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60代の薬剤師でも活躍可能!年代別年収と年収アップの方法

松澤裕介 【キャリアアドバイザー】

薬剤師は定年退職をした後も薬剤師として活躍することができます。シニア薬剤師としての働き方のポイントをシニア専門人材エージェントが解説します。

目次

年齢別の薬剤師の年収

日本は少子高齢化に伴って、福祉や医療分野で働いている人たちの重要性がどんどん増してきています。
薬局や病院、ドラッグストアなどで勤務している「薬剤師」の人たちも例外ではなく、その地域の人たちにとって心強い存在です。
薬剤師は60代以降になっても働くことができる職業のひとつであり、老後でも安定した収集を得たいと考えている人にとっても適した仕事だといえるでしょう。

本記事では薬剤師の年代別年収や勤務先による収入の違い、そして年収をアップする方法について解説していきます。

薬剤師の年収の平均

薬剤師の全年齢の年収の平均はおよそ「544万円」となっています。収に換算するとだいたい45万円ほどとなっていて、それに加えてボーナスが夏と冬の合計で88万円です。
この年収を見ると、薬剤師は薬というほかのひとが扱えないものを扱う職業の割には思ったより安い、と考える人も中にはいるかもしれません。

しかし後述しますが、薬剤師は勤務地によって給料が大きく変わる職業で、すべての勤め先の年収を平均すると、だいたい544万円という計算です。
さらに男性と女性でも年収は若干異なるため、どの地方で働いているかによっても年収は変わります。

薬剤師20代の年収

20代の平均年収ですが、20代前半ではおよそ487万円、女性がおよそ496万円です。
これが20代後半になると、男性がおよそ537万円、女性が518万円と、男性のほうが年収入が高くなります。
以降はすべての年代で男性のほうが女性よりも平均年収が高くなります。

薬剤師30代の年収

30代前半ではおよそ599万円、女性がおよそ552万円です。
30代後半になると男性はおよそ662万円、女性がおよそ576万円になります。

薬剤師40代の年収

40代の平均年収は、40代前半ではおよそ661万円、女性がおよそ580万円です。
40代後半になると男性はおよそ662万円、女性がおよそ576万円になります。

薬剤師50代の年収

50代の平均年収は、50代前半ではおよそ666万円、女性がおよそ581万円です。
50代後半になると男性はおよそ680万円、女性がおよそ586万円になります。

薬剤師60代以上の年収

60代以上の平均年収ですが、60代前半ではおよそ607万円、女性がおよそ574万円です。
60代後半になると男性はおよそ550万円、女性がおよそ530万円になります。
70代以上では、男性の平均年収は655万円と大きくアップする一方、女性は459万円と大きく減少しています。
それでも薬剤師という仕事は60代以降もしっかりと稼げる職業だといえるでしょう。

薬剤師の男女比較と地域比較

シニア 薬剤師 転職 男女比較

薬剤師の年収男女比較

先の項目で、男女別で年齢ごとの平均年収を紹介いたしました。
男性全体の平均年収と、女性全体の平均年収を比較すると、男性の平均年収はおよそ580万円。
いっぽう女性の平均年収はおよそ519万円と、男性と女性では約60万円の差があります。

しかし薬剤師という職業は女性でも十分活躍できる仕事です。
男性と女性で年収差があるのは、どちらかというと女性は結婚や出産などでフルタイムで働けなくなる人が多いことが理由となっています。

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薬剤師の年収地域比較

都市圏と地方のどちらが年収が高いかについてですが、都道府県別でもっとも年収が高いのは東京都ですが、それ以降は奈良県や栃木県などの地方県が続きます。
地方県が高額になっている最大の理由は薬剤師が不足しているためです。

高収入を狙うのであれば、地方で働くことも視野に入れてみるのもよいでしょう。
特にシニアの方は居住地を変えるという人も中にはいるでしょうから、薬剤師として地方で働くことも視野に入れつつ、新たな居住先を探してみるのもよい方法のひとつです。

薬剤師の男女年齢別の平均年収一覧

まずは薬剤師の平均年収事情を年齢別に確認しておきましょう。男女別に集計した結果を5歳刻みで紹介します。


<男性薬剤師の年代別平均年収>

  • 20~24歳:487.5万円
  • 25~29歳:536.6万円
  • 30~34歳:599.1万円
  • 35~39歳:661.7万円
  • 40~44歳:661.4万円
  • 45~49歳:658.7万円
  • 50~54歳:665.8万円
  • 55~59歳:680.0万円
  • 60~64歳:607.4万円
  • 65~69歳:548.8万円
  • 70歳~:655.0万円


薬剤師になって間もない20代の人は平均年収が相対的に見ると低めですが、30代後半になると660万円くらいの平均値になることがわかります。
60歳になって定年退職をすると平均年収は下がってしまいますが、それでも60代前半では30代前半と同等に稼いでいます。

60代後半になっても20代の人たちよりは稼いでいることがわかるでしょう。
70代以降になると再び高い収入で働いている人が多くなるという傾向があり、シニアになっても薬剤師は大きく稼げると考えることができます。

<女性薬剤師の年代別平均年収>

  • 20~24歳:496.1万円
  • 25~29歳:517.9万円
  • 30~34歳:551.7万円
  • 35~39歳:576.0万円
  • 40~44歳:579.9万円
  • 45~49歳:617.3万円
  • 50~54歳:580.6万円
  • 55~59歳:586.3万円
  • 60~64歳:574.2万円
  • 65~69歳:527.5万円
  • 70歳~:459.3万円


