iDeCoに加入すると厚生年金が減るって本当!?誤解される理由や注意点を解説


iDeCoに加入すると厚生年金が減る? 誤解される理由や注意点を解説!
「iDeCoに加入すると厚生年金が減る」という話を聞いて、老後に受け取る年金額が少なくなってしまうのではないかと不安に感じている人は多いのではないでしょうか? 結論からいうと、通常のiDeCoへの加入によって厚生年金の受給額が減ることは基本的にありません。しかし、給与や働き方が変わった場合など、状況によっては将来の厚生年金額に影響するケースはあります。 この記事では、iDeCoに加入しても厚生年金が減らない理由や「減る」と誤解される原因、実際に減る可能性のあるケースをわかりやすく解説します。 iDeCoのメリットや厚生年金との上手な活用方法についても紹介しているため、老後資金づくりを考えている人はぜひ参考にしてください。
- 目次
- 【iDeCoに加入しても基本的に厚生年金は減らない】その理由とは?
- iDeCoは厚生年金とは別の制度のため
- 厚生年金は給与をもとに計算されるため
- iDeCoは所得控除の対象であり厚生年金の計算には影響しないため
- なぜ「iDeCoへの加入で厚生年金が減る」といわれるの?
- 給与を減らして私的年金に回すケースと混同されやすいため
- 給与天引きと厚生年金の計算方法を勘違いしやすいため
- 企業型DCとの違いが分かりにくいため
- 厚生年金が減る可能性があるのはどのようなケース?
- 給与が下がった場合
- 働き方が変わり厚生年金の加入条件が変わった場合
- iDeCoに加入するメリット
- 掛金が全額所得控除になる
- 運用益が非課税になる
- 受け取るときに税制優遇が受けられる
- iDeCoと厚生年金はどちらを優先して考えるべき?
- 厚生年金は老後の基本となる公的年金
- iDeCoは老後資金を上乗せするための制度
- 両方を活用すると老後資金を準備しやすくなる
- iDeCoと厚生年金に関するよくある質問
- 会社員はiDeCoと企業型DCの両方利用できる?
- 60歳以降もiDeCoに加入できる?
- 転職するとiDeCoはどうなる?
- iDeCoと厚生年金は役割を理解して活用することが大切
【iDeCoに加入しても基本的に厚生年金は減らない】その理由とは?

iDeCoに加入すると、将来受け取る厚生年金が減るのではないかと心配する人もいるでしょう。
結論からいうと、通常のiDeCoへの加入によって厚生年金の受給額が減ることは基本的にありません。
その理由は、iDeCoと厚生年金は役割や仕組みが異なる制度であり、iDeCoの掛金は厚生年金の計算方法に直接影響しないためです。
まずは、iDeCoに加入しても厚生年金が減らない理由を確認しておきましょう。
iDeCoは厚生年金とは別の制度のため
iDeCoは、公的年金に上乗せして老後資金を準備するための私的年金制度です。一方、厚生年金は会社員や公務員などが加入する公的年金であり、老後の生活を支える基礎となる制度になります。

つまり、厚生年金で老後の生活の基盤を整え、そのうえにiDeCoで老後資金を積み立てるという位置付けになります。
そのため、iDeCoへ加入したことだけを理由に、厚生年金の受給額が減ることはありません。
厚生年金は給与をもとに計算されるため
厚生年金の保険料や将来の年金額は、毎月の給与や賞与をもとに決まる「標準報酬月額」や「標準賞与額」を基準として計算されます。
そのため、勤務先で受け取る給与や賞与に変化がなければ、iDeCoへ加入しても厚生年金の計算方法は変わりません。
反対に、給与そのものが下がった場合は、標準報酬月額が変わる可能性があり、その結果として将来受け取る厚生年金額に影響することがあります。
つまり、厚生年金額に影響するのは、iDeCoへの加入ではなく、給与水準の変化ということになります。
iDeCoは所得控除の対象であり厚生年金の計算には影響しないため
iDeCoの掛金は、税制上「小規模企業共済等掛金控除」の対象となります。一方、厚生年金の保険料は税金を計算する際の所得ではなく、税引前の給与や賞与をもとに計算されます。
そのため、iDeCoの掛金によって所得税や住民税の計算上の所得が減っても、厚生年金の算定基準が変わることはありません。
「所得が減るから厚生年金も減る」と考える方もいますが、所得控除と厚生年金の計算方法は別の仕組みです。この違いを認識すれば、「iDeCoに加入すると厚生年金が減る」という情報が誤解であることを理解できるでしょう。
なぜ「iDeCoへの加入で厚生年金が減る」といわれるの?

