60代のシニア求人で「建築士」の資格が強みとなる理由
建築士の資格は本当にシニア求人において強みとなるのでしょうか。 60代、70代のシニア建築士の転職について、考えてみましょう。
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建築士は比較的安定して需要があり、活躍の場が広がっている仕事です。
しかし高齢での転職は勇気がいるもの。
そんな悩みをポイントを抑えつつご説明いたします。
一級建築士の需要が高まっている
一時期の建設ラッシュ後も続いているのが、タワーマンションブーム。
地方でもタワーマンションの売り上げは好調で、全国的にタワーマンションの建築計画は進行中。
特に目立つのは、駅前の都市再開発がともなう大型プランです。
駅ビルの高層化や駅直結タワーマンションといった、より高層で面積の広い建築物の建設が多く予定されています。
このことから、大規模な建築物に関わる仕事が増加傾向にあり、現在は特に一級建築士の需要が高くなっているのです。
二級建築士・木造建築士のこれから
今後、予測されるのが高齢者世帯の増加。
そして外国人人口の増加です。
つまり、誰でも使いやすいバリアフリーやユニバーサルデザインが求められることが考えられます。
これについては大規模な公共の建築物に限らず、個人の住宅など、小規模な建築物についても同じ事が言えます。
今後は、よりミクロな視点に立ち個々のユーザーニーズにこたえることで、二級建築士や木造建築士の需要も広がっていくものと思われます。
AIと建築士
オックスフォード大学の研究では、近い将来、世の中の労働の多くはAIに取って代わりられ、人間の仕事は半減するということになっています。
建築士の仕事も、一部の業務はAIが担う可能性があるそうです。
しかし、無敵と思われるAIにも弱点があります。
それは人間ならではのエモーショナルな仕事。
クライアントの心に寄り添った提案は、まだAIにはできません。
年齢を重ねたことによる人生経験の深さこそが、シニア建築士ならではの強みになるのです。
60代の建築士は活躍できるのか
現状についてわかったところで、実際に60代の建築士に活躍の場はあるのか、シニア建築士の可能性を考えてみましょう。
シニアに求められるものとは
60代のシニア建築士に求められるもの。
それはなんといっても人間力ではないでしょうか。
施主・クライアントの要望を聞くヒアリングや、現場とのコミュニケーションなど、人間同士のやりとりが重要な場面は数多くあります。
そんな場面に、60代、70代の人生で培われた人間力が必要とされるのです。
一級建築士の求人は安定
一級建築士の資格をお持ちであれば60代からの求人も安定してある状況です。
特に、一級建築士資格で可能な施工管理業務の求人はざっと見てみただけでもたくさんみつかります。
転職エージェントであれば非公開求人もあるので、さらに多くの選択肢が存在するということです。
これは大規模な現場が増加したため、大手建設会社で施工管理業務が急増している事情によるもの。
今後も免震化工事、老朽化したインフラを廃しての大規模再開発が見込まれ、高齢であっても一級建築士の需要は続くでしょう。
設計の仕事も増えている
施工管理業務だけでなく、従来は少なかった設計の仕事におけるシニア一級建築士の求人も増加しています。
設計者も人材不足であり、シニアの経験が求められているのです。
それに加え、シニア向け転職支援サービスの登場でシニア建築士の雇用が増加、シニア建築士の仕事ぶりに触れた企業や事務所が設計の仕事でのシニア建築士の活躍に興味を持ち出した・・・という見方もされています。
このような背景のもと設計の仕事も増えているわけなのですが、転職エージェントなら希望する分野への求人を叶えるためのサポートが充実。
転職後も設計の仕事を続けたいシニア建築士は、転職エージェントへ相談してしてみましょう。
二級建築士も活躍の場あり
主にハウスメーカーでの活躍が期待される二級建築士ですが、こちらも60代からの求人があります。
平成30年の新設住宅着工戸数が前年比2.3%減で2年連続減少となるなど、少子高齢化で個人の住宅の着工数は減少傾向。
一方では耐震工事やバリアフリー化のリフォーム需要が伸びています。
間取り変更といったある程度規模の大きなリフォームであれば、必要となるのが設計や図面など建築士のスキル。
リフォーム分野まで視野を広げて転職エージェントに相談すると、転職の選択肢が増えるでしょう。
参考:築着工統計調査報告 - 国土交通省
建築士をおくリフォーム会社が増えている
建築士をおくリフォーム会社が増えています。
特に資格が必要ないリフォームですが、より高度なリフォームを行うために建築士の専門知識を必要としているのです。
個人の住宅を対象としたリフォームの仕事は、小規模建築や木造住宅の経験が豊かな二級建築士や木造建築士に向いているといえます。
統計によるとバリアフリー化のリフォームの施主は50代以降が最も多く、施主と同世代であるシニア建築士だからこその目線は大きな強みになりそうです。
参考:平成28年度住宅市場動向調査について
70代以降の求人は?