女性薬剤師の場合には男性に比べると全体的に平均年収は低めです。
新卒の頃は男性以上に稼いでいる場合もありますが、その後の年収の伸びがあまりよくありません。
子育てのためにパートや派遣で働いている人も多いのが理由でしょう。
結果的に見ると30代後半からは580万円前後の平均年収で落ち着いています。

定年退職後の事情について見てみると、60代前半ではほとんど年収が下がっていません。
60代後半になると20代よりは稼げる程度という点で男性薬剤師に類似しています。
70歳以上では大きく平均年収が落ち込んでしまいますが、それでも日本人の平均年収と同等の水準です。このように考えると女性もシニア薬剤師として働くと十分に稼いでいけることがわかります。

薬剤師の資格と就業先ごとの年収

薬剤師になるには、大学へ入学し、「薬学部」または「医学部」にて必要なことを学んで、薬剤師国家試験を受けて合格する必要があります。
しかしそれ以外にも薬剤師関連の資格は複数あり、それらを取得することで給料がアップしていきます。
またどこに就職するかや、どういった業務に携わるかによっても年収が大きく変わる職業です。

資格別の平均年収

薬剤師は、関連の資格を取得することでさらなる給料アップが見込める職業です。キャリアアップを図れる資格を、本項目ではその資格の中の一部を紹介していきます。
まず、比較的難易度が低いのが「認定薬剤師」です。認定薬剤師になるには一定年数薬剤師として勤務していることが条件となっており、そのうえで研修手帳を入手し、授業を一定時間受講して手帳に研修内容を記帳する必要があります。
しかし資格を取得するための試験は特にありません。この資格を持っていると給料に5,000円から10,000円程度の資格手当がプラスされるので、取得する価値は大いにあります。

そして、難易度はとても高いですが、大きなキャリアアップが期待できるのが、例えばがん治療用の薬物を専門に扱ったりする、「薬物療法専門薬剤師」です。
この資格は自分で実施した5年間の薬剤管理指導の実例を提出するなど、試験を受ける資格を取得するハードルもとても高いですし、試験の難易度も高いです。
さらに資格を取得したからといって、すぐに給料に反映されるものではありません。

ただしほかの人が扱えないような薬物を扱うことになるので、大きなキャリアアップが狙えます。年数1,000万円も夢ではありません。

正社員と派遣、委託、パート・アルバイトの違い

正社員薬剤師の年収はボーナスを除くと544万円です。では派遣や委託、パートの人たちはそれぞれどれくらいの年収になっているのでしょうか。
まず派遣・委託社員の場合は自給計算です。
平均侍従がおよそ2,800円なので、週5日、8時間フルタイムで働くと年収はおよそ538万円。
収入面だけを見れば、派遣や委託であっても十分だといえるでしょう。

パートの場合、自給平均は2,300円なので、同じく週5日、8時間勤務だと年収は442万円です。
さすがに正社員や契約社員と比べると大きく下りますが、それでも現在のサラリーマンの平均年収とほぼ変わりありません。

薬剤師の年収アップ方法

薬剤師で年収をアップする方法はいくつかあり、もっとも効果的なのが「高収入が得られる勤務地の求人を探して就職または転職する」ことです。
薬剤師の勤務地でもっとも求人に期待できる現場は、「薬剤会社」です。薬剤会社は薬を扱うスペシャリストが集まる場所です。
この地でキャリアアップをすることは大変ですが、長く勤めていればほかの勤務地では得られないような給料を受け取ることができるでしょう。

また薬に関する知識をほかのひとよりも持っておくことも年収アップには重要です。医学は現在も目覚ましい進歩を遂げていて、新しい薬が次々に開発されています。
情報を得るアンテナを常に貼っておき、自己研鑽につとめましょう。

資格と経験

薬剤師を目指している人は年々増えてきており、ほかの人との差別化をはかるためには「専門性」が必要不可欠になっています。
薬剤師関連の資格には専門的な知識が必要なものもあるので、資格を取りつつ専門的な知識も吸収すると、
ほかの人が扱えないような事例でも対処できるようにすると転職の際に大きなアピールポイントです。

そして長く薬剤師として働き、経験を積むこともとても大切です。
実践で得られる知識は、いくら資料などを見て学んだとしてもかないません。
様々な業務に積極的にチャレンジし、経験を積んでいる人ほど将来の年収アップにつながります。

シニアでも活躍できる薬剤師で安定した収入を!

シニア 薬剤師 年収
薬剤師は国家資格が必要ということもあって、一般的な仕事よりも全年齢で高い収入を得ることができます。
また何歳になっても働くことができる職場なので、60代以降のシニアの薬剤師もさまざまな場所で求人をしており活躍しています。

薬剤師は今後も必要不可欠な職業となっているので、一度引退した人も資格を持っているのであれば、薬剤師として働くことを検討してみてはどうでしょうか。

この記事の監修者

松澤裕介 【キャリアアドバイザー】

キャリアアドバイザーとして、転職相談3,000名以上、紹介企業数10,000社以上に対応。年間1,000名以上の履歴書、職務経歴書を作成。主に医療・介護業界の人材紹介を担当。「シニア人材の転職市場・転職の注意点」などのテーマで記事やコラムを監修。

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