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シニアの転職理由に多いのは何?定年後も働きたいシニアの転職事情をご紹介

片桐吉晶 【キャリアアドバイザー】

実はシニアの転職理由はネガティブな要素だけではなくポジティブな要素もあります。どういった転職理由があるのか、シニアの転職事情をご紹介!

目次

近年、「人生100年時代」と言われるように、定年退職後も働き続け、再就職をするシニア人口が増えていますが、それに合わせてシニアの転職も活発になっています。

とはいえ、若い世代に比べてシニアの転職は難しいと言われる中で、シニアの方たちはどのような理由で転職を決意しているのでしょうか?

今回は、そんなシニアの転職理由を追ってみたいと思います。

もし、あなたがシニアの方で転職を考えているならば、他のシニアの方がどんな理由で転職を考えたのか、参考にしてみてください。

シニアの転職理由を不安要因から考える


シニアの転職理由には、次のようなものがあります。

・人間関係
・年齢による待遇の変化
・給与など条件面の不満

若い方でも転職理由のトップには「人間関係」が来ますが、それはシニアの方でも変わりません。
上司やトップと合わない、パワハラを受けた、社風に馴染めない、社内で孤立しているといったような「人間関係」の悩みから退職を選び、転職を目指すシニアは少なくありません。

また、60歳が定年の会社では、その後再雇用で会社に残っても、給与が大きく下がり、また契約社員となってしまって、そうした状況に不満を感じるシニアも多いでしょう。

50代でも役職定年や昇給停止の年齢を設定している会社では、その年齢を境に給料が下がり始めますから、不満を抱えて転職するシニアもいます。

シニア専門の人材紹介サービス、シニアジョブが実施したアンケートでも、おれはシニアが転職で不安に感じる内容について聞いたものですが、ほぼ同じような結果が出ました。


【シニア転職で不安に感じること】

1位 人間関係・職場の雰囲気・環境 ・・・15.6%
2位 年齢による選考の不利 ・・・11.7%
3位 給与を含めた条件面 ・・・8.1%

シニアジョブ シニアの働き方に関するアンケート調査より)

やはり、こうした部分に不満を持って転職を決意したシニアは、同様の不安も抱えていることがわかります。

上記の内容以外にも、「ブランク」や「体力面」、「通勤時間」などといった転職理由もあり、転職活動に関してさまざまな部分で会社が求めるものと、自らの理想の違いを感じるシニアが多いことがわかります。

シニアに多い転職理由とその解説

それではシニアに多く見られる転職理由について、より詳しく解説していきましょう。

人間関係に悩んでいる


長年勤務していれば社員の入れ替わりや部署異動によって、入社当初と関わる人も異なってきます。
当然、性格が合う・合わないなどといった悩みも出てくるでしょう。

自分の上司にあたる人との関係に悩むとストレスになる原因にもなり、その結果、転職を考え始めるといったケースもみられます。

また、次々と入社してくるのは若い世代で、話が合いづらくなるといったジェネレーションギャップを感じてしまうこともあるかもしれません。

特に、年下の上司の部下となったシニアの場合、上司と合わないなどの不満が高まる可能性があります。

給与面に不満を感じている


中高年は子供や両親など、家族を養うために稼ぐ必要があり、バリバリと働いている世代です。
特に最近は晩婚化が進んだため、60代でも子供がまだ学生など、扶養や学費を必要とする場合があり、その負担は大きいものとなります。

現状の給与では生活がきついと感じてしまうと、もっと稼ぐために転職をしたほうがいいのではないか?と考える人も少なくはありません。

中高年は、部下のマネジメントを担当する管理職のポジションとして働く人が多いです。
そのような環境下で働く中で、仕事量や仕事内容に見合った給与ではないと不満に感じてしまう人もいるかもしれません。

また、近年、年功序列の企業が減ってきているため、年齢が高くても高い給与とならないばかりか、むしろ、50代で役職定年や昇給停止を迎えると、給与は下がる一方となることもあります。

さらに、60歳で定年を迎えて再雇用となると、定年前から大幅に給与が下がる上、正社員ではなく契約社員となって契約更新の不安を抱えるなど、不安と不満の大きい状況になるシニアもいます。

スキルアップを目指している


人生100年時代と考えると、50代ではまだ人生の半分です。
まだまだ働きたいという働き盛りの中高年にとっては現状の環境に満足できず、さらなるスキルアップを目指して転職する人も多いです。

また、心身ともに元気なうちに、これまで培ってきた豊富な経験やスキルを生かして自分がもっと活躍できる環境を求める人もいます。

老後を「第二の人生」と考え、これまでの働き方の中では実現できなかった新たなチャレンジを目指すシニアの方もいます。

契約満了のため


派遣や契約といった雇用形態で勤務したとき、有期雇用労働者という扱いになります。
あらかじめ約束されていた契約期間が近づいた時に契約の更新を行うとそのまま継続で雇用され、または契約を結んだ企業側から契約の更新を希望されない場合に退職という流れになります。
この場合は望んだ転職ではない可能性が高いですが、シニアの中の転職理由では多くみられます。

