公開日:
更新日:

シニアライフを充実させるためのキャリアプランの考え方

片桐吉晶 【キャリアアドバイザー】

「人生100年」時代と呼ばれる現代ではどのようなキャリアプランを立てて働いていくことが必要なのでしょうか。

目次

定年退職をしてシニア世代になったらもう人生は長くはないと考えられていた時代は終わりを告げました。
超高齢化社会とも言われる日本では老後の生活をセカンドライフとして考え、いかに充実させるかが大きな課題としてよく取り上げられるようになっています。

このような時代では仕事に対する意識も今かでとは違う形で考えることが大切です。

「人生100年」時代の人生設計

現代日本は「人生100年」時代になったと言われています。
シニアの生活を考慮した人生設計をする上ではこの概念を正しく理解することが大切です。
これから自分がどのような形で生きていくことになるのかをよく考えて、シニアライフやキャリアプランを考えることが重要になります。
このような考え方が必要になっている背景を詳しく理解しておきましょう。

「人生100年」時代とは?

「人生100年」時代とはその名の通りで人生が100年くらいになるだろうと想定される時代になったことを意味します。
生活水準の向上や衛生環境の充実、医療及び福祉の高度化などによって日本人の平均余命は着実に延びてきています。
厚生労働省による統計調査によってまとめられた簡易生命表では平均余命が延び続けていることが示されています。このまま延びていくと2065年には平均寿命が男性で84.95歳、女性で91.35歳になると推定されていて、超高齢化社会が到来すると考えられています。

人生100年時代に関連した記事
100歳まで生きる人の特徴に学ぶ、健康長寿の秘訣

「人生100年」とシニアライフの関係

「人生100年」時代になると何が変わるのかが気になるでしょう。
寿命が延びればそれだけシニアライフが長くなります。
定年退職のタイミングが特に変わらないとしたら、60歳で定年になり、40年のシニアライフを送ることになるでしょう。
20歳から働き始めたとしたら、40年間で得た収入と年金だけで、同じ40年間の生計を立てなければなりません。
このような資金問題が生じるリスクが高い状況が生まれているため、社会課題として注目されています。

シニアライフの必要資金

シニアライフを送る上ではどのくらいの資金が必要になるのでしょうか。
老後の生活は年金だけで充実させられる時代は既に終わってしまっています。
少子高齢化の影響によって高齢者の年金を支払うのが困難な時代になっているからです。
団塊の世代が高齢者となってからはこの問題が切実になりました。老後には2000万円の資金が必要というのがニュースにもなり、老後2000万円問題として話題になっています。
これは金融庁の報告書に記載されていた内容の抜粋でしかありませんが、目安として必要な資金と考えられるでしょう。

老後は年金生活では厳しい

老後2000万円問題を考えるとシニアライフを年金だけで過ごすのは困難だということがわかります。
「人生100年」時代の人生設計では老後の資金を予め十分に貯蓄しておくか、老後になってからも収入を得られるようにすることが重要です。
シニアライフを充実させるには、仕事をしてメリハリのある日々を送れるようにするのが良い方法です。
収入を得ることもできるため、シニアライフをより良いものにする一石二鳥の方法と考えられます。

老後を考慮したキャリアプランが必要

老後になっても働き続けたいけれど仕事を見つけられないで困っているケースも決して少なくありません。
シニアになってからも仕事に取り組み、収入を得て生計を立てていくためにはキャリアプランを立てることが必要です。
現役時代にどのようなキャリアを築き上げていくかという視点でキャリアプランを作るケースは増えてきました。
しかし、現代社会では定年をゴールとせずに老後まで見据えたキャリアプランを立てることが欠かせないのです。

「人生100年」を考慮したキャリアプランの考え方

老後も平均的には40年近く生きることになる人生を考慮すると、どのようなキャリアプランを立てたら良いのでしょうか。
今までは80歳まで生きることを考えて人生計画を立てていた人も多いでしょう。もっと長い期間を考えるとなるとキャリアをどうするべきかと悩んでしまいがちです。

