パートも視野に!60代でも働きたい人が知っておきたいシニアの転職事情
60代になっても働きたいと考える中、なかなか転職活動が上手くいかないと悩んではいませんか? 今回は、生涯現役で働きたい人のためのシニア転職事情を紹介します。
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かつては定年後は楽隠居というのが当たり前でしたが高齢化の進む現代では60歳はまだまだ十分働ける年齢です。
定年を迎えてからも再就職を希望する人は多いですが年齢を考えると自分にあった仕事への転職も考える必要があります。
仕事の負担や労働時間など高齢でも無理が少なく働ける仕事への転職を成功させるにはどんなところに気をつければいいのでしょうか。
シニア年代の転職事情
まず最初に転職が大変なのは年齢は問わず、大変なものです。
20代でも60代でも、転職となると何かと苦労がつきもの。
転職が成功すればこれまでよりもよい環境、良い待遇で働くことができます。
高齢でも転職を成功させるために、基本的なシニア転職事情を知っておきましょう
シニアの年代とは?
そもそもシニアとはどの年代を指すのでしょうか。
転職市場でシニアというと一般的に55歳以上を意味します。
これはかつての定年が55歳だったことが大きく影響しています。
シニアと表記されていても必ずしも定年後を対象にしているとは限らないので注意してください。
シニア向け転職市場の現状
シニア向けの転職市場はそこそこ活発な動きが見られます。
少子高齢化もあり、人手不足が全業種で深刻化していることもありシニア向け転職市場はかつてないほどのにぎわいを見せています。
転職市場に比較的若い世代の人材を雇用するよりも、即戦力のシニア人材の需要が高く、企業によっては若い世代よりもシニア世代を求めています。
かつては年齢が理由で不採用になるケースも多かったのですが、現在では人生経験が豊富なシニアを積極的に採用する企業も増えており転職のハードルは以前に比べると大きく下がっています。
シニア世代の仕事事情
厚生労働省の「平成30年雇用動向調査結果の概況」の情報を観ていきます。
過去一年以内に転職した人の割合は
- 55〜59歳の男性で5.9%、女性で9.5%
- 60〜64歳では男性が13.3%、女性が9.9%
- 65歳以上では男性が10.8%、女性が4.4%
となっています。
男性で60歳を超えると転職率が上昇するのは定年退職後の再就職によるものと考えられます。
これまでの仕事をやめ、別の仕事に転職する人が多いことが調査結果からわかります。
シニアはパートタイムへの転職が多い
新しく仕事についた人のうちパートタイム労働者が占める割合は
- 55〜59歳の男性で26.9%、女性で60.5%
- 60〜64歳では男性が39.8%、女性が69.1%
- 65歳以上では男性が76.7%、女性が96.0%
となっています。
高齢になるほどパートタイムに転職する割合は上昇しています。
この結果から企業はシニア世代を正社員としてではなくパートタイムとして積極的に採用しているのは明らかです。
年齢的にも体力的にもシニアの正規雇用は企業にとってリスクが高く、特に高齢女性の転職ではパートタイム雇用形数を占めています。
シニア世代の転職戦略
転職を成功させている50代・60代のシニアの方はたくさんいますが残念ながらなかなか転職ができないという方もいます。
50代・60代の方が転職を成功させるには、これまでの経験を生かしつつも過去にとらわれない柔軟な考え方が不可欠です。
過去の成功体験にとらわれるのは失敗のもとです。
シニアという新しい時代を迎えたからこそイチから始めるつもりで転職に望みましょう。
過去の経験をいかして転職する
20歳前後から働き始めて、定年まで60〜65歳の約40年間積み上げた経験と実績は何者にも代えがたい財産です。
定年後もまだまだ現場で通用する知識も経験を転職に生かさない手はありません。
過去の経験を活かして転職するのであれば定年前から準備を進めておくといいでしょう。
人脈などで転職先を見つけることができればベストですが、転職エージェントや求人情報サービスを頼る方法もあります。
肩書や実績を活かせる現役のうちに転職先を探すことで求人を見つけやすくなります。
新しい仕事にチャレンジする
全く新しい仕事にチャレンジするのもひとつの方法です。
50代・60代で若々しく老けこむには早すぎます。
シニアを迎えてから新しいことにチャレンジするのは勇気のいることですが、前向きな気持ちで新しい仕事に挑戦することで新たなやりがいや生きがいを見つけられるチャンスが広がります。
新しい仕事であってもこれまでの経験が無駄になるわけではありません。
ビジネスマナーや仕事の知識、マネジメントテクニックなど業種を問わずに役立つスキルは多くございます。
新しい職場で自分なりにスキルをいかして活躍すればさらなるステップアップもめざせます。
負担の少ない仕事に転職する
シニアになるとどうしても考えなければいけないのが健康問題です。
大きな問題はなくても高齢になればカラダのあちこちの衰えが見え始め、若いころのような体力は望めません。
体に負担が少なく働けるような仕事に転職することで健康を保ちながら働くことが可能です。
シニア向けの求人の中にも体力が必要な仕事はありますが若いころのように無理はきかないのですから自分の体を過信するのは禁物です。
若者に負けまいと張り切って働いたせいでケガでもしたら大変です。
いつまでも若々しく痛いと思うのはいいことですが自分の年齢を自覚することも大切です。
今の自分は何が可能で何が不可能なのかをよく考えて転職先を考えてください。
