更新日:

中高年の求人市場はどのような環境?50代以降が転職するには、どんな職種がある?

松澤裕介 【キャリアアドバイザー】

この記事では、中高年の求人状況の実情やどのようにすると転職・再就職ができるのかを探っていくことにします。

目次

ビジネス業界では、50代での転職や60歳の定年退職後の再雇用など、中高年世代の方々の就業意欲が高くなっています。
その一方で、この世代の求人市場は実際にとのような状況になっているのでしょうか。

50代・60代でも活躍できる求人市場

現在、50代以降での転職を考える方や60代での再就職を希望する方々が、非常に増えてきました。
では、この年代の人達は、どのような職業に就いているのでしょうか?
男女別のランキングを見ることにしましょう。

中高年に人気職種ランキング・男性

1位:事務作業
2位:軽作業・製造・清掃
3位:警備
4位:営業
5位:販売・接客・サービス

中高年に人気職種ランキング・女性

1位:事務作業
2位:販売・接客・サービス
3位:軽作業・製造・清掃
4位:医療・介護・福祉
5位:教育

ランキングから見えること

男女別のランキングから見えてくることは、両者とも事務作業、すなわちオフィスワークがや清掃・軽作業などが上位を占めていることが分かります。
 
これは、高年齢者雇用安定法が改正したことによって、本人が希望すれば65歳まで再雇用することが企業に義務付けられたことが関係しているものと思われます。
60歳を越えても、多くの中高年の方々が元気なために定年後も続けて働きたいという思いを持つ人が多いことも理由に挙げられます。

社会的な背景も中高年の再就職を後押ししている

前項で述べたように、改正高年齢者雇用安定法が50代~60代の方々の就業意識を牽引していることが、社会的な背景として挙げられます。
具体的には、企業の多くで「再雇用制度」「勤務延長制度」などの制度を取り入れている点です。

再雇用制度

「再雇用制度」は、定年退職後に引き続き勤務してきた会社に雇用される制度で、定年時に一旦は退職するのですが、新たに雇用契約を結び働くことができます。
但し、給与水準が現職の頃より下がったり、1年度毎の契約締結などのケースが多く見られます。

勤務延長制度

再雇用制度の他に、「勤務延長制度(定年延長)」という制度もあります。
再雇用制度の場合は、60歳で一旦退職する形になりますが、勤務延長制度の場合は退職せずに継続雇用されることになります。
 
公務員の人は65歳までの定年延長が検討されていますが、民間企業でも定年延長制度を取り入れている会社が少しずつ増えてきています。

中高年の方は転職するための求人要件

中高年の方が60歳以降でも働くことができる社会環境が、かなり整ってきていることは時事です。
しかし、20代、30代の人達の転職求人と比べてみると、その求人数は決して多いとは言えないことも事実です。
このようなことから、中高年の方が転職・再就職するためには、資格や経験を強みにして求人企業や職種を探すことになってきます。

資格を持っていると有利

転職・再就職をする場合に資格を持っている人は、一般的に大変有利になると言われています。
特に国家資格を取得していることで、50代以降の方や60代の定年後でも、その資格を武器にして求人を探してみると、かなり求人数が多い職種があります。

長年の経験と知識を最大限にアピールする

資格を持たない方でも、専門職に特化した仕事で、それまでに蓄積した経験・ノウハウを最大限に活用できる職種も少なくありません。
誰でもできるような仕事ではなく、大手企業でのマネジメント力を中小企業で活かすという選択肢もあるくらいです。

専門職の求人実態

中高年の再就職・転職市場の中では、専門職の求人市場が一般的な転職求人と比べてみても、多くの募集案件が多い傾向にあります。
その中で、資格を持っていると有利な職業を紹介してみることにします。

看護師の求人

看護師は、いつの時代でも慢性的な人手不足の職種と言われています。
そのために資格を活かした転職として求人情報も豊富です。
看護師は病院でドクターをサポートする仕事の印象がありますが、それ以外に様々な職場で活躍することができます。

診療所勤務

診療所で町の個人クリニックでの街の看護師の求人があります。
診療所は入院施設がない分だけ、夜勤がなく診療時間も決まっているので、定時に帰ることができる点がメリットになってきます。
しかも、仕事内容も難しい高度な作業が求められることがありません。

老人ホームの医療スタッフ

老人ホームで、常駐看護師として働く選択肢もあります。
入居者の健康管理が課題である老人ホームでは看護師のニーズが多く転職や再就職の勤務先としての候補になってきます。
高齢者を方々の相手にする仕事となり、相手の気持ちに配慮できる中高年向きの仕事と言えます。