iDeCoに加入しても基本的に厚生年金が減ることはありませんが、「iDeCoに入ると将来受け取る厚生年金が少なくなる」という情報を目にしたことがある人もいるでしょう。
このような誤解が広まる背景には、給与の仕組みや年金制度の違いが十分に理解されていないことがあります。
ここでは、「iDeCoへの加入で厚生年金が減る」といわれる主な理由を確認します。
給与を減らして私的年金に回すケースと混同されやすいため
「iDeCoに加入すると厚生年金が減る」といわれる理由の1つに、「給与が減ったことで厚生年金が減るケース」と「iDeCoへ加入するケース」が混同されやすいことがあります。
厚生年金は、毎月の給与や賞与をもとに計算されるため、給与額が下がると将来受け取る厚生年金額も少なくなる可能性があります。
一方、通常のiDeCoは、現在受け取っている給与の中から自分で掛金を拠出する制度です。会社から支払われる給与額が変わるわけではないため、iDeCoへ加入したことだけで厚生年金の受給額が減ることはありません。
「給与が下がると厚生年金も減る」という仕組みだけが広まり、「iDeCoに加入すると給与が減る」と誤解されることで、「iDeCoへの加入で厚生年金が減る」という情報が広まったと考えられます。
給与天引きと厚生年金の計算方法を勘違いしやすいため
iDeCoの掛金は、給与天引きによる納付方法を選択できる場合があります。その場合、「給与から差し引かれるなら、厚生年金の計算にも影響するのでは」と考える方も少なくありません。
しかし、給与から天引きされることと、厚生年金の計算方法は別の仕組みです。
厚生年金は給与や賞与をもとに決まる標準報酬月額・標準賞与額を基準に計算されますが、iDeCoの掛金は所得控除として扱われます。そのため、掛金を給与天引きで納付しても、厚生年金の算定基準が変わることはありません。
給与明細を見ると、社会保険料やiDeCoの掛金が同じように差し引かれているため混同しやすい点も、誤解が広がる要因といえるでしょう。
企業型DCとの違いが分かりにくいため
iDeCoと企業型DC(企業型確定拠出年金)は、どちらも老後資金を準備するための制度ですが、仕組みには違いがあります。
iDeCoは加入者本人が掛金を拠出する制度であるのに対し、企業型DCは勤務先が掛金を拠出することを基本としています。勤務先によっては、制度の内容や給与設計との関係が異なる場合もあります。
そのため、企業型DCに関する情報をiDeCoにも当てはめてしまい、「iDeCoへの加入で厚生年金が減る」と誤って理解されるケースがあります。
それぞれの制度は掛金を負担する人や加入条件、運用方法などが異なるため、混同せずに確認することが大切です。
厚生年金が減る可能性があるのはどのようなケース?

iDeCoへ加入したことだけで厚生年金が減ることは基本的にありません。しかし、給与や働き方が変わると、厚生年金の計算基準が変わり、将来受け取る年金額に影響する場合があります。
ここでは、厚生年金が減る可能性がある代表的なケースを確認しましょう。
給与が下がった場合

1つ目は、給与が下がった場合です。
厚生年金は、毎月の給与や賞与をもとに計算されるため、給与額が下がると将来受け取れる厚生年金額も少なくなる可能性があります。
例えば、役職変更や勤務日数の減少、転職による給与水準の変化などで給与が下がった場合は、厚生年金の計算基準となる標準報酬月額も下がることがあります。
短時間勤務などで標準報酬月額が下がった場合