ここでは現役時代のうちにできるキャリアプランの考え方を紹介します。できるだけ早いうちから検討を始めて、計画的に働けるように準備をしていきましょう。

定年退職後の働き方を組み込む

まず前提条件として重要なのが老後も働くことを当然のこととして捉え、キャリアプランを立てるときには定年退職後の働き方を組み込みましょう。
シニアになってから40年近く働ける可能性があるとはいえ、実際には心身の衰えも起こります。期間を区切って5年から10年ごとにどのような働き方をするかを考えてみるのが良い方法です。
特に定年退職のタイミングは再雇用を選べる会社もあるので選択肢として考慮しておくと良いでしょう。

老後も働きやすいように準備を整える

もう一つの前提条件として、老後になっても働きやすいように十分な準備をしておくことが挙げられます。
老後は再雇用をしてもらいたいのなら、予め経営者や上司などに相談しておくのが大切です。
退職をして新しい仕事を始めたいと思うなら、仕事の探し方を検討しておきましょう。
シニアの仕事の募集は増えてきていますが、どんな働き方をしたいかによって適切な方法は異なります。

シニア向けの就職サービスを一通り調べて、使い分けられるようにしておくのが良い方法です。

老後にできることではなくやりたいことを考える

老後2000万円問題を考えると、何とかして雇ってもらえるようにして少しずつでも稼げるようにしたいという気持ちが先行してしまいがちです。
しかし、シニアの採用が活発になってきたことから、老後にできることではなく、シニアになってからやりたいことを考えてキャリアプランを立てた方が良いでしょう。
前向きに取り組める仕事でないと長続きしません。
新しい仕事に挑戦する場合には、資格を取るなどの準備も必要になるので早めに希望を決めるのが大切です。

老後の暮らし方との兼ね合いを考慮する

老後の働き方は暮らし方と切っても切れない関係にあります。
シニアになると体力や健康の問題が生じやすくなり、無理をするのが難しくなるでしょう。
仕事の他に趣味も楽しみたいとなると、時間だけでなく体力も考慮して配分をする必要があります。
力仕事や集中力を必要とする仕事は長時間になると厳しいかもしれません。
このような見立てをしながら、シニアライフを全体として充実させられる仕事は何かを考えてキャリアプランを立てましょう。

シニアになってからのプランも細分化しておく

定年退職後の働き方を考慮したキャリアプランを立てようとしたときに、シニアになるタイミングのことしか考えていないケースがあります。
しかし、実際にはシニアになってからずっと同じ仕事を続けるのは困難になりがちです。
できる限りシニアになってからの仕事について細分化してキャリアプランを立てておきましょう。
最初は再雇用で5年間働き、その間に仕事を探して5年間別の仕事をするといった形で期間を区切ると状況に応じた変更もしやすいでしょう。

まとめ:シニアになっても働きやすいプランを立てよう

「人生100年」時代の到来によってシニアライフの資金や仕事に対する考え方を変え、定年退職後も働くのが当然と捉える必要が生じています。
老後も働くことを見越したキャリアプランを早い段階から立てておくと、シニアになっても働きやすい環境を手に入れられます。
中高年の人にとって新しい仕事への挑戦は大変ですが、シニアライフが長いことを考えると前向きに捉えてやりたいことに取り組むチャンスです。

セカンドライフの充実を図るために周到なキャリアプランを立てておきましょう。

この記事の監修者

片桐吉晶 【キャリアアドバイザー】

キャリアアドバイザーとして、転職相談5,000名以上、紹介企業数10,000社以上に対応。年間800名の履歴書、職務経歴書を作成。建設業界や自動車業界、医療・介護業界の人材市場を熟知。「シニア人材の適切な採用・育成方法」などのテーマで、企業セミナーに講師として登壇中。

おすすめの記事

併せて読みたい