特に、60歳が定年の会社ではその後の再雇用で契約社員となることが多いため、なんらかの理由で契約が更新されず、契約期間の終了とともに60代前半で仕事を失ってしまうケースも見受けられます。

会社の将来性に不安を感じている


会社が業績低迷、さらには業績不振が続けば当然将来性に不安を感じてしまいます。
「突然リストラされてもすぐには再就職できない」、「大幅な給与カットが発生したら生活できない」といった心配が生まれます。

また、業績の悪い会社の場合、シニアから給料がカットされることがあります。
また、体力仕事をしている人は、現状は問題がなくても今後も長く働くことを考えると体力的に長く続けられないと感じている人もいるでしょう。

ここで長く働きたいと思っていても、先行きが怪しいと不安になり、転職を考える人もいます。

新しい転職先でシニアは何を注意するべき?

では、シニアが転職に成功し、新しい仕事を得た時、次はどんなことに注意すべきなのか、その注意点を整理してみましょう。

人間関係は次の会社でもわからないため注意


人間関係に関しては、面接や職場見学だけでは明確に把握できず、実際に入社してみないと分かりません。
年齢が近い人がいることによって安心感が生まれることもあります。
そのときはシニア世代を多く採用している業界や職種を中心に探してみましょう。

近年ではシニアを採用する企業も増えてきています。
近い世代が多くいる会社のほうが、コミュニケーションは取りやすいかもしれません。

提示された給与がすぐにもらえない可能性に注意


面接の際に提示された給与面に満足したとしても、入社後すぐにその額で給与がもらえるわけではないこともあるので要注意です。

例えば、研修期間などがある場合、研修を受け、一定以上のスキルを認めてもらわなければ、給与が事前提示の額より低いこともあります。

入社前に事前に採用担当に確認をし、自分の満足した給与をもらえるようになるまでは計画的にお金を使っていく必要があります。

新しい会社でもスキルアップに満足しない可能性に注意


スキルアップを求めて転職をしていると、新しい転職先でも満足できない可能性があります。
また、最初は満足していたものの、だんだんと物足りなさを感じてきてしまい、また転職を考えてしまうといったこともあるかもしれません。

もちろんスキルアップを目指すことはとてもよいことですが、スキルアップ以外に目標を見つけることによって仕事の満足度が得られ、長く仕事を続けられるかもしれません。

契約期間やその更新・解除の条件に注意


シニアの転職となると、正社員は狭き門です。
そのため、期間を有する派遣や契約といった雇用形態も視野に入れて探すことが転職の成功への近道です。
派遣や契約で転職が決まった際には必ず入社前に、契約年数、更新、解除の条件を確認しましょう。

また、絶対に契約が更新されるとは限らないので注意しましょう。
契約満了という不安はありますが、多様な働き方を受け入れる柔軟性を持つことも重要になってきます。

不安定な会社では不安や不満が高まりやすいので注意


不安や不満を抱えながら働くことはつらいものです。
そうならないためにも先を見据えて自ら行動する必要があります。

働いている業界に将来性はあるのか、長く安心して働ける環境にあるのかを自分自身で調べたり、知人からアドバイスをもらったりしましょう。

また、転職が決まった際には入社前に事前に企業の必要な情報を入手しておきましょう。
シニアが転職すると、次の転職先が自分の最後の会社になる可能性が高いです。
きちんと自分を評価してくれる会社であるかどうかをしっかり判断してから決断しましょう。

まとめ


今回は、シニアの転職にまつわる転職理由や転職先での注意点についてご紹介しました。

労働者の不足や、高齢化社会が進んで高齢者雇用も促進されている現代において、男性女性や年齢に捉われず活躍できる時代になりました。
そのためにシニアが活躍できる会社の数も増え、より良い会社とそうでない会社の差が大きく、明確になり始めています。

シニアの方にとっても、満足でき、長く働きたいと思える会社と、不満が大きく、辞めたくなる会社がはっきりと分かれると思います。

不満な会社を離れる決断も重要ですが、新たな会社を目指す場合も、例えば転職エージェントにしっかり相談するなどして、自分に合わない会社を選んでしまわないように、事前の情報収集を十分に行いましょう。

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この記事の監修者

片桐吉晶 【キャリアアドバイザー】

キャリアアドバイザーとして、転職相談5,000名以上、紹介企業数10,000社以上に対応。年間800名の履歴書、職務経歴書を作成。建設業界や自動車業界、医療・介護業界の人材市場を熟知。「シニア人材の適切な採用・育成方法」などのテーマで、企業セミナーに講師として登壇中。

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