労働時間を工夫する
シニアにとっての強みといえば労働時間の自由が効くことです。
若い世代だと子どものお迎えや家族の世話などで働ける時間が限られますが、家族が独り立ちしているシニアなら自由に働く時間を決められます。
歳を取ると早く目が覚めるといいますがそれを強みとして早朝勤務を選べば賃金の高い条件のいい仕事に転職できますし、夜勤など希望者が少ない仕事なら競争率も低く転職先は見つかりやすくなります。
シニアの転職では柔軟な労働時間を受け入れると転職先工法は大きく広がります。
変速シフトなど敬遠されやすい仕事なら転職難易度は大幅に下がります。
シニアに人気の転職先
シニアの転職では他の世代に比べて人気の傾向が大きく変わります。
働きやすさも理由のひとつですが、シニアが強みになる職種は人気が高く転職後も自身を持って働けます。
教育職
これまでに培った知識や経験を伝える教育職はシニア転職で人気の職種です。
特に専門知識を必要とする業界で働いていた人にとって教育職は絶好の転職先です。
専門学校や大学の講師などは転職先として条件もよく、若い世代を育成するというやりがいのある仕事内容と合わせて多くの人が転職を希望します。
教育職に転職するには十分な知識と経験が求められるとともに教わりたいという需要も必要です。
例えば電気や機械などのエンジニア職は教育需要も高く転職先も豊富ですが、営業や経理などは教育需要に対して転職希望車が多いため転職は狭き門となっています。
場合によっては自らが講師やコンサルタントとして独立するという選択肢もあります。
飲食業
飲食業が人気の理由は求人の豊富さです。
慢性的な人手不足が続く飲食業界では年齢を問わずに採用したいという意欲が高くシニアの転職希望者を積極的に受け入れています。
シニア世代の転職では現場、特にホールスタッフに配属されるケースが多く見られます。
高齢のホールスタッフは安心感を与えるということもありやりがいを感じながら働いている人が多く見られます。
かつての経験を活かして責任者や管理職へとステップアップするみちもあり、パート採用からマネージャークラスへの出世も夢ではありません。
警備職
警備の仕事はシニアでも転職できる仕事として知られています。
転職を希望するのはほとんどが男性で70歳を超えても元気に働く人が多い業界です。
警備員というと腕っ節が求められるイメージがありますが実際の仕事内容としては誘導や案内などが主業務なので年齢的なハンデはほとんどありません。
深夜の勤務などは時給もよく希望者の多い仕事です。
清掃業
女性に人気の転職先が清掃業です。
清掃業は特別なスキルがいらないので未経験でも転職しやすく求人も多いことから人気を集めています。
体を使う肉体労働ではありますが平均程度の体力があればいいので高齢でも無理なく働けます。
適度に体を動かせて健康にもいいからと清掃業を選ぶ人もいます。
パートタイム転職ってどうなの?
シニアの転職で考えなくてはいけないのがパートタイム労働です。
できればフルタイムの正規雇用で働きたいと考える人は多いですが、現実問題としてシニア転職の募集は圧倒的にパートタイム募集が多いです。
可能性を考えるとパートタイムへの転職を視野にいれる必要があります。
パートタイムのメリット
パートタイムへ転職するメリットとしては自由度の高さが挙げられます。
パートタイムでも仕事に対する責任は必要ですが正社員に比べれば自由度は圧倒的に上回ります。
残業も転職もありませんし仕事のノルマも正社員ほどではありません。
仕事を離れるのも正社員に比べればハードルはずっとい低く、自己都合を優先して働けるのはパートタイムならではです。
採用されやすい、というのもパートタイムのメリットです。
求人が豊富で採用基準も低いパートタイムならシニアでも転職の可能性が高まります。
未経験での転職は簡単ではありませんがパートタイムなら未経験でも積極的に採用するケースは多く見られます。
パートタイムの注意点
パートタイム転職では給与水準に注意が必要です。
正社員に比べるとパートタイムの給与水準は低く現役時代ほどの収入は望めません。
フルタイムで働いても年金と合わせて現役時代の収入に届かない可能性が高いので覚悟が必要です。
パートタイムといっても時給は仕事や働く時間によって異なります。
深夜や早朝など割増賃金が期待できる時間に働いたり時給が高い仕事を探したりして条件の良い転職先を探しましょう。
60代でもやる気と経験があれば転職は可能!
60代でも定年退職後の65歳でも転職は可能です。
定年後の再就職で第二の人生を踏み出す人は多く、企業側もシニア世代を有望な人材として大きな期待を寄せています。
これまでの経験とやる気があれば好条件での転職も夢ではありません。
定年が引き上げられた現在でも55歳を過ぎるとシニア世代に分類され求人や転職情報にも変化が見られます。
転職サイトや求人サイトの中にはシニア転職に特化したサービスもあります。
転職のための情報を集めるときは一般向けの求人情報もそうですが、シニア向けの情報に注目すると年齢制限が設けられていないものもあるので幅広く目を通すようにしましょう。
大切なのは仕事への意識を高く持つことです。
目の前の仕事にしっかりと向き合いはたらく意欲を見せることが転職成功につながります。
この記事の監修者
松澤裕介 【キャリアアドバイザー】
キャリアアドバイザーとして、転職相談3,000名以上、紹介企業数10,000社以上に対応。年間1,000名以上の履歴書、職務経歴書を作成。主に医療・介護業界の人材紹介を担当。「シニア人材の転職市場・転職の注意点」などのテーマで記事やコラムを監修。