  • 御社には大変ご迷惑をおかけしてしまい、誠に申し訳ございません。

採用までにたくさんの時間を作っていただいたことへの感謝とお詫びの気持ちをしっかり伝えましょう。

電話で内定辞退を伝える際のポイントと例文

電話で内定辞退を伝える際のポイントと例文

内定辞退の連絡は電話で行うことが基本です。担当者が不在の場合はメールで伝えても問題ありませんが、できる限り電話で伝えるよう心がけましょう。

電話で内定辞退を伝える際のポイント

電話で内定辞退を伝える際には以下のことに気をつけてください。

電話で内定辞退を伝える際のポイント
  • 始業直後・終業前・休憩時間後などの慌ただしい時間帯を避ける
  • 話す内容のメモを用意し、落ち着いて話す

一般的には、始業直後・終業前・休憩時間後などは電話が多い傾向にあります。連絡する際は慌ただしい時間を避けるようにしましょう。

また、人が話しづらい内容を伝える際はつい早口になりがちです。正確に内容を伝えるためにも話す内容のメモを用意しておき、落ち着いて話すことを心がけてください。

電話で内定辞退を伝える際の例文

上記のポイントを踏まえ、電話で内定辞退を伝える際の例文をご紹介します。ぜひ、参考にしてください。

■電話で内定辞退を伝える際の例文

自分:お世話になっております。先日、内定の通知をいただきました〇〇(フルネーム)と申します。採用ご担当の〇〇さんはいらっしゃいますでしょうか?

↓ 担当者に変わる

自分:お世話になっております。先日ご連絡いただきました内定通知の件でお伝えしたいことがあるのですが、今お時間よろしいでしょうか?

担当者:はい。大丈夫です。

自分:このたびは、内定のご連絡をいただきまして誠にありがとうございます。大変申し上げにくいのですが、慎重に検討した結果、今回の内定を辞退させていただきたく思い、ご連絡いたしました。

担当者:そうですか…。差し支えなければ、辞退される理由を聞いてもよろしいですか?

自分:自分が今後どのように御社に貢献できるか真剣に考えた結果、別の企業とのご縁を感じ、他社への入社を決意いたしました。本来なら直接お詫びにうかがうべきところですが、お電話でのご連絡となり申し訳ございません。

担当者:いえ、気にしなくても大丈夫ですよ。〇〇さんの他社でのご活躍を期待しています。

自分:ありがとうございます。選考に多くの時間を使っていただいたにも関わらず、このような形になってしまい大変申し訳ございませんでした。失礼いたします。

採用担当者が不在の場合は、かけ直すかメールを送るようにしましょう。電話にでた人に内定辞退の件を伝言してもらうのはマナー違反です。

メールで内定辞退を伝える際のポイントと例文

メールで内定辞退を伝える際のポイントと例文

担当者が不在の場合やこれまでの連絡をメールで行っていた場合などは、メールで内定辞退を伝えても問題ありません。

内定辞退をメールで伝える際のポイント

内定辞退をメールで伝える際は、以下のポイントに注意しましょう。

内定辞退をメールで伝える際のポイント
  • 件名を見て「内定辞退の連絡」であることがわかるようにする
  • 電話がつながらずにメールした場合はその旨を伝える
  • 文末に締めの言葉を入れる
  • 丸1日以上返信がない場合は電話で確認をする

採用担当者は1日にたくさんのメールを確認します。あなたからのメールを見逃さないよう、件名を見て「内定辞退の連絡」であることがすぐにわかるようにしてください。

また、電話連絡を入れたけれど担当者が不在のためメールを送った場合は「先ほどお電話させていただきましたがご多忙のようでしたので、メールにて失礼します」と一言添えます。

文末には「貴社の益々のご発展を心よりお祈り申し上げます」締めの言葉を追加しましょう。

メールを送信してから丸1日以上経っても返信がない場合は、採用担当者がメールを見落としている可能性も考えられます。そのまま入社日が近づいてしまうとさらに企業に迷惑をかけてしまうため、返信がない場合は確認の電話を入れるようにしてください。

内定辞退をメールで伝える際の例文

これらのポイントを踏まえて、内定辞退をメールで伝える際の例文をご紹介します。

■内定辞退をメールで伝える際の例文

件名:内定辞退のご連絡/名前

株式会社〇〇

人事部 〇〇様

お世話になっております。先日、内定の通知をいただきました〇〇(フルネーム)と申します。

先ほどお電話させていただきましたがご多忙のようでしたので、メールにて失礼いたします。

このたびは、内定のご連絡をいただきまして誠にありがとうございました。大変申し上げにくいのですが、慎重に検討した結果、今回の内定を辞退させていただきたく思い、ご連絡いたしました。