育児や介護、再雇用などを理由に短時間勤務へ変更すると、勤務時間や給与が減ることがあります。
給与が下がると、厚生年金の保険料や将来の受給額を計算する基準となる標準報酬月額も見直されるため、将来受け取る厚生年金額に影響する可能性があります。
例えば、60歳以降の再雇用で勤務時間や給与が変わった場合や、育児短時間勤務によって給与が減少した場合などは、標準報酬月額が変更される可能性があります。
短時間勤務そのものが原因ではなく、「標準報酬月額が下がることで厚生年金額に影響する」ことを把握しておきましょう。
働き方が変わり厚生年金の加入条件が変わった場合
2つ目は、働き方が変わり、厚生年金の加入条件が変わった場合です。
転職や勤務時間の変更などによって働き方が変わると、厚生年金の加入状況が変わることがあります。
例えば、会社員から個人事業主になった場合は、原則として厚生年金から国民年金へ切り替わります。また、勤務時間や労働日数が減り、厚生年金の加入要件を満たさなくなった場合も、厚生年金へ加入できなくなる可能性があります。
将来の老齢厚生年金の受給額に反映されるのは厚生年金に加入している期間のため、加入期間が短くなると、その分受給額にも影響が生じることになります。
働き方が変わる予定がある場合は、厚生年金への加入状況がどのように変わるのかを事前に確認しておくと安心です。
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iDeCoに加入するメリット

iDeCoは、老後資金を自分で準備できるだけではなく、税制面でもさまざまな優遇措置を受けられる制度です。
特に、「掛金を支払うとき」「運用しているとき」「受け取るとき」の3つのタイミングで税制上のメリットがあるため、効率よく老後資産を形成しやすい特徴があります。
ここでは、iDeCoに加入する主なメリットを確認しておきましょう。
掛金が全額所得控除になる
1つ目のメリットは、毎月支払う掛金が全額所得控除の対象になることです。
iDeCoの掛金は「小規模企業共済等掛金控除」として扱われるため、課税対象となる所得を減らすことができます。その結果、所得税や住民税の負担を軽減できる可能性があります。
例えば、毎月2万円をiDeCoへ積み立てた場合、年間では24万円が所得控除の対象になります。

年収や税率によって節税額は異なりますが、長期間積み立てるほど税負担の軽減効果も期待できます。
老後資金を準備しながら節税にもつながる点は、iDeCoならではのメリットといえるでしょう。
運用益が非課税になる
2つ目のメリットは、運用益が非課税になることです。
通常、投資信託や株式投資などを運用して利益が出た場合は、利益に対して税金がかかりますが、iDeCoでは運用によって得られた利益に税金がかからないため、運用益をそのまま再投資できます。
運用益による複利効果も期待できるため、長期間積み立てるほど資産が増えやすくなる点も魅力です。
老後までの時間が長い人ほど、非課税で運用できるメリットを活かしやすいでしょう。
受け取るときに税制優遇が受けられる
3つ目のメリットは、資産を受け取る際に税制優遇が受けられることです。
受取時の税制優遇
- 一時金として受け取る場合:退職所得控除
- 年金形式で受け取る場合:公的年金等控除
どちらの形式で受け取っても所得控除の対象となるため、税負担を抑えられる可能性があります。
また、受け取り方法は、「一時金・年金・一時金と年金の併用」から選択できる場合があるため、自分のライフプランに合わせて受け取り方を検討できる点も特徴です。
ただし、退職金や公的年金の受給状況によっては税額が変わることもあるため、受け取り時期や方法は事前に確認しておくと安心です。
iDeCoと厚生年金はどちらを優先して考えるべき?

老後資金を準備する際に、「iDeCoと厚生年金はどちらを優先した方がよいのだろう」と悩む方もいるでしょう。
両者は役割が異なるため、どちらか一方を選ぶものではなく、それぞれの役割を理解したうえで活用することが大切です。それぞれの特徴を確認しておきましょう。
厚生年金は老後の基本となる公的年金
厚生年金は、会社員や公務員などが加入する公的年金制度で、老後の生活を支える重要な収入源です。
保険料は毎月の給与や賞与に応じて会社と従業員が折半して負担し、加入期間や給与水準に応じて将来受け取る年金額が決まります。
また、厚生年金には老齢年金だけではなく、一定の要件を満たした場合に受け取れる障害年金や遺族年金も含まれています。そのため、老後だけではなく、万が一の事態に備える役割も担っています。
可能であれば厚生年金へ継続して加入し、公的年金を老後資金の基盤として整えることをおすすめします。
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iDeCoは老後資金を上乗せするための制度
iDeCoは、公的年金だけでは不足する可能性がある老後資金を、自分で準備するための私的年金です。
毎月の掛金を積み立て、自分で選んだ金融商品で運用することで、60歳以降に老後資金として受け取ることが可能です。
さらに、掛金が全額所得控除になることや運用益が非課税になること、受け取り時にも税制優遇を受けられることなど、税制面でのメリットが充実しています。
公的年金を補う制度として活用することで、老後の生活資金にゆとりを持たせやすくなるでしょう。
両方を活用すると老後資金を準備しやすくなる
厚生年金とiDeCoは、どちらか一方を優先する制度ではなく、組み合わせて活用することで、それぞれのメリットを活かしやすくなります。
厚生年金で老後生活の基本となる収入を確保し、不足する部分をiDeCoで補うことで、安定した老後資金の準備が可能です。
平均寿命の延伸や物価上昇などを考えると、公的年金だけで十分な生活費を確保できるとは限りません。そのため、現役時代からiDeCoを活用して老後資金を積み立てておくことが大切です。
将来必要となる生活費や受け取れる年金額を確認したうえで、自分に合った積立額を設定すると、無理なく老後資金を準備しやすくなるでしょう。
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iDeCoと厚生年金に関するよくある質問