70代以降では、一級建築士、二級建築士の資格を生かしたデスクワークやモデルルーム勤務の求人が主になります。
週二~三日くらいの無理の無いパートタイム勤務がほとんどです。
建築士の経験を生かして他業種へ転職
もっと広い分野で建築士の資格をいかしてみたいという思いから転職を考えるシニア建築士もいるでしょう。
不動産会社であれば、設計事務所や施工会社との橋渡しや不動産投資へのアドバイスの場面で建築士の専門知識やシニアならではのキャリアがいかせます。
建材メーカー、マンションの管理会社などもシニア建築士が活躍できる職場です。
高齢になってからの他業種への転職は特に迷うことだらけですが、シニア向け転職エージェントであればキャリアカウンセリングによる適職の見定めやアドバイスが受けられるので安心です。
シニア建築士の年収と待遇はどうなる?
60代からの転職で不安なのが年収や待遇。
大手ならではの年収の落とし穴や待遇についての疑問をすっきりさせましょう。
大手に勤める一級建築士はここに注意
厚生労働省の発表した資料を見ると、大手の会社に勤務する一級建築士は60代をすぎるととたんに平均年収が下がることがわかります。
下降が緩やかな中堅と下落激しい大手の会社の年収は、60代以降、逆転してしまうのです。
現在、大手に勤務でこの点に不満がある場合、中堅に転職するという選択もあるでしょう。
給与交渉の窓口にもなってくれる転職エージェントを利用するのも、満足いく転職のコツです。
参考:賃金構造基本統計調査
UターンIターン
年収ではなく、ライフワークバランスを重視して転職を考えるケースもあります。
特にシニアは故郷へのUターンや、老後を見据えたIターン転職を考えることもあるでしょう。
地方都市ではタワーマンションをはじめマンションの売れ行きが好調を続けており、建設はまだまだ続きそうな勢いです。
よって、高齢であっても地方での建築士の求人はあります。
UターンIターンに限らず、ライフワークバランス重視の転職は、転職エージェントのキャリアカウンセリングで希望をしっかり伝えると実現しやすくなるでしょう。
正社員、契約社員の違い
勤務形態は待遇を大きく左右しますので、重視すべきポイント。
勤務形態など条件にあった転職先を紹介してくれる転職エージェントを利用すると、転職活動の効率がよくなります。
正社員とは期間契約ではないフルタイムワーカーのこと。
契約社員は雇用に期限があること以外は、ほとんど正社員と変わらない条件で働けるようになりました。
契約社員のメリット、デメリット
契約社員最大のメリットは、ほぼ転勤の可能性がないことです。
これはシニアにはありがたい条件ではないでしょうか。
デメリットは、契約の期限があること。
しかし、ゴールがはっきりしているということは、老後にやりたいことが決まっているなどシニアの人生設計によってはメリットととらえることもできます。
もしも迷っているのでしたら、どちらが自分にとってのメリットが大きいのか転職エージェントで相談することで、より良い転職先が見つかりやすくなるでしょう。
まとめ:シニア建築士の転職には転職エージェント利用がおすすめ
高齢であっても、建築士は広い分野で求められていることがおわかりいただけたかと思います。
このチャンスを生かすためにおすすめなのが、シニア向け転職エージェントの利用です。
- アドバイザーが条件に合った求人を紹介してくれる。
- 応募書類の添削、面接の対策などが受けられる。
- 企業との各種条件交渉の窓口になってくれる。
- 情報提供、アドバイスが受けられる。
このように、個人での転職活動では考えられないサポートがあります。
転職市場において需要の大きな建築士だからこそ、キャリアを大切にした転職が必要です。
シニア建築士の転職は、シニア向け転職エージェントの利用で成功させましょう。
この記事の監修者
松澤裕介 【キャリアアドバイザー】
キャリアアドバイザーとして、転職相談3,000名以上、紹介企業数10,000社以上に対応。年間1,000名以上の履歴書、職務経歴書を作成。主に医療・介護業界の人材紹介を担当。「シニア人材の転職市場・転職の注意点」などのテーマで記事やコラムを監修。