選考に多くの時間を使っていただいたにも関わらず、このような形になってしまい大変申し訳ございません。本来であれば直接おうかがいしてお詫びをすべきところ、メールでのご連絡となることを何卒ご容赦いただきたくお願い申し上げます。

面接を担当していただいた〇〇様をはじめ、みなさまには大変お世話になりました。心より感謝申し上げます。

最後になりますが、貴社の益々の発展を心よりお祈り申し上げます。

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署名

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誤字脱字がないよう、しっかり確認してから送信しましょう。

転職エージェントを利用している場合は企業ではなくエージェントに伝える

転職エージェントを利用している場合は、企業ではなく転職エージェントに内定辞退を伝えます。

連絡方法は電話でもメールでも問題ありません。それまで転職エージェントと連絡を取っていた方法で伝えてください。

今回はメールで内定辞退を伝える際の例文をご紹介します。

現職を継続する場合のメール例文

仕事をしながら転職活動をしている場合、内定をもらった企業の労働条件と現職の労働条件を比較し、現職継続を決断をする人もいるでしょう。その場合は以下の例文をご参考ください。

■現職を継続する場合のメール例文

件名:内定辞退のご連絡/名前

〇〇(担当者)様

お世話になっております。株式会社〇〇から内定をいただきました〇〇と申します。大変恐縮ではございますが、内定を辞退させていただきたく思い、ご連絡いたしました。

内定をいただいたことをきっかけに今後のキャリアについてじっくりと検討した結果、現職継続を決意したためです。

〇〇様には貴重なお時間をいただいたにも関わらず、このような決断となり申し訳ございません。

これまで親身に転職活動を支援してくださり、本当にありがとうございました。

最後になりますが、貴社の益々の発展を心よりお祈り申し上げます。

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署名

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現職を継続する場合は、今後転職エージェントからの支援は必要なくなります。転職エージェントに迷惑をかけないためにも、現職を継続することをはっきりと伝えてください。

今後も転職エージェントを利用し続けたい場合のメール例文

内定をくれた企業の労働条件に納得ができず内定を辞退したいけれど、今後も転職エージェントの支援を希望する場合は、以下の例文をご参考ください。

■今後も転職エージェントを利用し続けたい場合のメール例文

件名:内定辞退のご連絡/名前

〇〇(担当者)様

お世話になっております。株式会社〇〇から内定をいただきました〇〇と申します。大変恐縮ではございますが、内定を辞退させていただきたく思い、ご連絡いたしました。

理由は、譲れない条件であった給与面の折り合いがつかなかったためです。〇〇株式会社は非常に魅力的な会社ではあったので慎重に検討しましたが、今回の転職活動では給与面を重視したいため、内定辞退の決断をさせていただいた次第です。

〇〇様には貴重なお時間をいただいたにも関わらず、このような決断となり申し訳ございません。

今後とも転職活動を続けていく予定のため、引き続きご支援いただけると幸いです。

今後もどうぞよろしくお願い申し上げます。

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署名

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今後も転職エージェントを利用したい場合は、内定を辞退する理由をしっかり伝えることがポイントです。内定辞退の理由が伝わらないと、転職エージェントはどのような仕事を紹介していいかわからなくなってしまうためです。

理想の転職先が見つかるよう支援してもらうためにも、転職エージェントにははっきりと理由を伝えましょう。

別の転職エージェントの支援で就職を決める場合のメール例文

複数の転職エージェントに登録しており、別の転職エージェントの支援で就職を決める場合は、以下の例文をご参考ください。

■別の転職エージェントの支援で就職を決める場合のメール例文

件名:内定辞退のご連絡/名前

〇〇(担当者)様

お世話になっております。株式会社〇〇から内定をいただきました〇〇と申します。このたびは、内定のご連絡をいただき誠にありがとうございます。

慎重に検討した結果、別の転職エージェントで内定をいただいていた企業へ入社することを決断いたしました。そのため、大変恐縮ではございますが、株式会社〇〇の内定を辞退させていただきたく思います。

〇〇様には貴重なお時間をいただいたにも関わらず、このような決断となり申し訳ございません。

これまで親身に転職活動を支援してくださり、本当にありがとうございました。

最後になりますが、貴社の益々の発展を心よりお祈り申し上げます。

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署名

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転職エージェントからの支援を終了するためにも、理由はしっかりと伝えましょう。

内定辞退の連絡はいつまでにすればいい?

内定辞退の連絡はいつまでにすればいい?

転職活動中は複数の企業に応募する人が多いでしょう。1社から内定があり、もう1社の合否がまだの場合、両方の合否通知を聞いてから入社する企業を決めたいと思うのは当然のことです。

では、内定辞退の連絡はいつまでにすればよいのでしょうか?