契約社員、アルバイト・パート、派遣社員

求人内容によっては、診療所や老人ホームに看護師として勤務する場合でも、自分自身の健康に配慮した勤務形態で働くことも可能です。
そのために、正職員ではなくパート・アルバイト、あるいは契約社員・派遣社員として非正規求人を探すことも選択肢の1つです。

介護

50代の転職や60代の再就職では、介護の求人も多くなっています。
その理由は、未経験でも取り組みやすい点が挙げられます。
一般的な転職求人では、50代になると未経験職種に転職することは、かなりハードルが高くなってきます。
 
しかし、介護の仕事は未経験者の方でも、チャレンジする可能性が広がっています。
未経験者向け研修、介護職初級資格の介護職員初任者研修取得の費用を負担してくれる企業もあるほどで50代の未経験者の方でも目指すことができる環境があるのです。

採用されやすい土壌

また、少子高齢化が進むに連れて、介護業界でも人材不足が懸念されています。
その結果、年齢・経験にかかわらず、介護の仕事をしたいと思っている人材が採用されやすい環境にあるのです。

50代の年齢も強み

また、50代という年齢が強みとなることも採用されやすい理由にあります。
介護職は、高齢者の方を相手にコミュニケーションの取り方が重要になるのですが、50代以降の方は、仕事や子育てのことで、豊富な人生経験が強みとなってきます。

求人の職種

求人の職種としては、未経験者だと、介護スタッフ、介護職、介護員、介護施設での調理補助などの仕事があり、経験者や有資格者の方であれば、介護福祉士、サービス提供責任者、ホームヘルパーなどの求人があります。

関連記事
中高年女性の仕事探し!求人の種類・有望な職種・平均年収を解説

会計事務所

専門性の高い中高年向けの職種の中には、会計事務所での求人も挙げられます。
20代~30代の求人数と比べてみると、50代以降の中高年向けの求人数としては決して多くはありませんが、年々50代以降の経験者層を積極的に採用しようとする動きが活発になってきています。

会計事務所側が求める人材

会計事務所側が欲しい人材は、会計事務所で働いたことがある経験者です。
税理士試験の科目合格者や日商簿記2級合格者などの資格を持っていれば、未経験者でも採用される可能性はあります。
しかし、それでも経験者が優遇される傾向が強いことが一般的です。

会計事務所が経験者を優遇する理由

その理由は、会計事務所の仕事が税務に関する専門的な分野の業務を行っているためです。
 
単なる税金計算だけでなく、計算結果が会社にどのような影響を及ぼすのかを予想したり、会計のマクロ結果から判断することを業務内容としています。
 
そのために仕訳や勘定などの会計に携わる企業の経理事務の経験者だと、帳簿を見ながらアドバイスするというようなことができず、採用されにくくなっています。
 
しかし、会計事務所の職員として再就職するためには、会計資料から経営状態を判断できる能力を持っていなければなりません。
その結果、そのような経験を持っている経験者が優遇されることのなるのです。

会計事務所の求人情報をしっかりと確認しておく

会計事務所に転職することを考えるなら、転職市場でどのような人材が求められているのかを確認しておくことがポイントになってきます。
資格取得や科目合格だけ要件が満たされているか、あるいは実務経験も重要視されるのかも、会計事務所によって、求人要件が異なってくることも少なくありません。
 
新規開業した会計事務所であれば、Web等の仕事に携わった経験を持っていることで、未経験者でも採用されたりと、事務所の求めるスキルを持つ人材が採用されるケースもあります。
そのために、しっかりと求人要件を確認しておくことも大切なのです。
 

まとめ:中高年の求人は専門性の高い仕事ほど求人が多い


ここまで中高年の求人の実情を紹介してきました。
50代~60代の方々の転職・再就職の求人職種も専門性が高ければ高いほど、その数が多くなってきますが、実際にはそれまで積み重ねてきた経験やノウハウ・人柄を最大限に活用することが重要です。
 
しかし、1人で自分にマッチした求人情報を探すことは、意外と大変なものです。
最近では、シニア向けの転職エージェントや転職サイトも多くなっているので、多いに活用することもおすすめです。

この記事の監修者

松澤裕介 【キャリアアドバイザー】

キャリアアドバイザーとして、転職相談3,000名以上、紹介企業数10,000社以上に対応。年間1,000名以上の履歴書、職務経歴書を作成。主に医療・介護業界の人材紹介を担当。「シニア人材の転職市場・転職の注意点」などのテーマで記事やコラムを監修。

おすすめの記事

併せて読みたい