最後に、iDeCoと厚生年金に関するよくある質問を紹介します。
会社員はiDeCoと企業型DCの両方利用できる?
利用できます。
以前は企業型DC(企業型確定拠出年金)へ加入している会社員は、iDeCoへ加入できないケースもありました。しかし、制度改正により、現在は一定の条件を満たせば企業型DCとiDeCoを併用できるようになっています。
ただし、iDeCoの掛金には上限額があり、その金額は企業年金の有無や加入している制度によって異なります。また、勤務先の企業型DCの内容によって掛金の上限が変わる場合もあります。
会社員がiDeCoへの加入を検討する際は、自分の勤務先で導入されている企業年金制度や掛金の上限額を確認しておきましょう。
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iDeCoの掛金は変更や停止できる?加入区分別の上限引き上げはいつから?
60歳以降もiDeCoに加入できる?
一定の条件を満たせば、60歳以降もiDeCoへ加入できます。
現行制度では、一定の条件に該当する場合は原則65歳未満まで加入でき、加入資格がある期間は掛金を積み立てながら運用を続けることが可能になっています。
ただし、加入できる年齢や受け取り開始年齢は加入状況によって異なるため、60歳以降も積み立てを続ける予定がある場合は、事前に加入条件を確認しておくと安心です。
2026年12月にはiDeCo制度の改正が予定されており、加入可能年齢の引き上げなどが予定されています。最新の制度内容は厚生労働省等で確認してください。
転職するとiDeCoはどうなる?
転職しても、それまで積み立てたiDeCoの資産がなくなることはありません。
転職先や働き方によって加入資格や掛金の上限額は変わりますが、原則として資産はそのまま引き継ぐことが可能です。
例えば、会社員から会社員へ転職した場合は、転職先の企業年金制度に応じて手続きが必要になります。また、会社員から自営業になった場合や、公務員になった場合も、加入区分の変更手続きを行う必要があります。
転職後は、勤務先や加入区分に応じた手続きを一定期間内に行う必要があります。手続きを忘れると掛金の拠出ができなくなる場合もあるため、転職が決まったら早めに確認しておきましょう。
iDeCoと厚生年金は役割を理解して活用することが大切
iDeCoへ加入したことで、厚生年金の受給額が減ることは基本的にありません。
「iDeCoで厚生年金が減る」といわれることがありますが、その多くは給与や働き方の変化によって厚生年金額が変わるケースと混同されていることが理由です。
厚生年金は老後の生活を支える公的年金であり、iDeCoはその不足分を補うための私的年金制度です。それぞれ役割が異なるため、どちらか一方ではなく、両方を活用することで、より安定した老後資金を準備しやすくなります。
iDeCoには、掛金が全額所得控除になることや、運用益が非課税になること、受け取り時にも税制優遇を受けられることなど、多くのメリットがあります。
一方で、掛金の上限額や加入条件は働き方や企業年金制度によって異なるため、加入前に確認しておくことも大切です。
老後の生活資金に不安を感じている方は、厚生年金で受け取れる金額を確認したうえで、iDeCoの活用も検討してみてはいかがでしょうか?
この記事の監修者

岡地 綾子 【ファイナンシャル・プランナー】
2級ファイナンシャル・プランニング技能士。 年金制度や税金制度など、誰もが抱える身近な問題の相談業務を行う。 得意分野は、生命保険・老後の生活設計・教育資金の準備・家計の見直し・相続など。