企業は、応募者に内定通知をした後、内定を承諾するか否かの判断に1週間ほどの猶予を設けることが一般的です。猶予期間内であればどちらの判断をしても問題はありません。

猶予期間内でも伝えづらい気持ちはわかりますが、あなたに内定通知をしたことで、企業は採用活動を止めている可能性もあります。企業に迷惑をかけないためにも、内定辞退を決断したらできるだけ早く連絡することがマナーです。

内定承諾後に辞退は可能?損害賠償の対象になる?

内定承諾後に辞退は可能?損害賠償の対象になる?

複数の企業を受けている場合、合否連絡は同じタイミングでくる訳ではありません。そのため、内定承諾の判断を誤ってしまうこともあるでしょう。

ここでは多くの転職活動をしている人が不安に思う「内定を承諾した後に辞退は可能なのか」「損害賠償の対象になるのか」を解説します。

法律上では内定承諾後でも辞退が可能

法律上では、内定承諾後でも辞退は可能です。

民法第627条1項では「雇用期間の定めのない労働契約の場合は、労働者が解約の申し出をした日から2週間経過すれば契約が終了する」とされています。つまり、企業側の承諾は必要ないため、内定承諾後でも辞退は可能ということになります。

第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

※出典:「民法第六百二十七条1項|e-Gov法令検索」https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089

中には、「内定承諾書を提出したのに本当に大丈夫なのか」と心配に思う人もいるでしょう。しかし、内定承諾書はあくまでも応募者の入社意欲を確認するための書類であり、法的な効力はありません

ただし、入社日まで2週間をきっている段階での辞退は、まだ雇用契約の解約が成立していないため、注意が必要です。

入社準備にかかった費用の返金を求められる可能性もある

先述の通り、内定承諾後の辞退は法律上でも認められているため、企業から損害賠償などで訴えられることは基本的にありません

ただし、入社準備にかかった費用の返金を求められる可能性はあります。

例えば、入社予定者の資格取得のための費用を企業が負担し、その際「〇年以内に自己都合により退職した場合は、費用を全額返金する」という契約をしていたとしましょう。

この入社予定者が内定を辞退した場合は、企業から資格取得のための費用の返金を求められる可能性があります。

あまり多いケースではありませんが可能性はゼロではありません。内定の承諾は慎重に検討してから決断することが重要になります。

内定辞退に関するQ&A

内定辞退に関するQ&A

最後に、内定辞退に関するQ&Aをご紹介します。ぜひ、参考にしてください。

Q:内定を辞退した後に撤回できますか?

A:基本的には撤回できないと考えた方がいいでしょう。

内定辞退の連絡を受けた企業は、空いてしまった採用枠を早急に埋めなければなりません。そのため、できるだけ早く保留にしていた応募者に連絡をいれることが一般的です。

内定辞退の撤回の連絡をした時点で空いてしまった採用枠がすでに埋まってしまっている場合は、撤回は難しいでしょう。

ただし、撤回できる可能性はゼロではありません。内定辞退の撤回に関して法的な取り決めはなく、企業ごとにルールを定めているためです。

熟考しても辞退した企業への入社を諦められない場合は、できるだけ早く内定辞退の撤回を申し出ましょう。連絡する際は「謝罪・理由・入社への熱意」をしっかりと伝えることが重要です。

Q:内定辞退した会社へ再応募することは可能ですか?

A:内定辞退者からの再応募に対しては、企業は慎重になることが一般的です。そのため、ゼロもしくはマイナスからの選考になることは覚悟した方がいいでしょう。

応募する際は、内定を辞退した理由や再応募した理由を明確に伝えることが重要。採用担当者を納得させるような理由をアピールできれば、再度内定をもらえる可能性があるかもしれません。

ただし、企業によっては「内定辞退者の1年以内の再応募は不可」など条件を設けている場合もあるため、募集要項をしっかり確認することが重要です。

まとめ・内定辞退の連絡は決断したらできるだけ早く行うことが重要

内定辞退の連絡は申し訳ない気持ちからつい後回しにしてしまいがち。しかし、連絡が遅れると企業に迷惑がかかってしまうため、早めに行う必要があります。

内定辞退の連絡も社会人としてのマナーの1つ。貴重な時間と労力を費やしてくれた企業へ感謝と謝罪の気持ちを伝え、すっきりとした気分で新たな一歩を踏み出しましょう。

この記事の監修者

松澤裕介 【キャリアアドバイザー】

キャリアアドバイザーとして、転職相談3,000名以上、紹介企業数10,000社以上に対応。年間1,000名以上の履歴書、職務経歴書を作成。主に医療・介護業界の人材紹介を担当。「シニア人材の転職市場・転職の注意点」などのテーマで記事やコラムを監修。

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